夜驚症と悪夢障害の違いとは?

夜驚症は睡眠障害の一つ、とはじめに説明しましたが、専門的な治療を必要とせず、辛抱強く見守るというケースがほとんどです。しかし、中には夜驚症とよく似た違う障害や疾患を抱えている場合もあります。以下で、夜驚症とよく似ているといわれている悪夢障害について、症状や夜驚症との違いを見てみましょう。

悪夢障害とは、強い不安や恐怖を伴った夢を頻繁に見る、睡眠障害のことです。3~6歳で始まることが多く、青年期後期あるいは成人期初期に重症度が高まります。
夜驚症との違いは、悪夢障害の場合、絶叫や体動はあまりなく、目覚めと同時にはっきりと意識が戻るという点です。自分が見た嫌な夢をこと細かく話すことができるほど鮮明に覚えているという点も特徴です。発汗、脈拍数の上昇、呼吸が速くなるなどの軽度の自律神経の高ぶりがある場合もあります。
夜驚症が深い眠りのノンレム睡眠中に起こるのに対して、悪夢障害は浅い眠りのレム睡眠中に起こるため、はっきりと覚醒できるのです。悪夢障害は過去の恐怖体験やトラウマが原因となり、似たような恐怖体験の夢を繰り返し見ることもあります。また悪夢障害の場合は自然に消滅しにくいといわれています。

子どもが悪夢を見る回数があまりに多い、目が覚めて夢の内容を詳しく話せる、という様子が見られるなら、一度小児科や精神科へ相談してみることをおすすめします。

夜驚症とてんかんの違いとは?

もう一つ、夜驚症とよく区別される疾患にてんかんがあります。特に夜驚症と区別が難しいてんかんに「睡眠関連てんかん」というものがあります。これは、てんかん発作が睡眠時に限って起こる、あるいは発作のほとんどが睡眠中に起こるてんかんを指します。てんかんとは、慢性的な脳の疾患で、大脳の神経細胞が過剰に興奮することで、さまざまな発作が繰り返し見られます。

また、夜驚症と発現が似ているてんかんに関連した精神症状としては、不安や恐怖感がわき起こってくるなどの精神病様状態や感情障害を伴うことがあります。ほかにも、突然意識を失ってうろうろ動き回るなど、夜驚症の症状と見分けることが難しいてんかんに関連した症状がいくつかあります。
参考:小児の睡眠関連病態 福水 道郎,亀井 雄一,三島 和夫 ,中川 栄二,HayesMarieJ.
http://amcor.asahikawa-med.ac.jp/modules/xoonips/download.php/2009118524.pdf?file_id=3308
夜驚症と睡眠関連てんかんをはっきりと見分けることはとても難しいことです。見分ける際には、以下に挙げたような、夜驚症を起こす頻度や時間がヒントとなります。

・子どもが寝始めたあと、夜驚症のような症状を起こす回数があまりにも多い
・子どもが眠りについてからあまりにも時間がたってから症状を起こす
・症状があらわれる一回の時間が10分以上である
・夜寝入りに手足や顔の一部をピクピクと引き攣らせる

子どもの夜驚症の症状にこのような「てんかんかも?」と思われるような特徴がみられる場合、一度病院で診察を受けてみましょう。小児科や精神科の先生に診てもらうことで、「子どもがてんかんかもしれない…」「夜こんなに激しく泣いたりわめいたりするなんて何かの病気かもしれない…」という不安の解消・軽減につながります。

また、夜驚症が頻繁あるいは激しく起こることが続くと周りの大人も睡眠不足になってしまったり、子どもをなだめたりすること、また子育てをしていること自体にも疲れていたりすることが多くあります。症状に不安を感じたときはもちろん、周りの大人が疲れてしまうほどの症状を見せる場合も病院へ行くことをおすすめします。
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夜驚症と発達障害との関係は?

夜驚症をはじめとする睡眠障害は、発達障害の二次障害として現れることが多いとされています。ここで注意すべきことは、夜驚症などの睡眠障害が発達障害を引き起こすという意味ではない、ということです。発達障害特有の性質が原因で、睡眠に影響が出やすいということです。

実際、発達障害のある子どもは発達障害がない子どもに比べて夜に覚醒する割合が高いというデータが出ていることから、発達障害のある子どもで夜驚症も併発しているケースも少なくありません。
参考:Johnson CR, DeMand A and Shui A:Relationships between anxiety and sleep and feeding in young children with ASD. Journal of Developmental and Physical Disabilities , 27(3), 359-373, 2015.
https://link.springer.com/article/10.1007/s10882-015-9419-3
発達障害者の睡眠困難と支援に関する研究 : 発達障害の 当事者調査から( fulltext )   柴田,真緒; 髙橋,智|東京学芸大学紀要. 総合教育科学系, 2017 –
https://u-gakugei.repo.nii.ac.jp/record/34057/files/18804306_68_25.pdf
これは、発達障害のある子どもは刺激に対して過敏であることが多いため、興奮状態になりやすい、ということが密接に関係していると考えられます。また、夜驚症は脳の発達と関連があり、発達障害のある子どもの場合睡眠をつかさどる脳機能が未成熟であったり、発達が遅れてしまうことがあるといわれています。これが、発達障害と夜驚症が同時に現れる場合があることの理由の一つであると考えられます。
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