学校になじめない、「こだわり」を捨てられない…ADHD息子本人が熱く語るその理由と解決策。かなしろにゃんこ。さん新刊『発達障害 「できないこと」には理由(ワケ)がある!』
ライター:発達ナビBOOKガイド
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講談社
「みんなはできるのに、なんでウチの子はできないの?」。わが子と同年齢のお子さんを比べて、ついそう考えてしまうという方も多いでしょう。
『発達障害「できないこと」には理由(ワケ)がある!』は、そんなモヤモヤに答えてくれる1冊です。著者は、発達ナビでも人気の漫画家、かなしろにゃんこ。さん。ADHDとASD(広汎性発達障害)があるリュウ太さんの視点で描かれるコミックと、東京女子大学の前川あさ美先生による解説で、発達障害のある子どもたちが見ている世界をひもときます。
ADHDの当事者である息子、リュウ太さん。小学校時代にはこんな特性が…
かなしろにゃんこ。さんの新刊『発達障害「できないこと」にはワケがある!』の主人公は、ADHDの当事者である息子、リュウ太さん。小学校時代の彼には、こんな特性があったそうです。
「落ち着くことができない」
「やりたいと思ったら止められない」
「集団行動ができない」
なぜこんなに「できないこと」が多いのか?本書では、23歳になった本人の口から、その理由が語られます。
例えば小学校で、リュウ太さんはどうしても授業に身が入りませんでした。そのワケは、「ノートをとる」という作業ができなかったから。記憶しておくことが苦手だったので、書きとる内容は小分けにして、なんとか覚えて、黒板とノートを何度も見返して板書したそうです。
「落ち着くことができない」
「やりたいと思ったら止められない」
「集団行動ができない」
なぜこんなに「できないこと」が多いのか?本書では、23歳になった本人の口から、その理由が語られます。
例えば小学校で、リュウ太さんはどうしても授業に身が入りませんでした。そのワケは、「ノートをとる」という作業ができなかったから。記憶しておくことが苦手だったので、書きとる内容は小分けにして、なんとか覚えて、黒板とノートを何度も見返して板書したそうです。
発達障害 「できないこと」には理由がある!
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こんなことをくり返していたら、とても疲れそうですよね!でも、頑張ってもうまく書けない場合があったそうです。たとえば「身近にある…」という文章の「身近に」を書きとろうとしてノートに目を移した瞬間、覚えていたことパッと忘れてしまうこともありました。そこでまた黒板を見ると、今度は「自分がどこを見ていたのか」が思い出せません。
漢字の練習では、先生のお手本を見ても同じように書き写すことができず、しかも自分の書いた字とお手本の「何が違うのか」が分からなくてモヤモヤ。おまけに筆圧が強いので、鉛筆の芯をたびたび折ってしまい……と、こうしてすっかり嫌になって、授業をサボり始めてしまうのでした。
漢字の練習では、先生のお手本を見ても同じように書き写すことができず、しかも自分の書いた字とお手本の「何が違うのか」が分からなくてモヤモヤ。おまけに筆圧が強いので、鉛筆の芯をたびたび折ってしまい……と、こうしてすっかり嫌になって、授業をサボり始めてしまうのでした。
まだまだあった!学校での「しんどいこと」とは
学校ではほかにも、リュウ太さんにとって「しんどいこと」がたくさんありました。たとえば、午前中は体に力がはいらなくてだるいときもあるのに、体育の授業には参加しなければいけません。運動会の練習は、大の苦手。椅子を持って校庭に出ることに納得ができず、できているのにみんなで何度も同じ動作を練習することがどうしてもできません。
極め付きは音楽の授業です。クラスメートが吹くリコーダーの音で苦痛を感じていたのに、先生は彼の事情を理解してくれませんでした。しんどい体験を重ねるなかで、リュウ太くんの心のなかにはこんな思いがわいてきます。
極め付きは音楽の授業です。クラスメートが吹くリコーダーの音で苦痛を感じていたのに、先生は彼の事情を理解してくれませんでした。しんどい体験を重ねるなかで、リュウ太くんの心のなかにはこんな思いがわいてきます。
できるようになることもたくさんある!
ページをめくるごとに、リュウ太さんの生きづらさや「なんでみんなと同じにしないといけないの?」というストレートな疑問が身に迫ります。同時に、「当事者は、こんなしんどい思いをして一生を過ごすのか?」と心配にもなりますが、そこは心配ご無用。リュウ太さんによると、成長につれてできるようになったことも、たくさんあったそうです。
たとえば、中学を卒業するころには筆圧コントロールができるようになりました。きっかけは、中学2年生のころ、お母さんのようにイラストを描いてみたいとマンガ用の細ペンにチャレンジしたこと。1年間の練習で繊細なタッチの絵が描けるようになったうえ、願書や履歴書などの記入欄にもきれいに文字を書けるようになったそうです。
勉強にも取り組めるようになりました。18歳で自動車運転免許を取得しようとしたリュウ太さんは、勉強するしかなくなります。最初はうまくいきませんでした、それでも何とか取り組むうちに、「勉強とは何か」「どうすれば問題を解けるようになるのか」を自分なりにつかんで、努力できるようになったのです!
たとえば、中学を卒業するころには筆圧コントロールができるようになりました。きっかけは、中学2年生のころ、お母さんのようにイラストを描いてみたいとマンガ用の細ペンにチャレンジしたこと。1年間の練習で繊細なタッチの絵が描けるようになったうえ、願書や履歴書などの記入欄にもきれいに文字を書けるようになったそうです。
勉強にも取り組めるようになりました。18歳で自動車運転免許を取得しようとしたリュウ太さんは、勉強するしかなくなります。最初はうまくいきませんでした、それでも何とか取り組むうちに、「勉強とは何か」「どうすれば問題を解けるようになるのか」を自分なりにつかんで、努力できるようになったのです!
「できない=ダメ」という思い込みにとらわれないでほしい
このような流れで本書には、幼少期の様子、小中学校での困りごと、家族や友人との関わり、そして社会人となって働いている23歳の現在までをカバーする、8つのエピソードが収められています。親子ならではのユーモラスな掛け合いがくり広げられ、読みだしたらとまりません。
各エピソードのあとには、監修者の前川あさ美先生によるアドバイスも掲載。支援歴40年のキャリアのなかで得た臨床経験を交えながら、発達障害がある子どもの感覚や考えが、さらにくわしく解説されます。それだけでなく、具体的な支援の工夫やヒントがあるのも、読者にとってはうれしいポイントです。
エピローグでリュウ太さんは「うまくいかなくてイライラすることもあるけど、どうしたらいいのか考えているうちに気持ちが落ち着いてくるって気づいたよ」と語っています。
各エピソードのあとには、監修者の前川あさ美先生によるアドバイスも掲載。支援歴40年のキャリアのなかで得た臨床経験を交えながら、発達障害がある子どもの感覚や考えが、さらにくわしく解説されます。それだけでなく、具体的な支援の工夫やヒントがあるのも、読者にとってはうれしいポイントです。
エピローグでリュウ太さんは「うまくいかなくてイライラすることもあるけど、どうしたらいいのか考えているうちに気持ちが落ち着いてくるって気づいたよ」と語っています。
成長とともに「できない」が「できる」に変わっていくこともある一方、苦手なまま残ってしまうことも、もちろんあります。でもそれは、ADHDがある人に限った話ではありません。私たちはそれぞれに得意なこと、不得意なことがあり、お互いに助け合い、認め合って生きているものです。
子どもを育てる親は、どうしてもわが子の「できないこと」「苦手なこと」に目をむけ、それを克服させてあげたい、成長させてあげたいと思ってしまいます。でも、「できない」ってそんなに悪いこと?できないことがある人はダメな人間でしょうか?この本に描かれるリュウ太さんの成長を見ていると、「できない=ダメ」という思い込みにとらわれることは、自分で自分を苦しめることかもしれない、と気付かされます。
本書は、好評を博している『発達障害 ぼくにはイラつくワケがある』『発達障害で問題児でも働けるのにはワケがある』シリーズの最新刊です。前二作も合わせて読むと、より発達障害のリアルが分かっておすすめです。
文/浦上藍子
子どもを育てる親は、どうしてもわが子の「できないこと」「苦手なこと」に目をむけ、それを克服させてあげたい、成長させてあげたいと思ってしまいます。でも、「できない」ってそんなに悪いこと?できないことがある人はダメな人間でしょうか?この本に描かれるリュウ太さんの成長を見ていると、「できない=ダメ」という思い込みにとらわれることは、自分で自分を苦しめることかもしれない、と気付かされます。
本書は、好評を博している『発達障害 ぼくにはイラつくワケがある』『発達障害で問題児でも働けるのにはワケがある』シリーズの最新刊です。前二作も合わせて読むと、より発達障害のリアルが分かっておすすめです。
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