発達障害におけるアセスメント

発達障害のあるお子さんの特性を知るためには、検査を受けることはもちろんのこと、特に行動観察が重要視されています。例えば暗記がとても得意なのに算数など苦手な教科に全く興味を示さないという学校での様子をきっかけに、学習障害だとわかったパターンなどがあります。

またお子さんの行動を観察することは日常生活においても欠かせません。お子さんのご家庭での様子を見て気になる点があれば、保健センター、子育て支援センター、児童相談所、発達障害者支援センターなどに相談しましょう。早めに相談することが、お子さんにあった療育を見つけるきっかけとなるのです。

さらに年齢が上がってから特性が明らかになる場合もあるため、子どもの成長につれて、アセスメントも更新していく意識を持つことが大切です。

検査結果を日常生活に活かすためには?

検査結果を見ると障害の重さや数値に目がいきがちですが、それ以外の内容についても理解する必要があります。日常生活では検査結果をもとに、お子さんの苦手なことの原因を把握していくとよいでしょう。

例えば「時間の見通しを持てない」という結果が出ていた場合、急かしても子どもは何を急かされているか分からずパニックを起こしてしまうのだと解釈できるかもしれません。「本人の筋緊張が低く姿勢を長時間保てない」という検査結果が出ていたなら、怠けているのではなく、きちんと着席するのが難しいのだと判断できます。

このようにお子さんの困難の原因を知ることで、どんな工夫をすればよいのかの見通しにつなげられるでしょう。検査結果でお子さんの行動を見る視点を狭めないようにすることが大切です。

さらにお子さんに合った教育方法を見つけていくために、検査結果などの情報を保育士や幼稚園・学校の先生に共有し、お子さんのご家庭での様子と幼稚園や学校での様子の両方を把握するようにしましょう。

まとめ

子どもの臨床心理におけるアセスメントとは検査、行動観察、面談などによってさまざまな角度から子どもの特性を把握し、一人ひとりに合った教育方法を見つけていくことを言います。

アセスメントの方法の一つに知能検査などの検査がありますが、検査結果はあくまで客観的に特性を知るためのものです。障害の重さや知能指数の数値だけに注目するのではなく、検査結果をもとに行動と照らし合わせてお子さんの得意・不得意を把握していくことが大切です。

またお子さんの行動を知ることは日常生活においても欠かせません。面談や検査でのお子さんの様子を専門家から聞いて知る以外にも、学校ではどうなのか、さらにご家庭ではどうなのか、さまざまな角度から特性を理解してあげることが総合的なアセスメントであると言えるでしょう。
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