図書係になって読書にはまると、学業面でも劇的な進歩が

突然、読書にはまり、集中力がついて先生の話が聞けるようになり、成績がアップ
突然、読書にはまり、集中力がついて先生の話が聞けるようになり、成績がアップ
Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ
家庭・地域・学校で問題だらけの息子に心労が絶えなかったラクマの母は、もともと小柄なのに、10キロ以上も痩せてしまったそうです。

悩んだラクマの母は、息子を落ち着かせたい一心で書道などの習い事や野球、サッカー、ゲーム、プラモデルなどを手当たりしだいやらせてみました。ところが何をやってもわりあいすぐに上達するのに、続けることができません。

5年生になった時、母はラクマに、図書係になることを強く勧めました。図書係になったラクマは、いきなり読書に没頭するようになりました。書架にある本をかたっぱしから読んで、卒業する前に学校の図書室の本を全部読み、それでも足りずに母親に頼んで新刊が出る度に購入していました。休日になると朝から書店に行って新刊を買うと、すぐに家で読み始め、最後まで読み終えて本から顔を上げると、いつのまにか夜になっていて驚くことが度々あったそうです。

読書に熱中して半年ほど経つと集中力がついて、先生の話がしっかり聞けるようになり、周囲が驚くほどいきなり成績がアップ。学年でもトップクラスの成績になりました。吃音も次第に目立たなくなり、中学になるとほとんど消えていました。

本の虫になったラクマは「大人になったら本を読んだり書いたりする仕事につきたい」と思い描くようになりました。

仕事で培った技術を家族への工夫に活かし、その内容を絵本やマンガ・エッセイで発表

家族の特性をまとめた取説や絵本を書くうちに連載や講演依頼が来るように
家族の特性をまとめた取説や絵本を書くうちに連載や講演依頼が来るように
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小学生の頃、小柄で問題児だったラクマは、高校から背が高くなり、大学中退後に広告代理店に勤務してコピーライター職につき、物静かな大人になりました。少年時代の彼を知る幼なじみや親族からは「まるで別人のようだ」と、よく驚かれるそうです。

ラクマは大人になって一見大きく変わったようですが、実のところ、過集中な特性はあまり変わっていないようにも見受けられます。読書にはまると今でも時間が分からなくなり、あまりにも飛行機や電車などを乗り忘れるので、空港や駅では決して本を読まないというマイルールを今も守っています。

コピーライターは映像やイラスト、キャラクターなどと言葉の表現を組みわせて、多くの人に情報を伝える技術です。結婚して子どもが4人になり、家族全員が発達凸凹当事者だと気づくと、彼の過集中な特性やコピーライターとしての技術が、家族を元気にするための工夫に活かされてきました。家族それぞれの発達凸凹の特性をキャクター化してデザインし、それぞれのキャラクターを言語化したネーミングで、家族の工夫のストーリーをマンガでまとめています。

ラクマは、家族全員の技術を持ち寄って、映画や絵本などを作りたいという夢を思い描いています。4人の子どもたちは、それぞれ商業映画やTVコマーシャル、イラスト、フラワーアレンジ、英会話の分野で活動していますので、その夢の実現も遠いことではないかもしれません。
執筆/ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ
(監修:森先生より)
発達障害のある方の中には「周りがやっているから自分もやっておこう」という考え方があまり馴染まない方もいます。ですので、子供の頃は勉強をする意味が分からなくて「勉強ができない」と誤解されてしまうケースもあります。しかし、ひとたび興味を惹かれたり、目的のために必要だと本人が考えると、爆発的なエネルギーで勉強に向かうこともあります。「過集中」と呼ばれ、それこそ、興味を惹かれる物事には寝食を忘れて没頭することもめずらしくありません。

ラクマさんにとっては、読書や表現に興味を惹かれて、そしてそれが世間からも求められる形で才能を発揮できるコピーライターはまさに天職。ラクマさんのお母様は、ラクマさんにいろいろな習い事を経験させる中で向いていそうなことを探して、図書係を勧めてくれたのでしょうね。このように、才能をうまく発揮できる方向を、親子で探っていけると生きやすくなるでしょう。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
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