自分の思う「当然」で答えてしまうと、話がかみ合わなくなる

上司「凸庵くん、これどうやって実装したらいいと思う?」
私「○○のようにするのがいいと思います」
上司「どうしてそう思ったの?」
私「それが一番いいと思ったからです」


これは新卒のころによくあったやり取りです。メールなどで連絡するときにも、同じような状況でした。上司の「どうしてそう思ったの?」という質問は、私が「○○のようにするのがいい」と思った理由を聞いているのですが、当時の私はそれをよくわかっていませんでした。

私が答えるべきだったことは「今後機能を増やしていくときにこの方法なら修正が簡単になるとおもったからです」ということでした。でも、相手が何を聞いているのかを想像することは当時の私には難しいことでした。「自分がなぜそう考えたのか。相手は自分の考えの何を知りたいのか」…そういう意識がそもそもなかったのです。

自分の中では当然だと思っていることは、他の人がまったく思いもよらなかったことかもしれませんし、実は問題があることがわかっていてすでに却下された考えなのかもしれません。自分の考えや、なぜそう考えたのかの理由を伝えられれば、答え合わせをすることができます。その結果自分の知識が増えたり、お互いにどんなことを考えているのかを知ることができます。

最近の私はこれがとても面白いと思うようになってきました。自分の知識を深めることができるし、それにより自分と違う考えの人がいることを歓迎することができるからです。

珍しい経験をしていて他の人と違う考え方をしている方は、私と同じように自分の考えを伝えるところでつまずくことが多いのではないかと思います。しかし自分の考えやその理由を相手に伝えることができるようになると、他の人と違う考え方をしていることそのものが強力な武器になります。

とても難しいことだと思いますが、自分がなぜそう考えたのかを自分なりに伝える訓練を続けてみると、それまで見えていなかった道が開けるかもしれません。

人と違う特性は、ターゲットにされやすい。心に傷を負う前にすべきことは…

もう一つ気づいたことは、人と違うところを指摘したり馬鹿にしたりして面白がる文化が日本にはあるようだということです。周りと少し違う特性がある人は、社会生活を送る上で、このターゲットになりやすいと思います。

私には考えるときに人差し指を立てて唇をなぞるクセがあります。ある日私が考え事をしていたとき、当時の上司が「なんでそんなことしてるの?」といいながら私のマネをして笑っていました。周りの人たちもそれをみて笑っていました。それ以降、私がこのクセをしてしまうと、他の人がマネするようになりました。その後、飲み会でもネタにされ、どんどん広がっていきました。

その後数年して転職をし、ネタにされることはほとんどなくなりました。私自身そういうマネを無視できるようになったこともあるのかもしれませんが、何を面白いこととするかは会社の文化によるところが大きいのだと思います。

もし自分がいろいろやってみても辛いなと感じる職場なら、転職などで環境を変えてみるのが有効なのだと思います。環境を変える活動はとてもエネルギーを使いますし、必ずしもうまくいくわけではありませんが、周りの人たちの意識や考え方を変えたり変わるのを待っているより現実的な方法です。

心が元気ならいくらでも次の職場を探すことができますが、一度心に傷を負ってしまうと私のようにうつ病を患ってその後何年もその影響を受け続けるかもしれません。そうなる前に他の環境へ逃げてもいいと私は思います。

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社会人となると、学生時代にくらべて、さまざまな年齢層、さまざまなバックグラウンドを持つ人と一緒に仕事をすることになります。人と違う特性のある人の場合、つまづいてしまうことも多くあると思います。私自身、試行錯誤中のところもあり、すっきりと解決策を紹介できない部分もあります。

ですが、次のポイントを意識して生活すると、トラブルを減らすことができるのではないかと思います。

■会社の「暗黙のルール」を「具体的なルール」に翻訳する
■トラブルを起こしがちな行動パターンに気づき、予防策をはる
■自分の「当然」は人と違うかもしれないので、なぜそう考えるのかを言葉にして説明する
■いじめのターゲットにされたら環境を変える


今回のコラムでは、私が新卒時代につまづいたことと、そこから学んだことを紹介しました。これから社会に出る人や、社会に出たものの困っている人の力になればうれしいです。
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