親なきあとの現在。「人が人らしく生きていけるありがたみ」を感じて

私の父と母は、想定していたよりも早くに亡くなりました。
母の持病が悪化してしまい、重度の知的障害のある兄を育てることが難しくなったときーーーー兄のこれからの人生を心配し、障害者支援施設に入所するための準備をしたわけですが、当時はまだ私は学生で、きょうだいとして「私も兄も、この先どんな生活が待っているんだ?」といった漠然とした不安は少なからずありました。

そんな時期を乗り越えて、兄が今の障害者支援施設に入所してから18年ほど経ちました。現在、それぞれ別の人生を歩んでいますが、お互いに合った環境で健康に過ごすことができ、久しぶりに会った際にはニコニコ笑って顔を合わせています。

母をはじめとする親戚が、ありのままの兄を受け入れて、陰でサポートし続けてきたお陰だと思います。
「人が人らしく生きていけるありがたみ」を感じ、自分の残りの人生を、「兄を支えてくれている方たちのお陰だ」と感じ、がんばって生きていこうと思えました。

執筆/スガカズ
(監修:井上先生より)
親と同様きょうだいも同じ家族としての支援ニーズを持っています。きょうだいのニーズは、障害種や程度によっても異なりますが、年齢によっても変化していきます。

きょうだいの立場からは、親なきあとに親と全く同じことをしてあげられるわけではないので、さまざまな悩みや葛藤も生じると思います。介護をされておられる方もいらっしゃいますが、互いに年齢を重ねる中で利用可能な支援サービスを活用し、無理のない距離感や生活のスタイルを考えていくことも大切かと思います。
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