相談できなかった

母子手帳の『相談できる人はいますか?』の欄はいつも『どちらともいえない』でした。

赤ちゃんは手がかかるものだと思い込んでいたので、誰かに相談したり、ましてや発達について受診するような考えには至りませんでした。「赤ちゃんが寝てくれなくて」なんて相談をしても「赤ちゃんだしね」と呆れられるんじゃないかという気持ちもあり……睡眠不足で疲弊しながら『きっともう少しで楽になる!』となんとか自分を励ましました。

その頃は検索魔になり、「いつ楽になるか」「いつ眠れるようになるか」「赤ちゃん 眠れる方法」というようなことばかり調べていました。
なんとか解決方法を見つけようと検索魔になる母(私)
なんとか解決方法を見つけようと検索魔になる母(私)
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さいごに

実はマユユの産後すぐに夫の転勤が決まり、赤ちゃんを連れて見知らぬ土地に引っ越しました。子育て支援センターや保健センターに窓口があるのは分かっていましたが、知らない土地で知らない人にボロボロの姿で相談に行くことは、寝不足の当時の私にはさらに億劫に思えました。

だけど、いろいろな人に赤ちゃんの様子を見せられていたら、なにか助言をもらえていたかもしれない。気が楽になったかもしれない。きっと相談窓口の方は、親(私)の外見なんか気にしなかっただろうし、もう少し何かに頼ればよかったなあと思います。

マユユも今では夜はしっかり眠り、偏食はありますが食べられるものも増えました。親の私もまたマユユの特性を知り、対応を学んできました。私たちはこれからも一緒に成長するのだと思っています。

執筆/サチコ
(監修:森先生より)
慣れない場所での育児、とっても頑張られましたね。サチコさんのように、大変な思いをしながらも自分を奮い立たせて頑張ってしまう方は、助けを求めることが難しい場合があります。

「もっと誰かに頼りましょう」と簡単に言っても、「頼るだけの気力がない」というケースも非常に多いのです。助けを求めても「甘えているんじゃないの?」と言われるのではないかと不安になってしまったり、相手に迷惑をかけるのではないかと考えすぎてしまったり、完璧主義だったりと原因はさまざまですが、ひとつに「アタッチメント」の形成がうまくいっていないというケースもあります。

「アタッチメント」とは、困った時にほかの人にくっついて安心感を得たいと思う欲求のことです。怖い時にお母さんにしがみつく子どもの気持ち、と考えると分かりやすいですね。不安な時に助けを求める→安心するという経験を積むと、「アタッチメント」は形成されていきます。逆に、頼っても怒られたり無視されたりしてうまく行かなかった経験を積み重ねると、人に頼るのを躊躇するようになってしまう可能性があります。経験の積み重ねは、小さい子どもだけでなく大人にとっても重要なのです。

「アタッチメント」がうまく形成されていないと、人を頼るのに精神的なエネルギーを多く使うようになる可能性があります。「頼るのが苦手だな」と思う場合は、本格的に困って身動きが取れなくなる前に、ちょっとした違和感を持った段階であらかじめ相談しておくといいですね。
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https://h-navi.jp/column/article/35029922
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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