きょうだいで違う「縄張り意識」でトラブル勃発。感情が乱降下する子どもたちを変えた大切な作業

ライター:GreenDays
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毎日毎日繰り返される兄弟げんかにうんざりしてしまうことはありませんか?長い時間をともに過ごす家族だからこそ、「嫌だと思うこと」を伝え合うことでストレスを減らしていけたらと思うのです。

姉弟で異なる「縄張り意識」がケンカの原因に...

発達障害のある9歳の娘と7歳の息子は、その特性の違いからさまざまな摩擦が生まれ、毎日同じような揉めごとが繰り返しては、泣いたり叫んだり大騒ぎです。

その中で多くを占めているのが、距離感の問題

アスペルガー症候群の特性が強い娘は縄張り意識が強く、自分の座席やクッション、所有物などに、母である私以外の人間が近づくことを常に警戒しています。

逆にADHDの特性が強い息子は、他人との距離感が上手く掴めず、すぐ他人に寄りかかったり、抱きついてべったりすることが多いため距離のとり方を学んでいる最中です。

今日もまた、その距離感が原因でケンカが始まりました。

娘がパソコンでマインクラフトというゲームをしていたときのことです。「お姉ちゃん、ちょっと僕にも見せて」と、娘が座っている椅子の背もたれに息子が体を寄せ、後ろから画面をのぞき込みました。

「やめてよ!近寄らないで!!」
「なんで?いつも僕のマイクラをお姉ちゃんも見に来るじゃない?僕にも見せてよ」
「いやだったら!離れてよ!お姉ちゃんに近寄らないで!!」
「ケチ!意地悪!怒ってばっかり!!」
「うるさい!誰が怒らせてるか考えてみなさい!」

そのうち自分たちで解決できるようになってくれれば…、そう思ってしばらく口出しをせずに見守っていたのですが、どれだけ同じ揉めごとを繰り返しても、彼らの行動や発言に変化が訪れる様子はありませんでした。

今ある状況から何かを学んでいくことが苦手な発達障害の子どもたちにとって、インプットされていない解決策を自分で導き出すという作業は、やはり難しいことのようです。

そこで、なにが原因で同じ揉め事が起きているのか、子どもたちと話し合ってみることにしました。

自分と他人は違う感じ方をするという大前提を明確に

私が「どうしてケンカしてるのか、順番に思っていることを話してみて」と声をかけると、不満が溜まっている子どもたちは、いかに相手が酷いことをしたのかを、涙を浮かべながら切々と訴えかけてきます。

お互いの会話を遮りながら、「ちがう!それはそっちが○○したからだろう!」と泥試合を演じる始末。

相手の悪いところばかりを責めたてるだけでは、物事は解決しません。ではどうすれば解決に繋がるのだろうかと考えて、こんな風に声をかけてみました。

「ねえ、二人の意見はよくわかったんだけど、お互いに相手が何をされたら嫌なのか知ってる?」

「そんなの、自分がされて嫌なことは嫌に決まってるんだから、考えなくてもわかるでしょ!」 「そうだよ!」

なんで大人がそんなこともわからないんだ!と、今度は怒りの矛先がこちらに向いてきそうな勢いです。

「なるほど、あなたたちのケンカの原因はそこにあるんだ!」

「えっ、どういうこと?」 「んんん?」

大切なことなので、例を挙げながら話していきます。

「たとえばお姉ちゃん、あなたは弟がマイクラをしてるときに弟の席に強引にお尻を入り込ませて、見るだけじゃなくてマウスを奪って自分でゲームを操作し始めるでしょ?」

はっとした顔で 「それはそうだけど...」と口ごもる娘。

「でも弟は怒らないよね?それは弟にとっては、そんなに嫌なことではないからだと思うの」

「うんうん!いっつもお姉ちゃんが来るけど僕は別に構わないよ。でもどうして僕がお姉ちゃんのところにいくとダメなの?」

息子は不思議顔で首を捻ります。

「そこが問題なんだよ。お姉ちゃんは自分から他人の縄張りに入っていくのは平気なんだけど、他人には絶対に自分の縄張りに入って欲しくないんだと思うの」

「そうそう!」 「へぇ〜、そうだったの?」

「でも、弟は自分の縄張りに入られるのは平気だから、他人の縄張りにも平気で入っていくでしょ?」

「そこが嫌なのよ!」「入っちゃダメだったの?」

「もう一度よく考えてみて。本当に自分が嫌なことは他人も嫌だと思ってるかな?自分が平気なことは他人も平気なのかな?」

しばらく考えた後、納得したような顔で二人が答えます。

「やっぱり違うね」 「全然違うね」

「そうでしょ?同じ親から産まれて同じ家で育った姉弟でもこんなに違うの。自分とまったく同じ感じ方をする人間なんてどこにもいないんだよ。それでたくさん揉め事が起きちゃうの」

「だからこそ、お互い一緒にいて『嫌だな』と思ったことは、怒るんじゃなくて『自分はこういうことをされると嫌だ』って相手にインプットされるまで伝えていかないといけないんだよ」

「そして大切な相手だからこそ、相手がなにを嫌だと思っているのかよく耳を傾けて理解し合えると、揉めごとも減って楽しく過ごせる時間が増えると思うよ」

他人に伝えることで自分自身をより深く知れるように

こうして、ケンカが起こったときには「なにが嫌なのかを伝えてみた?」と声をかけると、お互いプンスカしながらも「えっと、○○をされると嫌だからやめて欲しい」「それは知らなかった。ごめんね」と言い合えるようになってきました。

具体的にどんなことが嫌なのかを伝えるためには、自分の怒りの原因がどこにあるのかを探らなくてはいけません。

これは、感情の起伏が激しいわが家の子どもたちにとって、とても大切な作業です。

毎日感情が乱高下する彼らが、自分の怒りの根底に気づくことができれば、それを回避したり周囲に伝えたりすることができるようになるはずです。そして、それはきっと過ごしやすい日常へと繋がっていくでしょう。

もちろん、この思考回路が身について自分たちのものとなるには、途方もなく長い時間がかかることでしょう。それまでは、きっと何万回も同じような声掛けをしなければいけないかもしれません。

どれだけ声をかけても、なかなか成果が出ずに疲れていらっしゃる方もいるかもしれません。そんなときは温かい飲み物を飲んでリラックスした状態で、結果がでるのは10年後ぐらいかも知れないなあとスパンを延長してみるといいかもしれませんよ。

ちなみに、私は「結果は10年後」と自分に言い聞かせてから、子どもたちと向き合っています。

なので、まれに数ヶ月で子どもが変わり始めたときには本当に嬉しくて、つい手放しで褒めてしまうので子どもはますます張り切る、というプラスのサイクルに突入できることもあったりするのでオススメです!お試しあれ!
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