最後に

産休に入るときは、「職場のすぐ近くに認定こども園も保育園も幼稚園もあるし、仕事復帰しやすくて恵まれた環境だな~」と思っていたので、まさかその中のどこにも入れないとは予想外でした。さらに言うと、まゆみの妹も特性ありで、まさか2人の療育のために仕事を辞めることになろうとは想像すらしていませんでした。

保育方針などをしっかり調べて「ここにしよう!」とプレに通った園にも入れず、2歳入所も年少入所も時期尚早と、入園に関しては希望がことごとく打ち砕かれてきたため、今はやっと集団生活へ入れるようになったという喜びをかみしめています。

希望が打ち砕かれてきたと書きましたが、私に「集団生活に入るにはどの程度のコミュニケーションスキルがあった方が後々良いのか」という知識と、まゆみの状態を客観的に判断する力がなかったという話なので、たくさんの子どもたちを見てきた療育の先生方に判断してもらえたことはとてもありがたかったと思っています。まゆみも本当によく頑張ってくれました。

よく「自閉スペクトラム症の困難が大きくなってくるのは集団生活に入ってから」といった話を聞くので、きっと本番はこれからなんだろうと思いますが、まずはまゆみの成長と頑張りを褒めて保育園へ送り出してあげたいです。

また、仕事や家族のためにどうしても療育よりも入園を優先させないといけないご家庭もあると思います。
実際、うちも療育優先にして育休を延ばしたり退職したりしたことで家庭の状況はガラッと変わりました。仕事と療育の兼ね合いをどう判断するかは夫婦が決めることで、誰も口出しはできないと思います。

事情は家庭によっていろいろですが、自分と子どもが置かれた状況の中で、自分も子どもも笑って過ごせるような道があればきっとそれが一番なんだろうと思っています。

執筆/にれ
(監修:藤井先生より)
まずは、まゆみさん、ご入園おめでとうございます。新しい環境で慣れないことも多々あるかとは思いますが、新たな刺激を受けて、きっと楽しいこと、できること、成長することもたくさんあると思います。ここに至るまでににれさんが、いろいろな方へ相談したのはとても良かったと思います。精神的に追い詰められながらも、心のSOSを療育の先生に相談されたことで、通所の療育につながることができました。地域によって、療育園や、保育園、幼稚園の発達障害のお子さんへの対応が一律ではありません。しかし、個別に相談することで、お子さんにとって、その地域に暮らす上での、ベストはないかもしれないですが、ベターを探すことはできると思います。新しい園でまゆみさんが笑って過ごせることを願っています。
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コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
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