娘にいろいろな体験をさせてあげたいけれど

私たちは家族なので、娘がどんな行動をとっても受け入れることができます。

しかし、今回一番つらかったのは周囲の目でした。周りの驚き、「なぜ静かにさせられないのか」という思いを、痛いほど感じました。結婚式という特別な場です。式に行く前から「絶対に迷惑はかけられない」と気負っていた分、「迷惑をかけてしまった」ことは、私の心に重くのしかかりました。知人にも、参列者にも、そして慣れない場に連れてきてしまった娘にも申し訳ない気持ちになりました。

それ以降、子どもにいろいろな経験をさせたいと思う一方で、他人に迷惑かけてしまったらと思うと、なかなか勇気が出せないでいます。また、他人の視線に私たちも傷つきたくない、という気持ちもどこかにあるのも事実です。

姉のピアノ発表会でのヒヤリ体験。そして今、感じること。

その後、長女のピアノの発表会が何度かありましたが、静かにすることができない、椅子にじっと長時間座っていることができない、突発的な行動をすることから、娘は留守番をさせていました。

ですが本人が「発表会に行きたい」と言ったときは、長女の出番のときだけ発表会会場に入ったことがありました。最初は静かに座っていましたが長女がドレスを着て舞台で主役になっているのを見て羨ましく思ったようで、ほんのちょっとした隙に、長女の演奏中に舞台中央に走っていってしまいました。
長女がドレスを着て舞台で主役になっているのを見て羨ましく思ったようで、ほんのちょっとした隙に、ASD、知的障害、先天性の疾患のある娘は長女の演奏中に舞台中央に走っていってしまいました。
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長女の友達や、その保護者はやさしく見守ってくれましたが、親としては、とても焦り蒼白となった出来事でした。

障害のある娘が、長女のようにドレスを着て発表会の主役になることは難しいかもしれません。そんな娘のことを思うととても複雑な気持ちになりますが、娘が娘らしく楽しく過ごしていけるように、親としてできることは何か、日々考えていきたいと思っています。

小3になった今も、興味のないこと、想像と違った事に対してはすぐ飽きてしまい、長時間静かにすることは難しく、お出かけの際に我慢をさせてしまうことも多いです。しかし、我慢して出かける形になっても、いざ出かけると楽しそうにしていることもあり、最近では、出かける前に、「どこに」「何をしに」「何の乗り物で」「誰と行く」「誰と会う」を紙に書いて目で見て読ませ、想像が難しくても説明をし、娘が納得してから出かけるようになりました。

途中で飽きたり、ぐずり出すときもありますが、短い時間だけでも我慢するように約束し、一度した約束は、こちらも引き伸ばさず、どんなときでも守るようにしています。そうすることで、成功体験と、約束を守る信頼関係につながり、少しずつではありますが、娘も成長し、我慢と納得ができるようになってきています。
イラスト/SAKURA
※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。

(監修:井上先生より)
小さいうちからいろいろな体験をさせてあげたいという親御さんの思いは納得できます。一方、お子さんにとっての新規な場面は興奮や多動につながりやすいですし、周りの目も気になる、といった葛藤に悩まされるかもしれません。イベントの途中で十分な休憩を挟めるような場所を確保したり、スポット参加を工夫をすることで、トライすることも良いでしょう。

また、視点を変えて「少し大きくなってから」にしていくのも一手です。年齢と共に行動も変化し、参加できることは徐々に増えていくと思います。少し大きくなって、それらの刺激が受け入れられるようになってから体験するというのもありかもしれません。焦らず無理せず、そして工夫も加えて親御さんもイベントを楽しめる環境がつくれるとよいですね。
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