わが子二人は発達障害、横断歩道で固まりあわや事故⁉「悪い人!」と電車内でいきなり他人を注意…。外出はいつも疲労困憊【読者体験談】

ライター:ユーザー体験談
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【発達ナビでは読者からのエピソードを募集中!今回は「外出トラブル」についてのエピソードをご紹介します。】子どもが二人(兄と妹)いるわが家。現在大学生の兄は自閉スペクトラム症とADHD、高校生の妹は自閉スペクトラム症とADHD、場面緘黙があります。二人が小さい頃はそれぞれに特性があり大変な場面が多くありました。外出時は特に困っていた記憶があります。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。

発達障害兄妹の外出トラブルにはそれぞれの性格が出ていて…。息子は「動かなくなる」タイプ

子どもが二人(兄と妹)いるわが家。現在大学生の兄は自閉スペクトラム症とADHD、高校生の妹は自閉スペクトラム症と場ADHD、場面緘黙があります。

発達凸凹のふたりは困りごともまたそれぞれ。特に外出トラブルには特徴が出ていました。

まず息子。2歳過ぎから始まったイヤイヤ期は大変でした。
息子の靴の裏には吸盤がついているの?と思うくらい、あるときいきなりその場に張りついて全く動かなくなってしまうのです。
その理由はというと、そのときの本人の気分次第!最後まで原因が分からないことも多々ありました。
あるときいきなりその場に張りついて全く動かなくなってしまう息子
あるときいきなりその場に張りついて全く動かなくなってしまう息子
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ショッピングモールでこれが起こると、予定していた買い物ができないのはもちろんのこと、周りの目も気になります。
ほかの買い物客の邪魔になってはいけないと移動させようとするのですが、脱力してクネクネした息子は移動不可能。抱っこしようにも、小柄な私には体重14キロほどの息子を運ぶのは難しく、無理に持ち上げたら転びかねません。

息子の頭をなでなでし、いつ終わるかなぁと溜息をつき、通る人に頭を下げて、息子をなだめたり気分が変わるように息子の気をひきそうな話をしてみたり…これを延々と続けることになります。うまくいけば15分、失敗すれば2~3時間コースです。

そして一番危険なのが横断歩道!横断歩道の真ん中でこれが発動してしまうと、命にかかわります。
そういうときは急いで歩道まで引きずっていくのですが、それはイヤだと全力で戻ろうとする息子。私はともかく必死で歩道に連れ戻して息子の安全確保していました。
わめき叫ぶ息子の横でなんとか冷静を保ち、「お家に帰ろう?」「公園いく?」「抱っこしてあげるから泣き止もうね」と必死でなだめますが、周りからは、虐待では?という視線が容赦なく注がれます。
「うるさい!」「連れて歩くな!」「しつけがなってない!」
なんて言葉をかけられたことも多々あります。
そして
「気にしなくて大丈夫よ」
と慰められたことももちろんありました。

私は「騒がしくてすみません」とひたすら頭を下げ、息子が気を持ち直して歩いてくれるか、ひたすら寝落ちしてくれるのを待ちました(寝てくれないとベビーカーやカートに乗ってくれなかったので)。
命に別状がなければ溜息ついて待つ、それしか手がありませんでした。

こうして息子のイヤイヤ期は過ぎていったのですが、この息子の外出トラブル、実は娘も連れているのです。癇癪を起こす息子と娘、二人をみながらの外出は、本当にハードでした。
横断歩道の真ん中で固まる、癇癪を起こしてしまう息子と、娘と一緒に外出するのはとてもハードでした
横断歩道の真ん中で固まる、癇癪を起こしてしまう息子と、娘と一緒に外出するのはとてもハードでした
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「ママ!あれダメやんね?悪い人!」曲がったことが許せない娘は、不正(?)を見逃さない…!

一方、娘の外出トラブルは兄とはまた別のタイプ。娘は、白黒はっきりさせたい、曲がったことは許せない性格で、普段は常にボーっとしているのに、本人として許せないことを発見したら即指摘、断固直すよう求めます。
その相手が兄や父親といった身内だとまだいいのですが、知らない人だとこの注意がトラブルを招いてしまうことも…。


例えば娘が3歳のころ電車に乗っていたときのことです。座席にかばんを置いている人がいました。
「ママ!あれダメやんね?悪い人!」
場面緘黙がある娘なのですが、こうしたときは声が大きい娘。その声に相手の方がびっくりして謝りながらかばんをどかしてくれても、娘は許せません。「キーッ」とパニック状態になってします。
「ママ!あれダメやんね?悪い人!」と知らない人に注意してしまう娘
「ママ!あれダメやんね?悪い人!」と知らない人に注意してしまう娘
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私は小さな声で「もう気がついたからやめてくれたねー、えらいねー」と言うも娘のパニックはおさまらず雄たけびをあげるのです。私は相手に頭をさげてお詫びすることしかできません。

ちなみに一緒にいる息子も相手を指さして「あかんのにー」と注意します。
私は(本当にやめてほしい…)と疲れ切りながら娘を落ち着かせ、息子には切り替えさせようと「運転席見に行こうとか…」と提案したり、黙れない2人を抱えて右往左往することになります。

移動中は二人とも寝ていて欲しい…と心底願っていましたが、なかなか寝てくれず、外出するたびなにかトラブルが起こるのではといつもヒヤヒヤしていたものです。

外出トラブルからほぼ卒業したいま思うこと

そんな外出での苦労、いまはもう卒業したといってもいいかもしれません。

最近の息子は、パニックはもう起こしません。息子曰く「子どものときやり尽くした」そうです。おそらく誰よりもやらかした経験が多い息子。それでも挫けずチャレンジさせたのが良かったと思っています。

高校生の娘は相も変わらずルール、法律からはみ出す行為が大嫌いです。見つけると声を出して注意をすることはなくなりましたが、イライラしてしまうそうで、外出しなければ見なくてすむからと、家で過ごすことが好きだそうです。ただ、ルールから外れているものを見つけても”事情がある場合もあるのだ”と理解できるようになりました。

そして私はというと、昔の私のようにお子さんの癇癪で困っている方を見つけると、ちょっと離れた位置からしばらく眺めて、助けが必要な状態か見守るようになりました。もちろんお節介にならないように注意しつつ。

もう自分は終わった、開放された!ではなく、経験したからこそ、周りの少しの言葉や態度に救われる場合があります。私も大変だったときにかけてもらった「大丈夫だよ」という言葉には、本当に心を救ってもらえましたし、いまもあたたかい言葉として胸に残っています。

助け合える環境は誰にとっても大切だと感じています。この息子、娘の経験を生かして、これからは誰かの助けになっていければと思います。
息子、娘の経験を生かして、これからは誰かの助けになっていければと思います
息子、娘の経験を生かして、これからは誰かの助けになっていければと思います
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エピソード参考/梛丹

(監修:井上先生より)
外出の際のパニックにはそれぞれの子どもさんによって、そのきっかけも程度も違います。お二人のお子さんを連れての外出は、その理由が分かったとしても、とても大変だったと思います。現在は先輩のお母さんとして、困っている親子をあたたかく見守り、必要な場合は手助けをしていただけるというのは、当事者にとってとてもうれしいことだと思います。
先輩の親として、相談活動を行うペアレントメンターというシステムもあります。各地域ごとに養成や研修をしていると思いますので機会があれば、チャレンジしてみていただけるとよいかと思います。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

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