上手に付き合えばゲームも子どもを大きく成長させるツールに。でもやっぱり限度を決めるのは難しい……

コチ丸は最近、帰省するとカーレースを見に行ったり、自分も実際にカートに乗ってみたり……。なんで突然そんなことをしはじめたのかと思ったら、ゲームでずっと車の改造などをやっていたからでした。

発達障害の特性でもある、興味のあることにのめりこむ姿勢はここでも活かされ、ゲームをするだけでなく、この車を改造するためにはどんな道具が必要だとか、なんでこんなに早く走れるのか、とか自分で研究してきたようです。また、最近のゲームはとてもリアルなので、そういう細かいところまで緻密につくられていて、調べたことを実践する探究心を満たしてくれるものも多いようです。そう思うと、全てを否定するのはもったいないなと私は思っています。

車のゲームにハマって実際にプロのレーサーになった方もいるそうなので、ほどほどに、も大切ですが、「これをやったら伸びるかも」と思ったら、気が済むまでやってみるのも良いのではないかなと思ったりします。
また、学びの多様化学校では、文化祭で自分のつくったものを展示するスペースに、子どもの作品とは思えないほど見事なテレビゲームをつくってしまう生徒さんをみる機会もあり、年齢関係なく、「好きなことを極めることは大事」で、大人は、その子に向いていると思ったら、徹底的に与えてあげる環境をつくることも大事なのだなと感じました。もちろん見極めも覚悟を決めるのも難しいですが……。

結局、コチ丸はゲームを学ぶ学校へは進みませんでした。馬を育てたいと言い出し、突然の進路変更(笑)。ですがなんとなく、ゲームをやったり、実際につくってみたり、ゲームを学ぶ学校へ体験入学に行った時間は無駄ではなかったと思っています。どの道へいくにせよ、そういったプロセスが必ず役に立っていて、巡り巡っていつか思いもよらなかった仕事に結びつく……なんてこともあるかもしれないと思うと、「選択肢はたくさんあったほうが良い」と私は思っています。
上手に付き合えば、世界が広がるツールにもなるゲーム
上手に付き合えば、世界が広がるツールにもなるゲーム
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執筆/あき

(監修:初川先生より)
コチ丸くんとゲームの付き合い方の歴史についてのエピソードありがとうございます。ゲームとどう付き合っていくか、悩ましく思っている保護者の方は多いですね。さて、コチ丸くんは小学生の頃、ゲームの使い方をめぐってあきさんと揉めてきたとのこと。本当に真っ二つにゲーム機を割られたのですね(びっくりしましたが、大げさに言うのではなく大人の本気が伝わった面はありますね)。

発達的な特性の強めの子は、何かにのめりこんだ際に「おしまい」にするのが苦手なことが多いです。そういう意味では、幼児期の頃から、時間を決めてゲームを認め、時間が来たら「おしまい」にする練習をしたほうがよいとも言われています。小学生ともなると、友だちとの関係や勉強に対するわずらわしさなども相まって、より一層ゲームにのめりこみやすくなる状況が生じることが多いようにも感じます(多くの子にとって家庭での学習はのめりこむほどのものではないため)。ゲーム機側の時間制限などを使い、そうした制限の壁をときどき突破する子もいるので、折々にパスワードなどを更新しながら親子で攻防戦を続けてどうにか対応されているご家庭が実際のところは多いのではと感じます。

コチ丸くんの場合には中学校に入ってゲームとの付き合い方が変わったようですね。学びの多様化学校(不登校特例校)に入学したことで、その学校でのゲーム使用ルールがゆるやか(というか、子どもを信頼した形)だったというのもありますし、ゲームを楽しめる仲間たちにも囲まれて、日常生活が豊かになるというゲームの側面が色濃く出てきたことがよかったように感じます。ゲームといえば遊び道具で怠けにつながる悪の物としてとらえる大人はまだ多いですが、ゲームによって得られるものもあるわけで、そちらがコチ丸くんの中学生活では発揮されたようですね。家庭での学習を前提としない枠組み自体もご本人に合っていたのかもしれませんが、そもそもベースとして充実した生活の中で、ゲーム時間を細かく決めずともやっていける土台ができたようにも感じました。

高校以降にゲームを学ぶ・プログラミングを学ぶ学校やコースを選択したり、実際にそうした大会に出て見事な成績を収める子もいます。ゲームだからと侮らず、本人が飽きることなくのめりこめるだけのものであれば、何かしら本人の強みと合致している面がある可能性もあります。ただ、負けた際に荒れる・暴れる、あるいは寝食を忘れてのめりこみ健康面が心配等あれば、ぜひ相談機関や医療機関にご相談していただければと思います。
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https://h-navi.jp/column/article/35030587
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
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