周りの目が気になる…4歳自閉症息子、大好きな電車へのこだわりで大声、奇声がさく裂!マナーを守るには?
ライター:まる
知的障害を伴う自閉スペクトラム症のある4歳の息子は、なによりも電車が大好き。最近、息子は電車のホームや車内で大声を出すようになってきました。今回はそんな息子の様子を書いています。
監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
大声で気持ちを表現
最近、息子は気に入らないことや気分が上がることなどがあると、大声を出す場面が増えてきた。
大声を出す理由が分かっているからまだいいのだが、外出中に自分の行きたい方向へ行けなかったときや、息子の「デンシャ(に乗りたい)」という主張に対して、母である私から今は乗れないよ、などの息子が思った返答が来なかったときなど、街中など関係なく「あー!!」とめいっぱいの大声を出す。
不機嫌な状態とは別に、大好きな電車に乗りに行き、ホームで電車を待っている時に遠くから電車が来ると「きたー!!」と大声で叫んだり、車内に入ると電車の走行音の真似を「ウィー!!」と大声でしだしたりする。この時は本当にうれしそうにニコニコと笑いながら声を発しているのだが、何を言っても止められないことがあり周囲の目が気になってしまう。
大声を出す理由が分かっているからまだいいのだが、外出中に自分の行きたい方向へ行けなかったときや、息子の「デンシャ(に乗りたい)」という主張に対して、母である私から今は乗れないよ、などの息子が思った返答が来なかったときなど、街中など関係なく「あー!!」とめいっぱいの大声を出す。
不機嫌な状態とは別に、大好きな電車に乗りに行き、ホームで電車を待っている時に遠くから電車が来ると「きたー!!」と大声で叫んだり、車内に入ると電車の走行音の真似を「ウィー!!」と大声でしだしたりする。この時は本当にうれしそうにニコニコと笑いながら声を発しているのだが、何を言っても止められないことがあり周囲の目が気になってしまう。
電車のこだわり
大声と合わせて電車へのこだわりもでてきた。今までは来る電車全てをうれしそうに見て、どの電車に乗り込んでも特になにも言わなかったのだが、ここ最近車両に対するこだわりが出てきて、好きな電車が来るまで乗りたくないの一点張り。予定があるからと息子がこれじゃないと言う電車に無理矢理乗せようとすると大声を張り上げてしまう。
ただ、息子の抗議の大声はずっと続くわけではなく、なんとか電車に乗り込んでしまえば仕方ないと思うようで、しばらくすると大人しくなってくれる。それでも、予定があるときは毎回ヒヤヒヤしてしまう。
先日、息子と出かけた際、用事が済んだ後に時間もあったので、息子のお目当ての電車が来るのをひたすら待っていたのだが、待てども待てども息子が乗りたい電車が来ない。もうそろそろ来た電車に乗って帰ろうよと声をかけても「ノラナーイ」としっかり答える。こういうときはしっかり返答するんだよなぁと感じつつ、家に帰れたのはだいぶ遅い時間になってしまった。
ただ、息子の抗議の大声はずっと続くわけではなく、なんとか電車に乗り込んでしまえば仕方ないと思うようで、しばらくすると大人しくなってくれる。それでも、予定があるときは毎回ヒヤヒヤしてしまう。
先日、息子と出かけた際、用事が済んだ後に時間もあったので、息子のお目当ての電車が来るのをひたすら待っていたのだが、待てども待てども息子が乗りたい電車が来ない。もうそろそろ来た電車に乗って帰ろうよと声をかけても「ノラナーイ」としっかり答える。こういうときはしっかり返答するんだよなぁと感じつつ、家に帰れたのはだいぶ遅い時間になってしまった。
大声とこだわりについての対処
大声の問題について療育の先生に相談したところ、「『電車は静かにするところ』ということを何度も繰り返し伝えていきましょう」ということになり、電車で息子が大声を出すたびに「静かにね」と声かけをし続けている。
言葉だけだと電車に興奮しているときに指示が入りづらいかもと思い「でんしゃは しーっ」という持ち運べるサイズの絵本を自作して読み聞かせてみることにした。
言葉だけだと電車に興奮しているときに指示が入りづらいかもと思い「でんしゃは しーっ」という持ち運べるサイズの絵本を自作して読み聞かせてみることにした。
出かける際に一緒に持って行って、息子が大声を出したときに絵本を見せてしーっと伝えている。
まだすぐに大声をやめられるわけではないが、絵本も気に入ってくれたようで、見せると本人も「しーっ」と口に手を当てて真似をしてくれる。
車両のこだわりに対しては、普段使用している路線は、スマートフォンのアプリで次に何の車両が来るかが分かるようになっているので、知人から「車両のこだわりが出たらアプリの画面を見せて『次とその次はこの車両が来るみたいだよ?どっちに乗る?』と2択で選ばせるといいかも!」とアドバイスをもらいやってみたが、本人あまりピンと来ないようでうまくいかなかった。
まだ大声問題もこだわりも現在進行形。息子は現在年中さんだが体格がいいので、ぱっと見だと小学生くらいに見える可能性もあり、私が周りの目が気になるようになってきている。
奇声やこだわりについては、今後もあきらめずに対処していかないといけないな、と思う。
まだすぐに大声をやめられるわけではないが、絵本も気に入ってくれたようで、見せると本人も「しーっ」と口に手を当てて真似をしてくれる。
車両のこだわりに対しては、普段使用している路線は、スマートフォンのアプリで次に何の車両が来るかが分かるようになっているので、知人から「車両のこだわりが出たらアプリの画面を見せて『次とその次はこの車両が来るみたいだよ?どっちに乗る?』と2択で選ばせるといいかも!」とアドバイスをもらいやってみたが、本人あまりピンと来ないようでうまくいかなかった。
まだ大声問題もこだわりも現在進行形。息子は現在年中さんだが体格がいいので、ぱっと見だと小学生くらいに見える可能性もあり、私が周りの目が気になるようになってきている。
奇声やこだわりについては、今後もあきらめずに対処していかないといけないな、と思う。
執筆/まる
(監修:初川先生より)
成長して自分の意志を声や行動で出せるようになったのですね。しかし、状況を理解することや、気持ちの表し方の調節がまだまだ難しい・未熟な段階です。とても難しい話だなと思って拝読しました。というのも、息子くんにとって、ホームや電車内で静かにすることのメリットが今のところ見当たらないように感じるからです。手作りの絵本(素敵ですね!)で、「でんしゃはしーっ」は合言葉のように入っていきつつありますが、静かにしたときにいいこと(息子くんにとっての強化子)があるともっといいかもしれないですね。息子くんが静かにしたときに、いい思いをしているのはおそらく、まるさんはじめ周りの方であって、本人にとっては静かにすることのメリットがない(から、電車に乗るときには静かにするという行動が定着しづらい)かもしれない。もしかしたら、静かにしたらこんないいことがあるよ、うるさくしているとこんなよくないことがあるよ(例えば電車さんが泣き顔になるよなど)も含めて絵本の中には描かれているのかもしれませんが、単純に静かに乗れたらラムネ1個食べられるとか、お母さんが満面の笑みでイイネしてくれる(親指を立ててくれる)とか、本人にとってのメリットを随伴させていくことができるか、試してみたくなりました。
こだわりについても、とても難しいところで、きっとこだわりを持つお子さんを育てていらっしゃる方は共感されるところだろうと思いました。アプリの使用は私も考えましたが、アプリで表示される電車(のアイコン)が、実際に目の前を走る電車を示しているというところの理解ができることはまだなかなか難しいかもしれないと感じました。時間のあるときは、こだわりに付き合うのもいい方法だとは思います。ただ、電車を何本も見送れるときと、見送れないときとで混乱が生じそうな場合は、一律に例えば“電車は3本までしか待てない”のような方法のほうが本人が混乱せずに済むのかどうなのか、そのあたりも検討点のように感じました。
成長して自分の意志を声や行動で出せるようになったのですね。しかし、状況を理解することや、気持ちの表し方の調節がまだまだ難しい・未熟な段階です。とても難しい話だなと思って拝読しました。というのも、息子くんにとって、ホームや電車内で静かにすることのメリットが今のところ見当たらないように感じるからです。手作りの絵本(素敵ですね!)で、「でんしゃはしーっ」は合言葉のように入っていきつつありますが、静かにしたときにいいこと(息子くんにとっての強化子)があるともっといいかもしれないですね。息子くんが静かにしたときに、いい思いをしているのはおそらく、まるさんはじめ周りの方であって、本人にとっては静かにすることのメリットがない(から、電車に乗るときには静かにするという行動が定着しづらい)かもしれない。もしかしたら、静かにしたらこんないいことがあるよ、うるさくしているとこんなよくないことがあるよ(例えば電車さんが泣き顔になるよなど)も含めて絵本の中には描かれているのかもしれませんが、単純に静かに乗れたらラムネ1個食べられるとか、お母さんが満面の笑みでイイネしてくれる(親指を立ててくれる)とか、本人にとってのメリットを随伴させていくことができるか、試してみたくなりました。
こだわりについても、とても難しいところで、きっとこだわりを持つお子さんを育てていらっしゃる方は共感されるところだろうと思いました。アプリの使用は私も考えましたが、アプリで表示される電車(のアイコン)が、実際に目の前を走る電車を示しているというところの理解ができることはまだなかなか難しいかもしれないと感じました。時間のあるときは、こだわりに付き合うのもいい方法だとは思います。ただ、電車を何本も見送れるときと、見送れないときとで混乱が生じそうな場合は、一律に例えば“電車は3本までしか待てない”のような方法のほうが本人が混乱せずに済むのかどうなのか、そのあたりも検討点のように感じました。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。