発達が気になる子どもと家族の、住まいづくり・住まい選びのポイントは?【Vol.1】

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家は本来、一番安心して過ごせる場所となるはずですが、発達が気になる子どもとその家族にとっては、一般的な家屋やマンションでは、落ち着いて過ごせないことも…。
でも、照明や間取り、建具や床・壁など、特性に合わせた工夫をすれば、安心して過ごせる住まいづくりができるのではないでしょうか。
このコラムでは、発達ナビユーザーへのアンケート調査をもとに、専門家とともに、親子が安らげる住まいづくり・住まい選びを考えます。

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発達が気になる子どもがいる家族の「住まい」の困りごと

発達ナビと「LIFULL HOME'S 住まいの窓口」は共同で、「発達が気になる子どもと家族の住まいづくり・住まい選び」連載をスタートします!
この連載では発達の気になるお子さんがいるご家庭の「住まいの悩み」にスポットを当てて、ニーズに合った住まいづくりや住まい選びにまつわるさまざまなアイデアを、リフォームやDIYなども交えながらご紹介していきます。連載第一弾は、「発達が気になる子どもと家族の、住まいづくり・住まい選びのポイント」です。
発達ナビ会員のみなさまを対象にした、住まいに関わるトラブルや住まい選びについてのアンケートでは、702名の会員の方からご回答をいただきました(2018年3月8日~23日実施)。
 
「お子さんが屋内で危険に遭遇したことがありますか?」という質問には55%の方が「ある」と回答。さらに安全対策を実施している割合については、危険遭遇体験が「ない」と答えた人では68%なのに対し、「ある」では実に92%もの方がすでに実施済みで、「子どものうちはよくあること」などと軽視できないような危険があったことが推測されます。

では、具体的にはどのような危険遭遇体験があり、どんな対策をされているのでしょうか?
発達障害がある子ども屋内での危険遭遇リスクと安全対策
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「高所からの転落・飛び降り」が多く、またすでに多くの方が対策されていることも分かります。グラフを見ると「飛び降り」に加え「飛び出し」「勝手に出かける」など、家の外に出てしまうことで起こる事故については対策・体験とも高い数字となっています。反面、「お風呂場の事故」「火遊び」「感電」「刃物」といった項目では、実際の発生件数よりも対策が進んでいることも見てとれます。

いずれにせよ、発達の気になるお子さんのいるご家庭では、家族が安全面に大変に気配りをしながら暮らしていながらも、対策が万全とはいかない現実があるようです。

ご家庭で起こるトラブルは、お子さんの身の危険だけではありません。73%の方が近隣を巻き込んだトラブルを経験しています。
具体的な近隣トラブルリスクと対策
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もっとも多くのご家庭が頭を悩ませているのが「音」です。大きな声、歌、足音、飛んだり跳ねたり…など、とくにマンションにお住まいのご家庭では、音にまつわるトラブルに悩んでいる様子が垣間見られました。

「禁止」と「監視」でがんじがらめにしないために、わが子の個性と向き合おう!

発達が気になる子どもたちは、感覚過敏などそれぞれの特性ゆえ、幼稚園や学校などの集団生活の中で大きなストレスを感じていることも少なくありません。ですから、子どもたちにとって、家庭はストレスなく過ごせる環境にしてあげたい――。でも保護者は同時に、危険のない環境にしたいと考えますよね。

そこで…
・子どもの安全のためにと、間仕切りの無い広いリビングにしたら、さまざまなものが目に入って落ち着けないかもしれません。
・危ないところはすべて柵をつけてしまったら、自由に動けるスペースが少なくてイライラしてしまうお子さんもいるかもしれません。
・何の対策もせずに保護者が「監視」し続ければ、親子ともに疲れてしまいそうです。
という壁にぶち当たることもあるのではないでしょうか。

では、子どもたちにとって、わが家こそが地球で一番安心できて、自分を素直に表現できるオアシスであってほしいという思いと、危険やトラブルなく安全に暮らしたいという思い。どちらも叶えられる住まいとはどういったものなのでしょう?

そこで、二人の専門家に、子ども一人ひとりの特性に合った住まいづくりの「アイデア」と、その「実現方法」を教えていただきました。「よこはま発達クリニック」院長で大正大学心理社会学部教授の内山登紀夫先生に「アイデア」を、「地域住環境研究所」代表としてバリアフリー建築を手がけてきた福井義幸先生に「方法」を伺いました。

お子さん一人ひとりの特性や嗜好と向き合えば、家具や調度品の色や配置などで自然と行動を促すなどで、トラブル回避と心地よさを両立できる場合も少なくありません。また、一から建てる注文住宅や中古物件のリフォームなら、安全対策の柔軟さは増し、コストと見合ったメニューの選択肢は広がります――お二人の話には、実践的なヒントがたくさんありました。次の章では、その内容についてご紹介していきます。

安全で心地よい住まいづくり・住まい選びのポイントは?

家づくりの前提として、まず内山先生が強調されたのは「すべての子にとって、家が『休むだけの場所』であるとは限らない」ということでした。

「よくあるケースは、子どもに何もさせないような住まいにしてしまうことですが、家でこそ活動したい子に休息を無理強いすれば、大きなストレスを与えてしまいます」(内山先生)

大事なのは、家のそれぞれの場所ごとに目的とルールを決めて、それを「見える化」することだと言う内山先生。また、お母さんから常に子どもが見えるようにと間仕切りをすべて取っ払ってしまうケースもよくありますが、パーソナルスペースがないと安心できないタイプの子どもには、「いつも見られている」ことが大きな不安となることもあるそう。

わが子の個性、特性、好みとしっかり向き合って、物々しい対策をなるべく減らすためのアイデアにはどんなものがあるのでしょうか?

「静かにしなさい!」「やめなさい!」を減らすには?

・防音対策

家の中で飛び跳ねたり、大きな声を発したりするなど「音」を発生させる行動を完全に止めるのは難しく、壁や床、窓の防音対策はどうしても必要だと、内山先生は話します。防音対策について福井先生に尋ねると、「そんなに難しくはありません」とあっさりと答えてくれました。
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「窓は二重窓が防音だけでなく遮熱と結露対策になるのでおすすめです。戸建てであれば二重サッシやペアガラスにすればいいですし、分譲マンションなら後付のサッシを内側に付けることもできます」(福井先生)

床については、建築関連の法律や規格が改正されたことで、現在の建築物は軽量床衝撃音遮断性能(LL)、重量床衝撃音遮断性能(LH)のいずれもが45以下になることが推奨されていて、日本複合・防音床材工業会による調査結果では出荷量の90%以上がすでに45以下となっているそうです。
※遮音性能についてはほかの規格もありますので、新築あるいは物件購入の際にはチェックしてみましょう。

マンションの場合は、「スラブ」と呼ばれる構造床の厚さが重要になってきます。かつては180mmが一般的でしたが、現在は200mmとなっていて、防音、防熱どちらの性能も向上しています。つまり、比較的新しい物件ほど性能が高いと言えます。

でも、「古い物件だからといって対策ができないわけではない」と福井先生は言います。

「スラブは共用部にあたるので世帯ごとに改良工事をすることはできませんが、スラブの上に、床衝撃音遮断性能を満たす置床や仕上げ材にすることで防音性も高まります。壁も同様に構造壁の上にアキレスボード、あるいはグラスウールなどの断熱材を入れたり、発泡ウレタンを吹き付けるなどで、防音性能も高めることができます。近年ではさまざまな遮音材も市販されているので素材によってはDIYが可能なものもあります」(福井先生)

リビングや子ども部屋など、お子さんがよく活動する場所とそうでない場所でメリハリをつければ、コストや手間も小さくできそうです。

さらに内山先生はこんな「知恵」も教えてくれました。

「すぐそばに高速道路や幹線道路があるマンションは騒音対策をしていることが多いので、防音性能が期待できます。さらに1階に住む、角部屋を選ぶ、子ども部屋をなるべく真ん中あたりにする、といったことでも隣近所に漏れる音を小さくできます」(内山先生)

物件そのものの「条件」と、無理のない「工夫」、この掛け合わせ次第でコストや手間はだいぶ変わってきそうですね。
・飛び降り/飛び出し対策

家を建てる場合や部屋を選ぶ場合は、「掃き出し窓」をなるべく少なくすることで、外への飛び出しや庭へ転落のリスクをだいぶ減らすことができます。引き違い窓にしたうえで、位置を少し上げるなどの工夫もよいでしょう。
掃き出し窓と引き違い窓
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「ドアを(安全性向上のために)内側だけでなく外側からもロックできるようにする、カギの位置を高くするなどの工夫をされている家庭は多いですね」(内山先生)

福井先生によればこれらの改良は難しいものではなく、それほど高価でもなさそうです。
「普通の窓はカギを閉めても少しだけ隙間ができますが、エアタイトサッシやセミエアタイトサッシにすればほぼ完全に密閉されて、防音・防熱性能も高くなります」(福井先生)
エアタイトサッシイメージ
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「ドアや窓枠、とっ手などの色を統一すれば、より落ち着く環境になるでしょう」と福井先生。

ガラスもすりガラスや薄い色の入ったもの、不透明の飛散防止フィルムを貼るのも、外の様子が気にならず、視覚への刺激を抑えられるのでおすすめだそう。
・インテリアで「ルール」や「目的」を明示する

「ダメ!」「立入禁止!」のなるべく少ない家にするには、場所ごとの「機能」や「目的」、「主に使う人」を色やレイアウトで示してあげるのが効果的です。このような手法を「構造化」といいます。
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たとえば、カーペットの色を子ども部屋は「グリーン」、みんなが集まるリビングは「クリーム」といった具合です。また、お風呂場や火を使うキッチンには一人で入らないように赤いテープで仕切りをつけるなども分かりやすいでしょう。また、「ゲーム」「宿題」「歯磨き」などお子さんが「やること」をそれを行うエリアの色で縁取りされたカードにして、ウォールポケットに入れておき終わったカードを「完了」ポケットに入れるルールにする、といった工夫と合わせることで自発的な行動を促す工夫にもなります。
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「こだわりの強い子ほど、色やレイアウトによるルール設定をすすんで守ってくれたりもします。ただ、やるべきことを時間割で示されるのが苦手な子もいるので、一人ひとりの特性に合った設定を考えましょう」(内山先生)

スペースを色分けする際は、お子さんが通っている学校や施設での色分けと同じにすると(一人で入ってはいけない場所は赤いテープを床に貼って仕切るなど)、混乱せず理解しやすいとも教えてくださいました。
・「自分だけの空間」をつくる

「親としては間仕切りを取っ払った間取りでつねにお子さんを見守ろうと考えてしまいがちですが、家のなかも一つの『社会』です。家族からの視線が遮られた状態でないと、リラックスできない子どももいます。 家族がリビングに集まることが幸福な家庭であることもあるし、そうではない場合もあるということを知ってください」(内山先生)
家族のそばでないと落ち着けないお子さんもいれば、「一人でいる」状態がもっとも安心できるお子さんもいます。とはいえ、完全に目を離すわけにもいかない…そんな場合はそれほど高さのない壁で小さなパーソナルスペースを作ってあげましょう。異変があればすぐに気づくことができますし、少しだけでも視線を遮ってあげれば安心できるお子さんは多いそうです。
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「成長に応じてレイアウトを変える必要もあるでしょうから、間取り自体はなるべくシンプルにするのがいいでしょう」(福井先生)
・「上手に隠す」ことが大事

電灯の傘(シェード)やスイッチ、ドアノブ…など、子どもの興味を惹くもの、視覚的な刺激になってしまうものを上手に隠してあげると、怪我や破損を防ぎやすくなります。

「電灯の傘はボール投げの的になったりするので、あらかじめ天井に埋め込むか、後からでもシーリングタイプにしたほうがいいでしょう。スイッチが目に入ると、スイッチを入れたり切ったりしたくなってしまう場合は、子ども部屋の電灯スイッチを廊下側に付けたり、あるいはリモコン式にして子どもの視界に入らないようにするといった方法があります」(内山先生)
埋め込み型シーリングライトのイメージ
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また、光を眩しく感じやすい子も多いので、電灯のカバーは白で光を柔らかくしたほうがいいそうです。

「蛍光灯のチラつきが気になる子もいますし、LED電灯をつらく感じる子もいます。LED電灯でも、光の強さや色味のバリエーションがどんどん増えていたりもします。お子さんに合わせた照明を選びましょう」(福井先生)

子どもの興味を惹いてしまう家具や家電もなるべく置かないほうが安全です。例えば、備え付けの造作家具を設置したり、家具家電そのものを隠せたりするような工夫があるといいでしょう。また、ウォークインクローゼットをつくり、収納家具を極力減らすことも有効です。

分類にこだわりのある子は大きめの引き出し一段ごとにルール設定をすると、積極的に片付けをやってくれたりもするそうです。福井先生の手がけた家では、小さな和室をウォークインクローゼットに改造して、扉をほかの壁と同じ色に統一したという例もありました。そうすることで視覚的な刺激も抑えられ、収納を一カ所にまとめることで片付けもしやすくなったそうです。

子どもはどんどん変わっていく――変化に対応できる住まい選び、家具選びを

発達が気になる子どもに限らず、子どもは成長に従って身体的にも感覚的にも成長し、変化していくものです。高級な家具やインテリアは、子どもの成長で使えなくなるかもしれませんし、壊れたからといって気軽に買い換えるというわけにもいきません。

「ソファの上でジャンプするのを禁じるよりも、安価なソファにしてボロボロになったら替える、あるいはおもちゃのトランポリンを買うなどの、割り切りも必要です。フロアマットも高級なものではなく、ホームセンターや百均で売っているような安いもののほうが、汚れたり壊れたりしてもあきらめがつきます。高くて立派な調度品を揃えるとどうしても禁止事項が増えてしまい、子どもの行動を規制することになりがちです」(内山先生)

禁止事項をなるべく減らし、かつ安全で、子どもの変化にも対応できるようにする――家具選び一つとっても、少しの工夫や割り切りで、家族みんなのストレスがぐっと減りそうです。

間取りも同様に、お子さんの成長に合わせて調整できるよう、可変性の高いものにしておくことがポイントになりそうです。

「住まいの窓口」で理想の不動産会社、建築会社探しを

発達が気になる子どもとご家族の、さまざまなライフスタイルに合わせた住まいづくりや住まい選びが大切です。今回ご紹介したのは一例であり、ストレスなく、安全に暮らすためには、ご家族ごとにいろいろなパターンがあります。

そうした、さまざまなニーズに合わせて細やかにアドバイスをしてくれるのが、「LIFULL HOME'S 住まいの窓口」です。「LIFULL HOME'S 住まいの窓口」は、不動産会社ではありませんので、第三者的な立場でのご相談やアドバイスはもちろん、ご家族に合うさまざまなハウスメーカーや工務店、不動産会社などへの紹介が可能です。ニーズに合った住まいづくりや住まい選びを、ハウジングアドバイザーが無料でサポートしてくれます。
※リフォームのみのご相談は関東一都三県(一部エリア外あり)にお住まいの方のみとなります。
物件購入にかかる諸費用の見積もりや、見落としがちなポイントの指摘やアドバイス、不動産会社へのお断りの代行もしてくれるなど、すべてのサービスは無料で受けられます。

全国どこに住んでいても相談でき、電話だけでなくLINEでも気軽にご相談できるのがポイントです。住まいづくりや住まい選びは、人生の中で何回も経験できることではありません。よく分からないこと、迷うこともたくさんありますよね。そうしたとき、ハウジングアドバイザーの力を借りることができるのは心強いですよね。

ご家族それぞれの予算とニーズに合った不動産会社・建築会社と出会えるまで、何度でもサポートしてくれるのが「LIFULL HOME'S 住まいの窓口」です。
取材協力/内山 登紀夫先生(よこはま発達クリニック院長)、福井義幸先生(地域住環境研究所代表)
取材・文/柳瀬 徹
イラスト/かなしろにゃんこ
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