知的発達症(知的障害)の会社への報告

会社や同僚へ報告はするべきなの?

知的障害者の雇用数が年々増えていることから、知的発達症(知的障害)があることを会社や同僚に報告する割合も増えてきていると考えられます。ハローワークでは障害者枠での雇用もありますし、障害者の雇用を促進する法律も定められてきたことが理由の1つになります。

会社に自分には知的発達症(知的障害)があることを知らせるメリットとして、休暇や仕事内容など働きやすい環境を考えてくれる点がありますが、デメリットとして仕事内容が単純作業のみになったり、障害を理解していない人から心ない言葉を言われる点が挙げられます。

中には職場でいじめを受け、うつ病などのいわゆる二次障害になる方もいらっしゃいます。そういった方は二次障害の検査過程で知的発達症(知的障害)と判明したという方が多く、精神的苦痛があると離職率も高くなる傾向にあります。就職前に報告することによって初めから知的発達症(知的障害)であることを考慮した上での就職であれば定着率も高く、周りからの理解を深めることもしやすいというメリットがあります。

会社や同僚へ知的発達症(知的障害)があることを伝える際の注意点

就職後に知的発達症(知的障害)があることを伝える手順としては、まず上司に相談をすることが先決です。仲がいい同僚に先に告白し相談する方もいます。話すことが苦手な方は、知的発達症(知的障害)に関する注意点や自分が得意とすること・苦手とすることなどを文章にまとめておき、上司に渡す前に家族などに確認してもらうのもよいでしょう。

また、職場の中には知的発達症(知的障害)があることを伝えることで適切な対応をしてくれる方もいれば、偏見を持っている方も少なからずいることを念頭に置いておくとよいかもしれません。知的発達症(知的障害)の程度がさまざまであるように、知的発達症(知的障害)に対する認識もさまざまです。知的発達症(知的障害)を伝えることが心配な方は、まず支援センターや担当医に相談してみることをおすすめします。

知的発達症(知的障害)のある人の仕事での困りごと・よくあるミスと対処法

報告・連絡・相談ができない

知的発達症(知的障害)のある人方の特徴として、怒られるのが怖くて相談したりせずに黙ったままでいるという点が挙げられます。よく仕事で大事なのはホウレンソウ(報告・連絡・相談)と言われますが、相談が苦手な場合は毎日日誌をつける習慣にたり、定期的に様子を見てもらうように頼むなど上司と相談して、上手くホウレンソウができる環境を整えましょう。また、こういう時は報告するなど具体的に指示してもらうことも上手いホウレンソウの手助けとなります。

仕事内容を覚えられない

理解するのに時間がかかったり、記憶が苦手であるために、仕事内容を中々覚えられない方も多くいます。根気強く繰り返し教えてくれる先輩がいればよいのですが、相手がイライラして叱責されることもあるかもしれません。

記憶が苦手な方は仕事手順をメモして机に貼っておいたり、スケジュールリングのアプリに予定を入れておいたり、言葉で理解するのが難しい場合は絵や写真にするなど工夫してみましょう。それでも叱られることは多いかもしれません。ゆっくりでも少しずつでもいいのでできることを増やし、自分に合った仕事方法を見つけるよう心がけてみてください。

スケジュール管理ができない

自分でスケジュールを決めるといったことが苦手な方もいらっしゃいます。その場合はスケジュールを紙などに書いてもらうようにし、タイマーや時計を使ってスケジュール管理できるようにしてみてください。仕事に時間がかかる可能性もあるので期限には余裕を持てる仕事にしてもらったり、早めにスケジュールを伝えてもらうことも効果的です。また、「大体何時」や「適当に」といった曖昧な表現が苦手な方も多いので、具体的な数字や時間を伝えてもらうようにしましょう。

周りから孤立してしまう

空気を読めなかったり、暗黙の了解を理解できないために職場で孤立してしまう場合もあります。まずは知的発達症(知的障害)について理解してもらい、暗黙といった自己判断が苦手なのでどうするべきかを指示して欲しいなど具体的に伝え、周りに働きかけてみてください。もし会社でいじめを受けている場合は我慢して頑張る必要はありません。自分にあった転職先を探すことも大切です。同じ知的発達症(知的障害)のある人が多い職場で働いてもいいですし、まずは家族や支援センターなどに相談してみましょう。

まとめ

知的発達症(知的障害)のある方の中には楽しみながら仕事をされている方もいますし、職場から信頼されている方も多くいらっしゃいます。就業を望む方は、ハローワークや就職支援センターを通じて、自分の得意・不得意を判断し、まずは自分に合った仕事を探してみましょう。


知的発達症(知的障害)を含む障害者の就職支援が進み、少しずつ就職しやすい環境も整いつつあります。困ったときは一人で抱え込まず、就職支援の指導員や担当と相談しながら、職場での知的発達症(知的障害)の理解を深めることが大切です。

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