習い事が長続きしない発達グレー息子が「eスポーツ」にはまった!楽しいだけではないその魅力とは?

ライター:星河ばよ
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子どもの習い事で悩んでいませんか?
私は子どもにとっての正解が分からずいつも迷っています。
発達障害グレー長男は習い事をしていてもやがて嫌になって辞めることが多かったので(理由は人が大勢いるところが嫌、先生が怖いなど)、私は新しい習い事を始めることに消極的でした。

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監修: 新美妙美
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 特任助教
2003年信州大学医学部卒業。小児科医師として、小児神経、発達分野を中心に県内の病院で勤務。2010年信州大学精神科・子どものこころ診療部で研修。以降は発達障害、心身症、不登校支援の診療を大学病院及び一般病院専門外来で行っている。グループSST、ペアレントトレーニング、視覚支援を学ぶ保護者向けグループ講座を主催し、特に発達障害・不登校の親支援に力を入れている。 多様な子育てを応援するアプリ「TOIRO」の制作スタッフ。

発達グレーの息子が『eスポーツ教室』を習い始めたわけ

現在小学6年生の長男は将棋教室だけ通っています。
少ないですか? たしかに多くはないですよね。通信教育もしているのと、放課後等デイサービスも週1で通っているのでちょうどいいかな、と思っています。

でも、実は数ヶ月前まではeスポーツも習っていました。そこは、子どもにも大人気のゲームソフトを使った、プログラミングなどを教えてくれる教室でした。

「eスポーツって要するにゲームでしょ?  ゲームをわざわざ習うの?」と、思う方もいるかもしれません。
私は個人的にゲームは好きですが、習い事としてのeスポーツに対し初めは興味はありませんでした。ですが軽い気持ちで足を運んだ体験教室の説明が、あまりにも魅力的だったのです。

【体験教室の説明】
・eスポーツといっても当教室ではゲームの上達や攻略法を教えるわけではない
・ゲームで対戦をしているとどうしても言葉が攻撃的になりがち。みんなで楽しくゲームするために、思いやりのある言葉遣いとゲームプレイを学んでいく
・ただゲームをするのではなく、時間を区切り、その時間の中でどこまでできるか、どのようにしたら時間内にできるか、などを考えながら行う
・またPDCA(計画 → 実行 → 確認・評価 →改善)サイクルを回すやり方を学ぶ


私は教室の方の説明で心をすっかりわし掴みされてしまい「eスポーツ、いいじゃん!」に変わっていました。
長男も次男も体験教室のあと「すごく楽しかった! ぼくたちも習いたいよ」と目をキラキラさせながら言うので、夫に相談して通うことにしました。
eスポーツ教室の体験教室の説明で心をわし掴みに!
eスポーツ教室の体験教室の説明で心をわし掴みに!
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親として初めて、送迎しがいのある習い事

習い始めて、長男も次男も毎週毎週eスポーツを楽しみにしている様子でした。嫌がらずに、むしろ心から楽しんで通っていて、親としてこんなに送迎のしがいのある習い事は初めてでした。子どものイキイキした顔が何よりうれしく感じました。

教室では子ども1人につきノートパソコンとマウスが渡されます。持ち物はテキスト1冊と会員証だけ。
プログラミング学習でもよく取り入れられている有名なゲームソフトを使用します。

子どもたちはそのゲームをパソコン版でやるのは初めての様子で、最初はパソコンとマウスの操作に手こずっていましたが、毎週通うにつれどんどん上達していきました。

教室のみんなとはそれぞれのパソコン画面を通じ、ゲームの世界で繋がっています。普段は1人か2人で遊ぶゲームですから、楽しさの度合いが違っていたのではと思います。長男次男も含め、子どもたちはみんな能動的にプレイしていました。

ちなみに、レッスンの内容は先生が指示をだすのではなく、子どもたちが主体となって決めていきます。
その日に何をするのか、どこまで進めるのか等の目標は自分で決めます。教室の初めに一人一人発言してから始めるのです。先生は時間を設定し、子どもたちはそれを踏まえながらそれぞれの目標に沿った作業に取り掛かります。
みんなで繋がりながら、主体性をもって。子どもたちが目をキラキラさせながら学んでいるeスポーツ教室の様子。
みんなで繋がりながら、主体性をもって。子どもたちが目をキラキラさせながら学んでいるeスポーツ教室の様子。
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教室の終わりにはまた1人ひとりがその日の進捗や、目標が達成できたか・できなかったかを発表します。
もちろん目標が達成できなくても大丈夫。また次回に持ち越せばいいのです。

長男は発達グレーの特性からか、達成できないと終わりの時間になってもいつまでも作業の手を止められずにいることがよくあり、心底悔しそうにしていました。それが徐々に時間内にできるようになっていった姿に、成長を感じました。

長男にも次男にも毎週毎週「早く行こうよママ」と急かされるように送迎しました。
こんなに楽しんで通った習い事は後にも先にもないのではと思います。

主体的に今日やることを決めていくスタイルはもしかしたら、長男に合っていたのかもしれません。

登校しぶりや欠席をしながらも、毎日頑張っているから

大好きなゲームソフトをみんなで遊べる、みんなと楽しみながら思いやりのあるコミュニケーションを学べる。心から楽しいから、喜んで通ったんだなと今振り返って思います。

こんなに楽しみにしていた習い事でしたが、残念ながら家庭の事情でやめざるを得なくなってしまいました。子どもたちにもうこれ以上通うことはできないと伝えたときは申し訳なかったです。

納得してくれましたが、折に触れては「eスポーツやりたいな~」と言っています。また機会があれば、子どもたちが楽しんで通える習い事が見つかったらいいなと思います。

とはいえ、登校しぶりや欠席をしながらも長男なりに学校を頑張っているので、できるかぎり本人の大好きな家で過ごさせてあげたいような気もするのでした。
登校しぶりや欠席をしながらも、毎日頑張っているので、家でゆっくり過ごすことも大切。
登校しぶりや欠席をしながらも、毎日頑張っているので、家でゆっくり過ごすことも大切。
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執筆/星河ばよ

(監修:新美先生より)
習い事としてのeスポーツという、まだあまりなじみのないことを詳しく教えて下さりありがとうございます。わたしも身近にやっている人がいなかったので、勉強になりました。

習い事をするなら、お子さんが興味を十分持てて、ストレスが大きくかからず続けられるものがいいと思います。
星河さんのごきょうだいが、目を輝かせて意欲的に通われていたというのは、お子さんたちにとってとても合っていたのですね。ゲームという強い興味を持ちやすく、自由に操作できるデバイスを用いているからこそ、仲間と協力して、いい方法を考えて、PDCAサイクルを回すなんていう、高度な活動ができるんですね。
「仲間と協力」「いい方法を考える」というあたりが、まさに「スポーツ」らしくて、なるほどと思いました。これなら、体を動かすことが苦手なお子さんにもいいですね。読んでいてとても魅力的な習い事だと思いました。

もちろん、お子さんごとに向き不向きはありますし、まだそのような習い事ができる場が通える範囲にないとか、経済的に難しいなどの制約もありますが、「ゲームなんて」という親の側の偏見を見直させてくれる興味深い記事を読ませていただき、ありがとうございました。
前の記事はこちら
https://h-navi.jp/column/article/35029695
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
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