障害児子育て歴8年、私が思う「障害がある子の母は強い」の真実

ライター:星きのこ
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こんにちは。漫画家の星きのこです。 ダウン症のある息子、きいちゃん(小学校2年生・8歳)の子育て奮闘中です。
2024年1発目のコラムのテーマは……ズバリ、「障害のあるわが子は親を選んで生まれてきたのか!?」です。
私の周りでは耳にすることの多いこの話題。障害がある子の子育て真っ最中の私の視点からお話ししたいと思います。

監修者鈴木直光のアイコン
監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

障害のある子は親を選んで生まれてくるってホント!?

新年早々、なんだかいきなり波乱を呼びそうなテーマですが、けっこう私はこの手の話を耳にするんですよ。「子どもは親を選んで生まれてくる」って。そして、「障害のある子どもは、それに耐えうる強い親を選んで生まれてくる」と……。

こういった話について、障害のある子どもを育てている親御さんの反応はさまざまだと思います。
「そうか! だからか……! だからうちを選んで生まれてきたのね!」と、救われるような気持ちになる人もいれば、
「は? そんなことある訳ないわ」と否定する人もいることでしょう。

じゃあ、私の場合はどうだったかというと……。
「いや、もしそうだったら選び先間違えてるんじゃない?」と正直思いました。
だって私ときたらズボラでいい加減で、家事だって下手くそだし、どう考えてもできた親じゃないし、今もきいちゃんをフォローしきれていないことがたくさんあるからです。

おうち療育だって正直面倒くさい(というか、ほぼできていない……)生まれてくるなら、もっと私よりもテキパキしてたり、イライラしなかったり、向いてそうな人、たくさんいるやん!! と(もちろんそういうすばらしい親御さんもたくさんいます)。
選び先間違えてるし!
選び先間違えてるし!
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そして、実際のところ、私の周りにいる障害のある子どもの親御さんたちも、定型発達の子どもの親御さんと何ら変わりがないわけですよ。
つまり、すごいなと思う人もいれば、ズボラな人もいる。お洒落な人もいればそうでない人もいる。

たまたま、障害のある子どもが生まれたってだけで、別に障害がない子どもの親御さんと何も変わりません。
たまたま障害がある子どもが生まれただけの私たち。
たまたま障害がある子どもが生まれただけの私たち。
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とにかく明るい! 初めて「親の会」に参加して

私が初めて親の会に参加させていただいた時のこと。
私のまったくの偏見なのですが、障害のある子どもの親御さんって、お洒落にも気を遣う余裕なんてなくて、とっても疲れているというイメージを持っていました(本当にごめんなさい……! 汗)。

でも、実際にお会いしてみると、すごくお洒落な方や、バンドマンみたいな個性的なお母さんもいて(笑)。本当にいろんな方がいてビックリしました。

そりゃそうですよね、子ども産んだからっていきなりその人の個性が変わる訳はありません。もちろん、子どもを産んでからは自分自身に手がかけられなくなるのは、定型発達の子どもも、障害のある子どものお母さんも、皆一緒です。

それどころか、わが子のエピソードをネタにして、大笑いしているのにビックリしました……。
「うちの子、この前、電車乗り間違えて大変だったのよー!」
「うちの子がお風呂の中でウンチしちゃって、プカプカ浮いちゃって……」
「うわ~!! うちなんてね……」

あ、明るい……! 皆さま、とても明るい……!! と、衝撃を受けました。
反対に、親の会のメンバーから見た私の初対面の印象は、「く、暗い……! このママ、大丈夫かしら!?」だったそうです。
最近、先輩ママさんに「きのこさん、明るくなってよかったわー! あの時、暗すぎてどうしようかと思ったもの」と言われました(笑)。

と、言っているその先輩ママさんはなんと暗黒期が6年間もあったそうです! 皆、それぞれいろいろなことを乗り越えて今があるんだなあと思いました。
初めて参加した親の会で、暗すぎて心配される私……。
初めて参加した親の会で、暗すぎて心配される私……。
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「障害がある子の母は強い」なんて言われがちだけど、実際は

結局、何が言いたいかというと、
「子どもが親を選んで生まれてくる。障害のある子どもの母は強い」と言われますが、皆、周りの助けを得ながら少しずつ強くなっているんです。

私には分からないけれど、もしかしたら本当に「子どもは親を選んで生まれてくる」なんてこともあるのかもしれません。私自身は、そういった考え方については否定的でもなく肯定的でもないのですが(むしろちょっとロマンチック~なんて思ったりもします(笑))、
でも、そういう言葉で、心が弱っている母親に付け込むような商売をする人たちもいると聞いたことがあります。ですので私は、ちょっとお金儲けの匂いや怪しい感じがする団体には近づかないようにしています。

いつか遠い遠い未来に自分もきいちゃんもあっちの世界(?)に行った時に、「ねえ、本当はどうだったの? ママ、すっごく驚いたんだけどー!」ときいちゃんに笑いながら聞いてみたいと思います。
いつか息子に聞いてみたいなあ……。
いつか聞いてみたいなあ……。
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執筆/星きのこ

(監修:鈴木先生より)
以前にもお話ししましたが、ダウン症児の親の集いである「こやぎの会」発行の「ダウン症の健康手帳」1ページ目に書いてある詩の一部を紹介させていただきます。
「会議が開かれました。(中略)天においでになる神様に向かって天使たちは言いました。“この子は特別な赤ちゃんで たくさんの愛情が必要でしょう。(中略)どうぞ神様 この子のためにすばらしい両親をさがしてあげて下さい。(中略)天から授かった特別な子どもなのです」

あなたは子どもが、そして天使たちが選んだ親なのです。
あなたでなければ育てられなかったと天使たちの会議では結論したのです。豊かな愛を抱いて育ててくださいね。
前の記事はこちら
https://h-navi.jp/column/article/35029771

このコラムを書いた人の著書

きいちゃんはダウン症(1)
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
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