精神疾患に苦しむ人への対応の仕方

こころの不調に悩む方と接するときに基本となるのは、 話を真摯に聞くことです。

その人が今どんな気持ちでいるのか、何に悩んでいるのかじっくりと時間をかけて話を聞きます。自分の価値観を押し付けたり、否定したりせず、ただただ聞き手に徹します。こころの不調に悩んでいるときは、ただ自分の気持ちを聞いてもらい、共感してもらうことで、いくらかでも癒やされるものです。

その際、気をつけるべきなのは、本人の苦しみを完全にわかっていると思い込んでしまうことです。

本人が味わっている苦しみを、その人と全く同じように感じることは不可能です。「わたしはあなたのことをわかっている」という思い込みは、一方的な価値観の押し付けにつながりやすく、本人を傷つけてしまうこともあります。

本人が抱えている問題を完全に理解することはできないことを心に留めつつ 回復してほしいと願っていること、そして、その人が悩んでいる問題は、その人自身の弱さや性格によるものではなく、もしかしたら医学的な問題であり専門家による治療が必要かもしれないこと を伝えます。

適切な援助を受けることがどれほど有益なのか具体的に伝え、信頼できる支援者を探す手伝いをすることが大切です。

精神疾患に苦しむ方が受けられる経済的な支援

精神疾患にかかった場合、障害者手帳の交付医療費助成などの支援を受けられます。

自立支援医療(精神通院医療)

自立支援医療(精神通院医療)とは精神疾患がある方で、かつ、通院による継続的な治療が必要な場合、その通院医療にかかわる医療費負担が原則1割になる制度です。

詳しくは、以下のリンクをご参照ください。
自立支援医療(精神通院医療)について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000146932.pdf
通院費を一部負担してくれる「自立支援医療制度」をご存知ですか?のタイトル画像

通院費を一部負担してくれる「自立支援医療制度」をご存知ですか?

高額療養費制度

この制度は、負担の上限金額を超えた高額な医療費を支払った際に、その超過分の払い戻しを受けることのできる健康保険制度です。

以下のハンドブックの12-15ページをご参照ください。
精神障がい者と家族に役立つ社会資源ハンドブック|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/cyousajigyou/jiritsushien_project/seika/research_09/dl/result/01-23b.pdf

都道府県の心身障害者医療費助成制度

重度の心身の障害がある方が、保険証を使って病院に受診した場合、自己負担金が助成される制度です。

各自治体ごとに、対象となる障害やその度合い、支援内容がかなり異なります。また、この助成を受けるにあたり注意点が2つあります。1点目は平成27年8月1日以降に新たに障害者の診断を受けた場合には、助成の対象とならないことです。2点目は、所得制限が定められているため、生計を同じくしている人の所得が一定額以上の場合には助成の対象外となることです。詳しくはお近くの市役所などにご相談ください。

障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)

精神障害者保健福祉手帳を取得した場合、等級にもよりますが所得税や住民税、贈与税などの控除や生活保護の障害者加算、各種手当てが受けられます。

詳しくは以下の記事をご参照ください。
精神障害者保健福祉手帳とは?判定基準やメリット、申請方法まとめのタイトル画像

精神障害者保健福祉手帳とは?判定基準やメリット、申請方法まとめ

障害年金

「障害年金」とは、障害によって生活の安定が損なわれないように、働く上で、あるいは日常生活を送る上で困難がある人に支払われる公的年金の総称です。

障害年金の障害認定基準は障害者手帳の障害認定基準と異なります。そのため障害者手帳で1級でも、障害年金では異なる場合があります。

詳しくは以下の記事をご参照ください。
障害年金を受けるための要件や認定基準、障害年金の申請方法についてまとめましたのタイトル画像

障害年金を受けるための要件や認定基準、障害年金の申請方法についてまとめました

精神疾患に苦しむ方が受けられる生活面の支援

行動援護

その方が何らかの行動をする際に生じうる危険を回避するために必要な援護を行うサービスです。

外出時における移動中の介護や排泄、食事などの介護、その他日常生活での行動の援助が行われます。精神障害による行動上著しい困難があり、常時介護を必要とする場合に利用できます。

詳しくは以下のサイトをご参照ください。
参考:行動援護|独立行政法人福祉医療機構
https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/syogai/handbook/service/c078-p02-02-Shogai-04.html

生活介護

生活介護では、介護を常に必要としている方に対し、入浴や排泄、食事などの日常生活の援助や、創作的活動や生産活動の機会の提供、各種相談などを、主に日中において行います。
参考:生活介護|独立行政法人福祉医療機構HP
https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/syogai/handbook/service/c078-p02-02-Shogai-06.html

精神障害者居宅介護等事業(ホームヘルプサービス)

家庭など、居住している場所にホームヘルパーを呼び、食事や入浴、その他日常生活の援助を受けることができます。

利用対象者は、原則として精神障害者保健福祉手帳の保持者、あるいは障害者年金を受けている方で、かつ、日常生活に支障がある人です。

施設入所支援

施設入所支援では、主として夜間において、食事や排泄などの日常生活の援助や相談が行われます。日中の訓練などサービスも同じ施設で行われます。

詳しくは以下のサイトをご参照ください。
施設入所支援|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000179946.pdf

共同生活援助(グループホーム)

共同生活援助とは主に夜間において少人数での共同生活を援助するサービスです。個別の支援計画を立てた上で、相談や入浴、排泄などの日常生活の援助を行います。

詳しくは以下のサイトをご参照ください。
共同生活援助|独立行政法人福祉医療機構HP
https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/syogai/handbook/service/c078-p02-02-Shogai-23.html

短期入所(ショートステイ)

在宅の精神障害者を対象に、介護者の事情で一時的に介護困難の場合利用することができます。夜間を含め施設で、入浴や食事などの日常生活の援助が行われます。

利用が可能な期間は基本的に7日以内で、事情がある場合は必要最小限の範囲で延長可能です。

グループホームなどの夜間のサービスは、自立訓練や就労移行支援、地域活動支援センターなどの昼間のサービスと組み合わせて利用するのが一般的です。
次ページ「精神科訪問看護/精神科デイ・ケア(通院以外の治療) 」

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