妹は障害がある長女と同じ園にすべき?きょうだい別の園という選択に夫は断固反対!?【わが家の就園問題】
ライター:にれ
入園願書提出の季節が近づいてきましたね。ASD診断済の長女は療育を併用しながら保育園に通っており、ASDグレーの次女も来年度から保育園に入る予定です。
そこで、悩ましいのが次女の就園先についてどうするか……。
今回はわが家の園選びについて、今まさに私が抱えている悩みを共有させていただきたいと思います。
監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。
現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
きょうだいは同じ園を希望するのが当たり前?
以前、「長女が集団保育に入るまで」の記事でもご紹介したように、特性の強い長女:まゆみの園選びには紆余曲折がありました。
自閉症娘に集団保育は難しい?入園先が決まらず追い詰められた母の出したSOS。娘と家族にとってのベストとは?
現在まゆみは、週に3回、公立保育園のC園へ元気いっぱいに通っています。
入園から4ヶ月が過ぎ、すっかり園の有名人になったまゆみ。「保育園は好き?」と聞いても言葉では答えられませんが、代わりに登園中のニコニコ笑顔と足取りの軽さが「保育園だいすき!」と物語っています。
教室に吸い込まれるやお友達に囲まれるまゆみを見ていると、しみじみと「ああ、先生もお友達もみんながまゆみと距離の近いこの園にして良かった」と思えます。
C園は比較的規模が小さめの園で、①自宅から近いこと、②先生方の目が届きやすいこと、③大勢の中という環境が苦手なまゆみも、ここなら……と考えたこと、この3点が園選びの決め手になりました。
まゆみの願書提出から1年。
以上が前置きとなりまして、今度は次女:あずさの入園先をどこにするかで頭を悩ませています。
現在、あずさの第一希望園をどこにするかは二択まで絞りました。姉のまゆみと同じ公立のC園にするか、私立のD園にするか……
相談した人の多くは、「えっ! わざわざきょうだいで園を分けるつもり!?」「大変だから同じ園のほうがいいよ」と言ってくれますが、きょうだいが在籍している園を第一希望にするのは当たり前のことなのでしょうか?
入園から4ヶ月が過ぎ、すっかり園の有名人になったまゆみ。「保育園は好き?」と聞いても言葉では答えられませんが、代わりに登園中のニコニコ笑顔と足取りの軽さが「保育園だいすき!」と物語っています。
教室に吸い込まれるやお友達に囲まれるまゆみを見ていると、しみじみと「ああ、先生もお友達もみんながまゆみと距離の近いこの園にして良かった」と思えます。
C園は比較的規模が小さめの園で、①自宅から近いこと、②先生方の目が届きやすいこと、③大勢の中という環境が苦手なまゆみも、ここなら……と考えたこと、この3点が園選びの決め手になりました。
まゆみの願書提出から1年。
以上が前置きとなりまして、今度は次女:あずさの入園先をどこにするかで頭を悩ませています。
現在、あずさの第一希望園をどこにするかは二択まで絞りました。姉のまゆみと同じ公立のC園にするか、私立のD園にするか……
相談した人の多くは、「えっ! わざわざきょうだいで園を分けるつもり!?」「大変だから同じ園のほうがいいよ」と言ってくれますが、きょうだいが在籍している園を第一希望にするのは当たり前のことなのでしょうか?
C園かD園かで迷う!どちらも良い園で…
私はもともと、好奇心が強くて活発なあずさには日常的に野山へ連れ出すような保育方針のD園が合っていると考えていました。
D園では机に向ってのお勉強は重視しない代わりに、とことん自然に触れさせ、木造の園舎では園児たちに裸足で過ごさせるという保育を実施しています。今のところあずさは座学も苦にならないタイプですが、D園は母の私が苦手とする自然遊びをさせてくれるという点がとにかく輝いて見えます。先生方の評判もよく、通っている本人や保護者の満足度も高いと聞きます。
一方のC園は、町中にある一般的な保育園です。公立のため異動があることは念頭におかなくてはなりませんが、まゆみを通して先生方との信頼関係も十分にできていると感じています。
障害児の受け入れ体勢が整っている点はまゆみにはとても助かっていますが、あずさの場合は特性の現れる場面がごく限定的なため、特にその点についてこちらから求めることはなさそうに感じます。
決して悪い点があるわけではなく、強いていうなら園庭がやや小さいことだけが活発なあずさには手狭かも? と思うくらい。ただ、C園は立地が便利な上に休日保育や延長保育が手厚いため人気があり、第一希望にしない場合はきょうだい加算があったとしても入れる保証はありません。
D園では机に向ってのお勉強は重視しない代わりに、とことん自然に触れさせ、木造の園舎では園児たちに裸足で過ごさせるという保育を実施しています。今のところあずさは座学も苦にならないタイプですが、D園は母の私が苦手とする自然遊びをさせてくれるという点がとにかく輝いて見えます。先生方の評判もよく、通っている本人や保護者の満足度も高いと聞きます。
一方のC園は、町中にある一般的な保育園です。公立のため異動があることは念頭におかなくてはなりませんが、まゆみを通して先生方との信頼関係も十分にできていると感じています。
障害児の受け入れ体勢が整っている点はまゆみにはとても助かっていますが、あずさの場合は特性の現れる場面がごく限定的なため、特にその点についてこちらから求めることはなさそうに感じます。
決して悪い点があるわけではなく、強いていうなら園庭がやや小さいことだけが活発なあずさには手狭かも? と思うくらい。ただ、C園は立地が便利な上に休日保育や延長保育が手厚いため人気があり、第一希望にしない場合はきょうだい加算があったとしても入れる保証はありません。
夫とも意見が分かれ……
C園もD園も自宅からほど近く、在園期間がかぶるのはまゆみが年長であずさが年少でとなる1年間だけです。夫に相談すると「断然、C園」という答えで、ややD園優勢の私と夫婦で意見が分かれてしまいました。
私は思うのです。保育園といったら姉の送迎で訪れるC園しか知らない2歳児に、「どこに通いたい?」と聞いたら、そりゃC園って答えるよ!! と……。
きょうだいが仲良く育っていってくれるには、まゆみにはまゆみに合った環境、あずさにはあずさに合った環境を用意してあげることが大事だと考える私に対し、夫はきょうだいを同じ環境に入れることが一番よいと考えているようです。
この辺りは平行線ですが、「小学校が分かれる可能性だってあるのよ?(特別支援学校と地域の学校というだけでなく、まゆみが地域の学校に通う場合でも特別支援学級に在籍する場合は学区の学校に通うとは限らないため)」と聞くと、「そのときはそのとき」という答えが返ってきました。
じゃあ、今だってそのときとちゃうんかい? という言葉を飲みこみ、夫がここまで推すのですから姉妹でC園に通うことの良さをもう一度考えてみました。
今のところ、あずさはお姉ちゃんが大好きで、まゆみもあずさには抱きしめてキスするなどの愛情表現を見せてくれます。もしかしたら今後同じ学校にならない可能性があるからこそ、夫の言うように同じ園で過ごすことに大きな意味があるかもしれません。
こうなるといよいよ決められなくなり、園選びについて意見を教えてくれた人が「そう思う理由」も含めて、園を同じにした場合と、園を分けた場合とでわが家におけるメリットデメリットを一度書き出してみることにしました。
きょうだいが仲良く育っていってくれるには、まゆみにはまゆみに合った環境、あずさにはあずさに合った環境を用意してあげることが大事だと考える私に対し、夫はきょうだいを同じ環境に入れることが一番よいと考えているようです。
この辺りは平行線ですが、「小学校が分かれる可能性だってあるのよ?(特別支援学校と地域の学校というだけでなく、まゆみが地域の学校に通う場合でも特別支援学級に在籍する場合は学区の学校に通うとは限らないため)」と聞くと、「そのときはそのとき」という答えが返ってきました。
じゃあ、今だってそのときとちゃうんかい? という言葉を飲みこみ、夫がここまで推すのですから姉妹でC園に通うことの良さをもう一度考えてみました。
今のところ、あずさはお姉ちゃんが大好きで、まゆみもあずさには抱きしめてキスするなどの愛情表現を見せてくれます。もしかしたら今後同じ学校にならない可能性があるからこそ、夫の言うように同じ園で過ごすことに大きな意味があるかもしれません。
こうなるといよいよ決められなくなり、園選びについて意見を教えてくれた人が「そう思う理由」も含めて、園を同じにした場合と、園を分けた場合とでわが家におけるメリットデメリットを一度書き出してみることにしました。
ここまで考えてもまだ決められない!
どちらの園にしても、メリットもデメリットもあるのだと思います。
けれど、C園にしたとしてもお姉ちゃんを意識する時間よりも目の前の遊びに集中している時間がほとんどだと思うので、どろんこになるまで遊ばせてくれるD園でめいっぱい遊んできてほしい思いがやはり強いのだと再認識しました。
昨年、私は悩み抜いた結果……何かあったときもそうでないときも子どもを優先できる生活にしたくて、公務員を辞めてフリーランスになるという決断をしました。それは、まゆみだけに限ったことではなく、あずさについても全力でサポートしてあげたいと思っています。
夫は通勤退勤の時間が合わないので、園の送迎は100%私が担う予定です。D園に通わせることの最大のデメリットが「親がしんどい」という理由なら、「そのために在宅ワークにしたんじゃい!」と奮起するのも悪くないかもしれません。
けれど、そう思った瞬間に頭をもたげてくるのが、
「C園もいい園だし、何よりきょうだい揃って登園する日々は何ごとにも代えがたい思い出になるのかも……」
「それにやっぱり、周りのお母さんや先生が『しんどいからやめとき』と言うからには、素直に従ったほうがいいのかな……?」
という思いです。
まだしばらくは決断できそうにないので、どちらにするにせよ後悔しないようにギリギリまで頭を絞って考えたいと思います。
けれど、C園にしたとしてもお姉ちゃんを意識する時間よりも目の前の遊びに集中している時間がほとんどだと思うので、どろんこになるまで遊ばせてくれるD園でめいっぱい遊んできてほしい思いがやはり強いのだと再認識しました。
昨年、私は悩み抜いた結果……何かあったときもそうでないときも子どもを優先できる生活にしたくて、公務員を辞めてフリーランスになるという決断をしました。それは、まゆみだけに限ったことではなく、あずさについても全力でサポートしてあげたいと思っています。
夫は通勤退勤の時間が合わないので、園の送迎は100%私が担う予定です。D園に通わせることの最大のデメリットが「親がしんどい」という理由なら、「そのために在宅ワークにしたんじゃい!」と奮起するのも悪くないかもしれません。
けれど、そう思った瞬間に頭をもたげてくるのが、
「C園もいい園だし、何よりきょうだい揃って登園する日々は何ごとにも代えがたい思い出になるのかも……」
「それにやっぱり、周りのお母さんや先生が『しんどいからやめとき』と言うからには、素直に従ったほうがいいのかな……?」
という思いです。
まだしばらくは決断できそうにないので、どちらにするにせよ後悔しないようにギリギリまで頭を絞って考えたいと思います。
執筆/にれ
(監修:室伏先生より)
あずさちゃんの園選びのポイントやにれさんの葛藤などを具体的に共有してくださり、ありがとうございました。
どちらの園もあずさちゃんが楽しく通えて成長できそうな園なので、悩みますね。
園は、生活の大部分の時間を過ごす場になるので、お子さんにとってここちよく、楽しめる場所であるかどうか、大切に選びたいですよね。
(監修:室伏先生より)
あずさちゃんの園選びのポイントやにれさんの葛藤などを具体的に共有してくださり、ありがとうございました。
どちらの園もあずさちゃんが楽しく通えて成長できそうな園なので、悩みますね。
園は、生活の大部分の時間を過ごす場になるので、お子さんにとってここちよく、楽しめる場所であるかどうか、大切に選びたいですよね。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。