またまた、前の児童デイの話ですみません。
ただ、あのとき感じたこと、考えたことが、今の「こぱんはうすさくら」での療育についての僕の大きな柱になっているので、
その時のエピソードについて話させてください。
・その日は、いくつかの理由によって、普段のメンバーと構成が変わり、少し落ち着きのない状態でした。
・そして、いつもとはメンバー構成が違う状態に、子ども達は敏感に反応するのだということを実感しました。
・不安な時、イライラした時、気持ちが落ちている時に、行動化してしまう子が多く、昨日は、Dくん、Rくんが走り回り、それにNくん、Yくんが同調してしまう状態になりました。
・また、小1の女の子は、「疲労骨折」のため、運動制限がかかり、本人は痛みがないのにいつもの運動が制限されているということで、ストレスが溜まっているようでした。
・そして、おそらく、ストレスを受け入れる容器の容量が元々大きくないため、すでにいっぱいになっていて、それが溢れてしまったようです。
・集団療育の場面になっても制作を続けているため、僕が少し強めに作業の中止と集団への参加を指示すると、参加しないまま、やがて、フロアマットを鉛筆の先で何か所も刺して穴をあけ続けます。
・少ししてから、それを発見した僕は、
「そっかぁ…、運動はダメって言われるから、いつもの遊びが出来ず、ストレスがたまっているよね。わかるよ。でも、マットを刺すのはだめだよ。わかるよね」と言うと、頷くものの、今度はお絵かきなどで使っていた紙をくしゃくしゃに丸め始めました。
・そのため、
「そうだね。どうしていいかわかんないよね。それじゃあ、この紙をビリビリ細かく破いて紙吹雪を作ろうか」と提案すると、やり始めています。
★ストレスを流す水路がなく、どこにも持って行き場のないストレスや不満が溢れてしまいやすい子どもたちが多いと思います。
・それらをどのように発散し、解消してあげるか、また、その水路をどんなふうに作ってあげるのかなどを、これから考えていかなければいけないと思いました。
・児童デイ、放課後等デイを利用している子は、発達障害などの独特の認知特性故に、学校生活などで受ける社会的ストレスをうまく処理できずに、ためこみやすいと考えられます、
そのストレスの解消法を知らないことが多いと思います。
・運動制限という強いストレスがかかり、注意されたことで鉛筆をマットに何度も突き刺した女の子のお母さんによれば、「この子は、学校にも他の児童デイにもあまり行きたがらない」とのことでした。
ストレスがたまりやすく、そして、Sちゃんは、今まで、それを、剣を作ることや走ること、運動することで解消していたのが、それが禁止されたことにより、さらにストレスが増したと思われます。
・小2のRくんもストレスが多くなっているようです。
そのストレスを児童デイで少しでも発散し、また、ストレス解消の方法を身に付けてもらえればということで、固定の曜日の他に、キャンセルが出た場合の追加利用を始めています。
★スタッフの皆さんには、負担をかけることになり、本当に申し訳ないと思っていましたが、子どもたちのために、そして、その家族のために、皆さんの力を貸していただければとお願いしました。
・小2のNくんは、送迎車に同乗して、○○小から□□小に向かうことを、いつものように「いやだ」と拒否しました。
★そして、「児童デイに行きたくない」と言うNくんに対して、小3のMくんが、「そんなこと言うけど、俺も、◆◆の2日の他に、▲▲に2日行っていて大変なんだよ」「1日ぐらい休みたいと思っているけど、頑張っているよ。Nだけじゃないよ」などと、諭してくれています。
★今日も、送迎の車の中で、いくつかの要因が絡んで声を挙げて泣き出した小4のDくんのことを小1のYくんが気にして、児童デイに着いてもなかなか中に入ろうとしなかったり、また、小3のDAくんとRくんのトラブルに対して、僕が2人の中に入り、事務室奥で対応している所に何度も顔を出したりする姿が見られます。
★先日は、国語のなぞなぞの宿題に苦戦し、やろうとしない小2のOくんを見て、小3のMくんとKくんが一緒に考えてくれたりなどなど、
★今までは、他の子のことは「我関せず」という感じで、自分中心で動いていた子ども達の中に何か変化が起きてきているように思います。
★「つらいのは自分だけではなく、悲しいのも自分だけではなく、誰でもそんなことはある。今乗り越えれば、きっといいことがある」
「僕(私)には、自分のことを分かってくれる大人がいるし、仲間(友だち)がいるから、きっと大丈夫」
と思える心を育てていくのが、僕が目指している【心の療育】の一つです。
★また、人の身になって、他人の気持ちや思いを自分のこととして考えられる心を育てたいと思っています。
★しかし、これは一朝一夕にはいかず、時間がかかると思っています。
★ただ、スタッフの職員には、
「みなさんの子どもたちへの愛情が、そして、子どもたちへの根気強い関りが、子ども達に伝わり始めていると感じています。」と伝えました。
★また、
「これからも、子ども達を優しく暖かな眼差しと笑顔で見つめ続け、人としての基本的なルールを守れない時などは、時に厳しく、誉める時には目いっぱい誉め、子ども達と一緒に歩んでいきましょう。」
「スタッフの心が一つになり、協力し合いながら、子ども達に向き合い続ければ、間違いなく、子どもたちは成長していくと信じています。
※あふれる笑顔とやさしい心、友だちといっしょに泣いたり笑ったりし合える関係を育てていきましょう。
これからもよろしくお願いします。」
とも話しました。
◆但田たかゆき
【人の身になって考えること】【子どもたち同士の関わりの変化】
教室の毎日
23/01/09 23:03