こんにちは、発達支援Laboランプです。
ここでは、定期的に療育支援に関連するテーマについて、理論的な背景と合わせて発信をしています。
今回のテーマは「幼児期の砂場遊びの重要性」」です。
発達支援Laboランプでは、事業所内に砂場を設置しています。
実は、砂場遊びは、幼児期において総合的な発達を促進する極めて重要な活動と言われています。しかし、その価値を見過ごしている方も多いのではないでしょうか。「砂場遊びなんてただの遊びでしょ?」「砂で遊んで何になるの?」と思っている方にこそ、砂場遊びの深い意味と多大な利点を知っていただきたいと思います。今回は、具体的な遊びの場面を交えて、その重要性を探っていきます。
1,身体の発達について
微細運動能力の発達
砂を掴んだり、橋やトンネルを細かく作ったりすることで、手指の筋肉を細かく動かす能力が育まれます。また、スコップやバケツを使って砂や水を運び、橋やトンネルを作ることで道具の使い方を学ぶことができます。これにより、手と目の協調が向上し、道具を扱う能力が発達していきます。
粗大運動能力の発達
砂場で動き回りながら、橋やトンネルを作るための砂を集めたり、運んだりすることで、全身の筋肉を使った運動が促進されます。これにより、筋力や持久力の向上が見込めます。また、砂場での不安定な地面での遊びは、バランス感覚を養うのに役立ちます。穴を掘り、その中、上を歩くような運動は、体幹の安定に貢献します。また、転んでも大きなケガ等に繋がりにくいという点もメリットとして挙げられるかと思います。転び方の練習にもうってつけです。
これはイメージですが、屈強な運動部が、よく砂浜で走るトレーニングを取り入れていますよね。
感覚の統合
砂の感触を感じることで、触覚の感受性が向上します。湿った砂、乾いた砂の違いや、砂の粒の大きさを感じることで、触覚からの微妙な変化を知覚し、理解する能力が育まれていきます。また、砂場での動きは、身体の位置や動きを感じる前提感覚と筋肉や関節の位置を感じる固有受容感覚の発達にも寄与します。
2,認知の発達
創造力、想像力の発達
橋やトンネルなどを作るという具体的な目標を設定することで、子どもたちは自由に発想し、創造力を育てます。どのような橋をつくるか、どんなトンネルを掘るのかを考えることで、創造力が豊かになっていきます。また、橋やトンネルの創造過程で、自然に物語が生まれます。たとえば、トンネルの先にはお宝が隠れているというようなシナリオを作ることで、子ども達は自分の考えを表現することができ、物語を構成する能力(ストーリーテリング)を磨くこともできます。
問題解決能力の発達
トンネルや橋を作る途中、崩れてしまったり、うまく掘ることができなかったりすることで、子どもたちは何度も試行錯誤を繰り返すことができます。これにより、問題解決能力が養われていきます。また、橋やトンネルを作るためには、計画が必要です。水を流す川を作りたい場面、水は高い方へはなかなか登ってくれません。どのように作るか、どこから作っていくか、どんな配置にするかと考えることで、計画性を身につけることも可能です。より大きな作品を作るために、他者と協力したり、役割分担をしたり等の展開も見込めるでしょう。
科学的探究心の発達
砂や土の性質を観察し、水を加えたときの変化を直接目や肌で感じることで、科学的な探究心を育むことができます。たとえば、橋が崩れないようにするためには、サラサラの砂では作れませんよね。どの程度湿った砂であれば崩れずに作ることができるのか、何度も試す中で、基礎的な科学的概念を学んでいくこともできるでしょう。
まとめ
砂場遊びは、幼児期の身体発達と認知発達にとって非常に多くの利点があります。橋やトンネルを作る、道に水を流す、車の模型やビー玉を使った遊びを通じて、手指の器用さや全身のバランス感覚を育むだけでなく、創造力や問題解決能力、科学的探究心も自然と促進されていきます。砂場遊びの豊かな可能性を理解し、子どもたちが安全で自由に、時に挑戦・冒険できる環境を提供することが重要です。砂場遊びに限ったことではありませんが、「単なる遊び」と見ず、常にそこにある極めて大きな可能性を認識した上で日々の関わり、育児、支援を考えていきたいですね。
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第11回「幼児期の砂場遊びの重要性」
療育の深み
24/07/05 18:54