臨床発達心理士の活躍の場と具体的な支援
「臨床発達心理士」資格のある人が特定の職場にいるわけではありません。赤ちゃんから高齢者を対象として発達を支援する人のための資格であることから、資格を持つ人の活躍する場は多岐にわたります。
以下では、支援対象の年代別に具体的な職場やどのような仕事をしているのかを紹介していきます。
以下では、支援対象の年代別に具体的な職場やどのような仕事をしているのかを紹介していきます。
乳幼児期
・新生児医療の場:育児不安の解消、愛着形成への援助など
・保育所/幼稚園:保育者、保育カウンセラー、特別支援教育コーディネーターとしての業務など
・家庭支援センター:親子広場スタッフ、子育て講座の講師、家庭相談スタッフなど
・保育巡回相談:主に行政からの委託で保育所、幼稚園を巡回
・乳児院/児童養護施設:カウンセリング、セラピーの実施など
・保健所/保健センター:妊娠中に両親学級の講師やグループワークのスタッフ、乳幼児健診および発達が気になる子どものフォローなど
・保育所/幼稚園:保育者、保育カウンセラー、特別支援教育コーディネーターとしての業務など
・家庭支援センター:親子広場スタッフ、子育て講座の講師、家庭相談スタッフなど
・保育巡回相談:主に行政からの委託で保育所、幼稚園を巡回
・乳児院/児童養護施設:カウンセリング、セラピーの実施など
・保健所/保健センター:妊娠中に両親学級の講師やグループワークのスタッフ、乳幼児健診および発達が気になる子どものフォローなど
学齢期
・小中学校/高校/大学:教師として特別支援教育コーディネーターの業務など
・スクールカウンセラー:校内相談業務、保護者支援、校内研修会講師など
・教育委員会:教育相談、就職相談等の相談業務、心理検査の実施など
・発達支援センター:障害児童やグレーゾーンの子どものアセスメント、相談、療育など
・放課後デイサービス:指導員へのコンサルテーション、保護者支援など
・学童保育所:指導員へのコンサルテーション、保護者支援など
・学童相談室:大学等での学生相談室でのアセスメント
・児童相談所:心理判定、相談、指導業務など
・特別支援学校:教育のアセスメント、指導評価の実施、保護者支援、教育機関への巡回相談など
・特別支援学級/通級指導教室/言葉の教室:教育のアセスメント、教育支援計画作成、校内特別支援コーディネーター業務など
・スクールカウンセラー:校内相談業務、保護者支援、校内研修会講師など
・教育委員会:教育相談、就職相談等の相談業務、心理検査の実施など
・発達支援センター:障害児童やグレーゾーンの子どものアセスメント、相談、療育など
・放課後デイサービス:指導員へのコンサルテーション、保護者支援など
・学童保育所:指導員へのコンサルテーション、保護者支援など
・学童相談室:大学等での学生相談室でのアセスメント
・児童相談所:心理判定、相談、指導業務など
・特別支援学校:教育のアセスメント、指導評価の実施、保護者支援、教育機関への巡回相談など
・特別支援学級/通級指導教室/言葉の教室:教育のアセスメント、教育支援計画作成、校内特別支援コーディネーター業務など
成人・高齢期
・障害者施設/作業所:セラピー、カウンセリング、家族支援など
・高齢者施設:カウンセリング、セラピー、心理検査の実施など
・企業:企業内相談業務、心理調査など
・高齢者施設:カウンセリング、セラピー、心理検査の実施など
・企業:企業内相談業務、心理調査など
生涯発達
・病院・クリニック(小児科・精神科・診療内科等):患者・保護者へのカウンセリング、患者へのセラピー、心理検査の実施など
上記の職種以外に、臨床発達心理士以外の資格を保持しているひとは、職種の幅にも広がりがあります。臨床発達心理士の中には、他の資格や免許も有しながら職務に就いている場合も多いので、純粋に心理職として働いているケースばかりではありません。
例えば、家庭裁判所で調査官として仕事をする人、震災時に現場に赴いて支援をする人、研究者として働く人の中にも、臨床発達心理士の資格を生かして仕事をしている人が多くいます。臨床発達心理士としての視点を持って、両者の領域で培われた専門性を活かして活動しているのです。
しかし、医師免許を有している場合でない限り、臨床発達心理士は医療行為全般(薬を用いた治療や障害かどうかの確定診断をすること)はできません。また医師にかかる場合は、健康保険が適用されますが、臨床心理士に相談する場合は基本的には健康保険が適用されません。
上記の職種以外に、臨床発達心理士以外の資格を保持しているひとは、職種の幅にも広がりがあります。臨床発達心理士の中には、他の資格や免許も有しながら職務に就いている場合も多いので、純粋に心理職として働いているケースばかりではありません。
例えば、家庭裁判所で調査官として仕事をする人、震災時に現場に赴いて支援をする人、研究者として働く人の中にも、臨床発達心理士の資格を生かして仕事をしている人が多くいます。臨床発達心理士としての視点を持って、両者の領域で培われた専門性を活かして活動しているのです。
しかし、医師免許を有している場合でない限り、臨床発達心理士は医療行為全般(薬を用いた治療や障害かどうかの確定診断をすること)はできません。また医師にかかる場合は、健康保険が適用されますが、臨床心理士に相談する場合は基本的には健康保険が適用されません。
臨床発達心理士による発達障害に対するアセスメント
有効な支援を行うためには、その問題を解決するために情報を集め、それをもとにその人にあった支援の方法を計画していく必要があります。これをアセスメントと言います。
ここでは、一つの例として発達障害の支援計画を立てるための代表的なアセスメントについて具体的に説明していきます。
ここでは、一つの例として発達障害の支援計画を立てるための代表的なアセスメントについて具体的に説明していきます。
1. 生活状況の情報収集
◇対象の支援ニーズに関する情報収集
聞き取りや観察によって生育歴や育児についての情報や、発達の経過、現在の行動や状況など日常生活に関する情報を集め、支援ニーズを知ることから始まります。これは、保護者や保育者、家族などと共同で行うことが望ましいです。
◇対象を取り巻く環境に関する情報収集
園や施設に通っている場合は、それらの環境に関する情報を収集する必要があります。また、家庭環境や地域環境についての情報の収集も、支援を考える際に重要になっていきます。これらの情報をもとに問題の暫定的な把握をしたうえで、発達状態の情報を収集します。
聞き取りや観察によって生育歴や育児についての情報や、発達の経過、現在の行動や状況など日常生活に関する情報を集め、支援ニーズを知ることから始まります。これは、保護者や保育者、家族などと共同で行うことが望ましいです。
◇対象を取り巻く環境に関する情報収集
園や施設に通っている場合は、それらの環境に関する情報を収集する必要があります。また、家庭環境や地域環境についての情報の収集も、支援を考える際に重要になっていきます。これらの情報をもとに問題の暫定的な把握をしたうえで、発達状態の情報を収集します。
子どもの臨床心理アセスメントとは?目的やアセスメントシートの様式・記入例【専門家監修】
2. 発達状態の情報収集
◇知能検査
知能検査ではおもにIQ(知能指数)の値を指標とすることが多いです。従来は、精神年齢と生活年齢をもとにもとめる比例IQを用いることが多かったですが、最近では、同年代の平均との隔たりをもとにもとめる偏差IQが中心になってきています。
知能検査を行う目的は認知発達の水準を科学的・客観的に評価することで、その人の得意分野、不得意分野を分析することです。知能検査の結果からわかるその人の得意、不得意分野から療法の方向性を決定するために使われます。
代表的な知能検査に以下のようなものがあります。
・ウェクスラー式知能検査
・田中ビネー知能検査
知能検査ではおもにIQ(知能指数)の値を指標とすることが多いです。従来は、精神年齢と生活年齢をもとにもとめる比例IQを用いることが多かったですが、最近では、同年代の平均との隔たりをもとにもとめる偏差IQが中心になってきています。
知能検査を行う目的は認知発達の水準を科学的・客観的に評価することで、その人の得意分野、不得意分野を分析することです。知能検査の結果からわかるその人の得意、不得意分野から療法の方向性を決定するために使われます。
代表的な知能検査に以下のようなものがあります。
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◇発達検査
発達検査では日常生活や対人関係などにおける子どもの発達基準を数値で表したDQ(発達指数)を算出します。子どもが成長していくには、発達段階に適したアプローチが必要になります。そのため、発達段階を客観的に知るための手段として発達検査は使われます。
ただし、発達指数の値だけで子どもの発達状態を判断をすることはありません。あくまでものさしの一つであり、発達検査から分かる能力のバランスや日常生活の様子などを総合して子どもの発達状態を把握します。
代表的な発達検査には以下のようなものがあります。
・新版K式発達検査
・乳幼児精神発達診断法
発達検査では日常生活や対人関係などにおける子どもの発達基準を数値で表したDQ(発達指数)を算出します。子どもが成長していくには、発達段階に適したアプローチが必要になります。そのため、発達段階を客観的に知るための手段として発達検査は使われます。
ただし、発達指数の値だけで子どもの発達状態を判断をすることはありません。あくまでものさしの一つであり、発達検査から分かる能力のバランスや日常生活の様子などを総合して子どもの発達状態を把握します。
代表的な発達検査には以下のようなものがあります。
・新版K式発達検査
・乳幼児精神発達診断法
発達検査とは?発達障害の診断は出る?検査の種類、費用など【専門家監修】
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◇スクリーニング検査
発達障害に関するスクリーニング検査は、どの精密検査を行うべきかの判断や潜在的な発達遅れや発達障害の可能性を検査するために行われます。スクリーニング検査は、たくさんある発達障害のうち、その子どもに当てはまる可能性がある障害を絞り込むためのものです。スクリーニング検査には網羅性が重要視されるため、正確性はそれほど高くはありません。
仮に検査で陽性が出たとしても精密検査するかどうかの判断基準になるだけで、発達障害であることが確定するわけではないということに注意が必要です。スクリーニング検査は乳児健康診査、1歳6ヶ月健康診査、3歳児健康診査などの場でも活用されています。
◇行動観察
臨床発達心理士は言葉をかけた時の子どもの反応や、話し方、質問を正しく理解しているのかなどのさまざまな反応をできるだけ詳細に観察して、子どもの特徴やくせを見つけようとします。日常場面における観察だけでなく、臨床発達心理士が状況設定した場面における観察も行うこともあります。
上記の生活情報と発達状態の情報をふまえて、それぞれの特徴にあった支援計画を立てていきます。本人に対する支援や保護者への支援だけでなく、施設との連携体制を確立させたり、担当保育者などへの支援計画を立てたりすることもあります。
発達障害に関するスクリーニング検査は、どの精密検査を行うべきかの判断や潜在的な発達遅れや発達障害の可能性を検査するために行われます。スクリーニング検査は、たくさんある発達障害のうち、その子どもに当てはまる可能性がある障害を絞り込むためのものです。スクリーニング検査には網羅性が重要視されるため、正確性はそれほど高くはありません。
仮に検査で陽性が出たとしても精密検査するかどうかの判断基準になるだけで、発達障害であることが確定するわけではないということに注意が必要です。スクリーニング検査は乳児健康診査、1歳6ヶ月健康診査、3歳児健康診査などの場でも活用されています。
◇行動観察
臨床発達心理士は言葉をかけた時の子どもの反応や、話し方、質問を正しく理解しているのかなどのさまざまな反応をできるだけ詳細に観察して、子どもの特徴やくせを見つけようとします。日常場面における観察だけでなく、臨床発達心理士が状況設定した場面における観察も行うこともあります。
上記の生活情報と発達状態の情報をふまえて、それぞれの特徴にあった支援計画を立てていきます。本人に対する支援や保護者への支援だけでなく、施設との連携体制を確立させたり、担当保育者などへの支援計画を立てたりすることもあります。
臨床発達心理士と臨床心理士との違いは?
これまでの説明にあるとおり、「臨床発達心理士」とは、発達心理学の立場から、赤ちゃんからお年寄り、子育て中の保護者や障害のある人など、幅広い世代、状況の人たちの発達・成長・加齢に寄り添い、人の健やかな育ちを促進するよう支援する専門家です。
それに対して、「臨床心理士」とは、同じ心理系の民間資格ですが、臨床心理学の立場から不登校や二次障害、精神障害などの発達に関連して引き起こされる様々なこころの問題に対する心理療法や、こころの問題を予防するための研究にもとづいて、人のこころにアプローチする専門家です。障害をはじめとする困難や不適応状態、傷つき体験などへの専門的な支援を行います。
つまり、得意とする支援対象やケースに違いがあります。しかし、どちらの資格も、医療・教育・保健・福祉分野においては活躍の場が同じこともあり、両方の資格を取得することでより広い視点でより広い職域において活躍することができます。
支援を受ける人は、一人ひとりの発達の特徴に寄り添った支援をしてくれる専門家を見つけることが大切になってきます。
それに対して、「臨床心理士」とは、同じ心理系の民間資格ですが、臨床心理学の立場から不登校や二次障害、精神障害などの発達に関連して引き起こされる様々なこころの問題に対する心理療法や、こころの問題を予防するための研究にもとづいて、人のこころにアプローチする専門家です。障害をはじめとする困難や不適応状態、傷つき体験などへの専門的な支援を行います。
つまり、得意とする支援対象やケースに違いがあります。しかし、どちらの資格も、医療・教育・保健・福祉分野においては活躍の場が同じこともあり、両方の資格を取得することでより広い視点でより広い職域において活躍することができます。
支援を受ける人は、一人ひとりの発達の特徴に寄り添った支援をしてくれる専門家を見つけることが大切になってきます。
臨床心理士とは?役割と資格、支援を受けられる場所、発達障害・不安障害の相談・療法・検査まとめ