なぜ私たちは、子どもの成長を待てないのだろうか?

発達障害の特性を劇的に軽減する魔法なんて、残念ながらありません。

けれども私たちは、結果が出るか出ないか分からないような小さな取組みを日々積み重ねることに辛くなってしまって、どうしても劇的に変わる何かを求めてしまいます。

そこをグッとこらえ、20年、30年の長いスパンで子育てを見つめながら、今ここでできる小さな行動を積み重ねていく、それが今の「輝ける場所」にいる類さんを作ったのだと思います。

泉さんは、「コツコツやることの大切さ」を類さんに教えたい、と言っていましたが、お2人の20年の生きざまこそが、まさに「コツコツやることの大切さ」を表していると思います。

そしてそれは、先の見えない毎日をもがきながら歩き続ける、発達障害児とその親を、どれだけ励ますものであるか、想像に難くありません。

栗原さんの体験談に、発達障害児を育てる親としてもらったもの

類さんがアメリカにいた当時、まだ日本では「発達障害」という言葉がそれほど認知されておらず、教育現場でただの問題児として扱われて育った人たちが沢山いました。

類さんが1番辛かったという中学校時代は、まだ日本では発達障害に関する認識が薄かった頃かもしれません。

そういう意味では、先をいっていたアメリカという国で幼少期をおくり、適切な支援を受けることができた類さんはとても貴重な体験をされたのではないかと思います。

しかし最近になって、日本の教育現場でも発達障害についての認知が広まり始め、いろいろな体制が急速に変化してきていることを私は肌で感じています。

私の息子が入学する予定の学校では、発達障害児の聴覚過敏に配慮し、運動会のピストルを音が小さいものに変えました。刺激に弱い子どもは、特別支援級のついたての中でテストを受けることもできます。

別の学校では、特別支援級の授業にiPadを導入するようになりました。類さんが10年以上前にアメリカで受けていた特別支援教育が、ようやく日本にも少しずつ入ってきています。

今この時代は、10年、20年前に辛い思いをして育った発達障害の子どもたちが築いてきたのだと思います。私はこの急速に変化していく過渡期の社会を、発達障害児の親として、しっかり見守っていこうと楽しみにしています。

類さんの本は、そんな社会を生きる私たちに、生きるヒントをくれる貴重なものであったと思います。
発達障害の僕が 輝ける場所を みつけられた理由   栗原 類 (著) KADOKAWA
https://www.amazon.co.jp/dp/4046017775
栗原類さんは発達障害者のロールモデルだった!著書を読んで励まされたことの画像
(c)KADOKAWA, KAYO UME
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