娘には「理解のサポート」が必要だったのかも

私も「分かってなさそうだな」と思いつつ、「まあピアノは本人が好きでやってることだから、本人の意志で嫌と言うなら出なくても良いか」とあまり深刻に考えてはいませんでした。
たとえば、紙に図を描いて「今ここにいて、この先こうなるよ」と見せる。「コンテストに出るかどうかは自由だけど、出たらこんな経験ができるよ」と選択肢を丁寧に説明する。そんな工夫をしていたら、また違った結果になっていたのかもと思います。
うちの子どもたちを見ていても、発達障害のある人は、「選ばなかった」のではなく「選べなかった」ことも多いのではないかと思います。「視野が狭い」などと言われることもありますが、それは本人にはどうしようもないことなのです。
だからこそ、対面で説明するのが一番良いに決まってると思いこまず、本人が理解できる方法を模索するのが大事なのかなと思います。
小学校6年生でピアノ教室はやめてしまった娘ですが、今でもピアノは毎日のように弾いています。好きなゲームの音楽を耳コピしてストリートピアノで弾いたり、ボーカロイド曲をつくって絵も描いて動画を制作し、動画配信サイトで発表したりもしています。気持ちの赴くままに道なき道で表現を続ける娘をこれからも見守っていきたいと思っています。
執筆/寺島ヒロ
(監修:新美先生より)
娘さんの、ピアノコンクールの話題を通して、説明したつもりでも当時は分かっていなかったのかもしれなかったというエピソードを書いてくださりありがとうございます。
見通しや、目的・意義といったものは、形があるものでないため、口頭で説明するだけでは、頭の中にイメージを描きにくく、周囲は繰り返し話して説明したつもりでも本人に伝わっていなかったというようなことはよくあります。寺島さんがご指摘していただいているように、目的や意義、参加した場合と参加しない場合のメリットデメリットなどを、絵やフロー図、表、4コマ漫画、などで見える形式にして伝えることで、本人の理解を助けることになるかもしれません。
とはいえ、コンクールに出場するにはストイックに練習したり、シビアな結果に涙したりということもあり、理解できるように丁寧に伝えていたとしても、娘さんはその道は選ばなかったかもしれないですよね。今でも毎日楽しくピアノを弾けていて、気持ちの赴くままに道なき道で表現を続けられているというのは、何より素敵だと思いました。
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https://h-navi.jp/column/article/35030525
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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