発達相談する決定打となったある出来事と、書籍との出合い

動き回る娘を抑えるのが大変で、読み聞かせの内容は何も覚えていない
娘を抑えるのが大変で読み聞かせの内容は何も覚えていません……
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それからしばらく経ったある日、私はたまたま予約していた赤ちゃんの読み聞かせ会に参加するため、近所の図書館に行きました。

「もし、ここでほかの子どもと娘に明らかな違いがあったら……娘の発達の違和感を認めて、きちんと向き合おう」そう心に誓って参加しましたが、結果は「認めよう。うちの子はなにかあるわ。びっくりするぐらい多動がひどい」でした。

読み聞かせ中はあちこちに行こうとする娘を抑え、しまいには本棚の周りをぐるぐる回る娘を追いかけ、終わった頃には大変過ぎて汗びっしょりでした……。司書の方は「元気な子だね」と苦笑い。娘と同年代と思われるお子さんは、お母さんのお膝に座っているか、少し離れていたとしてもお母さんの側にいました。娘のように読み聞かせスペースを離れて本棚をぐるぐる回っている子どもは1人もいませんでした。

その日の夜、夫に昼間の娘の様子を伝え、改めて”娘はなにかの発達障害があると思う”と伝えました。
娘は普通ではないかと言っていた夫は少し考えた後「ママが一番しぇーちゃんと一緒にいてよく見ているから、ママがそう思うならそうなんだと思う」と言いました。今思うと全て私に任せた回答ではありました。ですが私は、娘に発達障害があるかもしれないという考えを、夫が断固拒否しなかったことに安堵しました。
またその頃、少しでも娘の成長のためになにかできないかと育児書を買ってみました。確か「子どもの言葉を引き出す」や「赤ちゃんとコミュニケーションをとる方法」のような内容だったと思います。『子どもが花を指差して「はな」と言ったら「お花きれいだね」と声かけしましょう』と書いてあったのですが、娘はまず指差しをしません。何かを見つけた時にこちらに知らせようともしません。この時「自然に任せて娘の成長を待っていてはいけないのでは……!?」と驚きました。
育児書の内容が全く参考にならなかった
育児書の内容が全く参考にならなかった
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そこで、今度は発達障害児に関する専門書籍を購入しました。すると、その本にはまさに私が知りたかった娘への対応方法が書いてあったのです。図書館での出来事、そしてこの本との出合いで”娘はやはり発達になにかあるんだ”と実感しました。

こうして、私は早く療育へ通いたい、もっと娘への正しい対応を知りたいと思うようになり、あと10日で2歳になるにもかかわらず、保健所からの連絡を待てず自ら電話をかけたのでした。
執筆/マミヤ
(監修:初川先生より)
1歳半健診で「要観察」となってからの半年間の発達障害かも、という不安と実際の様子との逡巡に関するエピソードをありがとうございます。「要観察」もそうですし、保護者の方の「育てづらい」と感じるようなお子さんの様子、同年齢のほかの子たちとの違い。ますます「これは発達障害なのでは……」と感じるようなことが多々あったのですね。発達障害なのか、いや、違ってほしい、しかし育てづらい、さまざま項目があてはまる……という逡巡を経験されている読者の方も多いと思いますが、お子さんの特性や子育てにおけるうまくいかなさ・育てづらさがなんなのか、というところで不安と淡い期待とでとても心が忙しい時期であったことでしょう。

マミヤさんは発達障害に関する本を購入してみたら知りたいことが書いてあったとのことですが、本が参考になることもありますね。発達障害に関する本を買うのはなかなかハードルが高いという方は、まずは立ち読みなどで手に取っていただくとよいかと思いますが、ご自身のニーズに合うものであれば障害かどうかにこだわりすぎることなく、ぜひ参考にしていただければと思います。発達障害の診断をどうするかはまた別途考えるとしても、発達障害かもしれないと捉えることによって、マミヤさんのように療育に通いたい、対応方法を知りたいといったようにお子さんの理解が進み、つまずきへ対応していけるようになることにつなげたいという姿勢が生まれる。そのことがとても大切ですし、なによりです。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略
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