身近な人が解離性同一性障害(解離性同一症)のときの接し方

解離性同一性障害(解離性同一症)では、周囲の人のみならず、本人も大きな戸惑いやつらさを感じているかもしれません。身に覚えのないことに何度も直面したり、周囲から不審の目を向けられたりするうちに、自分も周囲も信じられなくなることもあります。

身近な人が解離性同一性障害(解離性同一症)のときには、まずは解離性同一性障害(解離性同一症)の症状について知り、ご本人を理解することが大切です。ご本人が穏やかに過ごせるよう、日常生活でストレスをできるだけ少なくしていくこともできるとよいかもしれません。

解離性同一性障害(解離性同一症)の人の中には、トラブルを恐れて、人との付き合いを避けようとする場合もあります。過去のトラウマをむやみに聞くことは避け、複数の人格があることを理解した上で、過度に恐れず“普通に接する”ことも大事でしょう。

子どもが解離性同一性障害(解離性同一症)のときは、学校や家で困っていることがないか本人の話を共感的に聞いていくことも大切です。学校で心配な点があるときは担任の先生などと相談し、学校で過ごしやすい環境を整えることが必要な場合もあります。もし家庭内で子どもに対する虐待がある場合には、子どもの安全を確保することが第一となり、児童相談所などと連携して対応していきます。

また子ども時代(児童期・青年期)の解離性同一性障害(解離性同一症)については、別の人格を実態のあるものとして扱うのではなく、子どもの一部として扱っていく関わりが推奨される場合もあります。

疾患について分からないことがある、もしくは家族の接し方や関係性に悩みがある際には、専門医に家族相談という形で面談をするのも一つの手段です。

解離性同一性障害(解離性同一症)に関する相談先

解離性同一性障害(解離性同一症)に関する相談先としては、総合病院の精神科、精神科病院、精神科クリニック、あるいは地域の精神保健福祉センターや保健所などが挙げられます。

◇精神科:
精神科は、精神疾患を全般的に扱います。具体的には、うつ病、双極性障害(双極症)などの気分障害をはじめ、適応障害(適応反応症)、統合失調症、パーソナリティ障害(パーソナリティ症)、不安障害(不安症)、強迫性障害(強迫症)、睡眠障害、依存症、発達障害、認知症等の治療を行います。基本的に精神科の医師は、『精神科専門医』、『精神保健指定医』などの資格を有しています。

◇児童精神科・児童思春期精神科:
子どもの場合は、主に児童精神科や児童思春期精神科が受診先として挙げられます。「年長さんから高校生まで」や「15歳以下」など、クリニックによって対象年齢が異なるため、受診前にホームページなどで確認しておくとよいでしょう。子ども本人が受診を拒む場合には、家族相談といった形で受診できる場合もあります。

◇全国精神保健福祉センター:
各県、政令市にはほぼ一か所ずつ設置されている、保健・精神保健に関する公的な窓口です。心の相談から、精神医療に係わる相談、アルコールや薬物、思春期の相談などを含め、精神保健福祉に関する相談をすることができます。相談については、電話で受け付けているところや予約制の場合もあります。詳細は、それぞれのセンターにお問い合わせください。
参考:全国の精神保健福祉センター| 厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubutsuranyou_taisaku/hoken_fukushi/index.html
◇保健所:
都道府県、政令指定都市、中核市などに設置されており、地域住民の健康を支える公的機関です。精神疾患や心の健康相談を承っており、必要に応じて関係機関・医療機関などへの紹介を行います。
参考:保健所管轄区域案内|厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/hokenjo/index.html
どこに受診したらよいのか分からない時は、まずは精神保健福祉センターや保健所に問い合わせると適切な助言をしてくれます。

虐待が疑われる場合には

解離症状や解離性同一性障害(解離性同一症)のある子どもにおいて、虐待が疑われる場合には、子ども本人の環境を改善する必要があります。治療したとしても、その子の環境が変わらないと原因となるストレスがなくならないためです。

身近に虐待が疑われる子どもがいる、あるいは自身が保護者で虐待の不安があるといった場合には、次のような相談先があります。

◇189(いちはやく):児童相談所全国共通ダイヤル
虐待を通告する制度として知られている番号ですが、子育て中の保護者自身に虐待の不安がある場合に相談する窓口でもあります。「189」番にかけると、お近くの児童相談所に転送されます。通告・相談は、匿名で行うこともできます。
参考:児童相談所虐待対応ダイヤル「189」とは・・・|こども家庭庁ホームページ
https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/gyakutai-taiou-dial
◇親子のための相談LINE
自治体の相談窓口に、LINEで相談することもできます。いきなり電話や対面はハードルが高いという方は、LINE相談を利用してみてもいいかもしれません。
参考:「親子のための相談LINE」について|こども家庭庁ホームページ
https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/oyako-line

まとめ

解離の原因にはさまざまなものがあるものの、共通するのは強いストレスです。

周りの人は解離性障害(解離症)のことを理解し、つらい気持ちに寄り添うことがとても大切です。ストレスが少ない穏やかな日々を送ることで、少しずつ良くなっていくこともあります。

また、子育て中の不安や心配なことで友人や周囲の人にも言えないことは、一人で抱え込まずに、紹介した相談窓口などを利用してみましょう。
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