家族で話し合い、不登校に取り組んでいく
小学2年生のはるきさんは、3歳でASD(自閉スペクトラム症)、4歳で知的障害(知的発達症)と診断を受けています。2年生の5月、運動会のあとから学校を休みがちになり、保護者はそんなはるきさんを受け止めていました。しかしある日登校をうながされたはるきさんは、教室で腹痛を訴えることに。身体症状がでたはるきさんは、完全に不登校となりました。
保護者である母は、自宅でリモートワークをしているのですが、仕事が忙しいためはるきさんを全く構えない状態。部屋の隅で気配を消してゲームをしているはるきさんを見て、心を痛めていました。
A家がとった選択は「母が仕事を辞めて、今ははるきさんと向き合う」こと。長期で休むことによって、学校の先生やスクールカウンセラーと話す機会が減っていくかもしれません。自分ひとりで悩みを抱え、孤独になりがちだった母とパートナーが話し合いをし、一つの決断をできたのはとても大切なことです。もちろんこれは選択肢の一つであって、唯一の正解があるわけではありません。
このことによってはるきさんとの時間がとれるようになった母は、はるきさんと会話したり、はるきさんの居場所探しをすることができるようになりました。
はるきさんたちのその後は、2章みき編完結後にお届けする「エピローグ」でご紹介します。
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フリースクール、放課後等デイサービスなどは地域の相談支援専門員などと相談しながら進めていけるとよいでしょう。
※放課後等デイサービスの利用には「通所受給者証」(受給者証)が必要となります。取得の条件や手続き方法は自治体により異なります。
はるきさんとお母さんの場合、退職をするという一大決心をされたのは良い側面もあるでしょう。寄り添う時間をもつことが、大きなプラスになったと思います。
一方、不登校状態になってしまったお子さんに対する親御さんの関わり方として、一定の答えがあるわけではありません。寄り添うことが親御さんにとって過度な負担になって、お子さんとの関係が悪化してしまうケースもあるので、一人ひとりに合わせて判断する必要があるのでしょう。
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通常学級に通うみきさんは、小学校4年生になりだんだんと学校の勉強についていくことができなくなりました。苦しむみきさんを見て母は「このままではみきの心が壊れてしまう」と感じ、転籍を求め学校、教育委員会との話し合いに臨むのですが……。
お楽しみに。
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コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
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