精神疾患かな?と思ったら、どの病院の何科に行けばいいの?

診察はどのように行われるの?

まず患者本人およびその家族から、主訴(何に困っているのか)、現病歴、既往歴(以前かかっていた病気のこと)、家族歴、生活史、家庭環境や職場環境などを聞き出します。

次に、集めた情報や診察室で観察される症状から、総合的に診断を決めていきます。

おおむね以上のような流れで進みますが、医師により異なる手順をとる場合もあります。

各診療科の特徴

精神疾患をみる診療科は精神科や精神神経科、心療内科や神経内科など、かなり名称にばらつきがあります。

◇精神疾患が心配なら精神科、精神神経科、神経科
これらの科は、名前が異なりますが診ている病気は精神疾患で共通しています。

◇心理的な問題が関与している身体症状を解消したいなら心療内科
心療内科は、心理的な問題が原因で、胃潰瘍などの身体的な症状が出ている場合(いわゆる心身症)を対象としています。
とはいえ、軽いうつ病などの一部のこころの病気を診ている場合もあるので、もし通いたい心療内科がある場合は、事前に電話して、自分が抱える悩みが対象かどうか調べる必要があります。

◇認知症やてんかんが疑われるなら神経内科も
神経内科は、脳や脊髄、神経、筋肉の病気を主な対象としています。認知症やてんかんなどは精神科だけでなく神経内科でも診ています。
一部の神経内科では、こころの病気を診ている場合もあるので、気になる場合は電話して聞いてみる必要があります。

一般的には看板ごとに以上のような住み分けがされていますが、診療科名からどのような病気を対象としているのか確かめにくいこともあるので、あらかじめ電話やHPで確認するとよいでしょう。
参考:医療機関の探し方、選び方|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/support/medical_1.html

精神疾患かな?と思った時に、病院を選ぶポイント

どの医療機関を受診するか迷ったときのポイントを紹介いたします。

医療機関の専門性

医療機関により、どのような病気を専門としているか異なるので、まず、その医療機関が何を専門としているのか調べる必要があります。

以下のリンクでは診療科目や診療日、診療時間、どのような疾患を治療しているかなどの全国の医療機関の詳細を検索できます。是非ご活用ください。
医療機能情報提供制度(医療情報ネット)について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html

精神科医の得意分野

精神科医にも、統合失調症に詳しい医師や発達障害の治療に慣れている医師など、それぞれ得意分野があります。

受診前に、電話やインターネットのHPなどで問い合わせたり、どのような分野を得意としている医師が在籍しているのか調べたりすることをおすすめします。

医療機関が実施している治療プログラム

医療機関の専門性の他に、どのような治療プログラムがあるのかも調べることをおすすめします。医師の診察とは別に、カウンセリング、作業療法、その他様々な治療プログラムを行っている場合があります。

医療機関に配置されている専門スタッフ

また、その医療機関がどのようなスタッフを配置しているのかも医療機関の性質を知る上で参考になります。

カウンセリングを通じて心理的な問題を解決に導く臨床心理士 、デイケアなどで心身のリハビリテーションに携わる作業療法士 、言語機能の回復や発達に関わる言語聴覚士、これらの多職種や外部機関との連携をとり社会復帰をサポートする精神保健福祉士など、精神医療に携わる職種は多岐にわたります。

自分やご家族には今後どのようなサポートが必要なのか見極め、状況にあった医療機関を選びましょう。
作業療法士ってどんな仕事?|日本作業療法士協会
http://www.jaot.or.jp/ot_job

医療機関の所在地、受診可能な時間帯

精神疾患は通院治療が必要な期間が長くなることが多いので、通いやすさを十分考慮する必要があります。

駅から遠かったり、受診可能な時間が自分の生活と合わなかったりすると、どうしても通いづらくて治療中断してしまう可能性もあるので、自分が通い続けられる場所かよく調べる必要があります。

医師との相性、セカンドオピニオン

診察・治療を担当する医師との相性は特に大切です。実際に医師と話してみて、ご自身がどのように感じるのかで相性の良し悪しを判断しましょう。

医師に対して不信感を持ったまま診療を続けるより、信頼関係を構築できる医師を見つける方が、治療もうまくいきます。

どうしても相性が悪いなと思ったり、医師の説明に納得が行かない場合は、セカンドオピニオンを求めてみるのもひとつの方法です。

その場合、紹介状は必ずしも必要ではありませんが、新たに受診してみようとする医療機関に対し、セカンドオピニオン目的での診察を受けてくれるかどうか予め尋ねた方が良いでしょう。

最初にかかった医療機関に全てお任せするのではなく、 医療を使いこなすという姿勢 が大切です。

どの診療科に行くか迷った時に頼れる相談機関

どの病院のどの診療科に行けばいいのか迷ったり、そもそも受診すべきか迷ったりすることもあるのではないでしょうか?

そんな時は、お近くの精神保健福祉センター保健所に連絡すると、専門家が相談に乗ってくれますので、気兼ねなく連絡してみましょう。

以下のリンクで、全国の精神保健福祉センター、保健所を検索できます。
全国の精神保健福祉センター一覧|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubutsuranyou_taisaku/hoken_fukushi/index.html
保健所一覧|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/hokenjo/
夜間休日精神科救急医療機関案内窓口|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/support/ercenter.html

精神疾患の治療法

精神疾患の治療法は、大きく分けて身体的治療心理的治療の2つに分かれます。以下、それぞれについて紹介いたします。

身体的治療

代表的なものが、薬物を用いた薬物療法です。他に、高照度光刺激療法、修正型電気けいれん療法、経頭蓋磁気刺激法(けいとうがいじきしげきほう)などの身体に物理的に働きかける療法を指します。

心理的治療

身体療法とは対照的に、心理的な手段を用いて患者の心身に働きかけるもので、さまざまな理論・アプローチがあります。

たとえば、行動をよりよい方向に改善していく行動療法、患者のかたよって硬直した思考パターンを変えていく認知療法、無意識の葛藤や防衛を分析していく精神分析療法、クライエントの訴えを受容することに徹する来談者中心療法などが代表的です。

それらの技法をさまざまに取り入れた折衷的な方法が、日本における「カウンセリング」の主流となっています。その他にも自律訓練法、箱庭療法、遊戯療法、森田療法などがあります。

医療機関で精神科医が行う面接や心理的治療を「精神療法」、心理士が行うセラピーを「心理療法」と呼ぶことが一般的です。
参考:メンタルヘルス関係|こころの耳HP
https://kokoro.mhlw.go.jp/glossarycat/mentalhealth/#mentalhealth-sa

入院した場合どのような治療が受けられるの?

日本精神神経学会では、精神科の入院が適応となる状態を以下のように記しています。
・幻覚妄想状態
・著しい興奮状態
・躁状態
・重症な自殺念慮
・長く続いている重症うつ状態
などです。

(引用:Q.入院が必要となるのは、どのような時でしょうか?|日本精神神経学会)
出典:https://www.jspn.or.jp/modules/forpublic/index.php?content_id=2
入院した場合、身体的治療や狭義の心理的治療に加えて、生活、社会機能の改善を目的に、集団精神療法やレクリエーション療法、作業療法、家族への心理教育プログラムなどがおこなわれます。
次ページ「精神疾患に苦しむ人への対応の仕方」

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