てんかんの分類は?どのようなタイプがあるの?

てんかんは4つのタイプに診断され、それぞれのタイプに合わせた治療が適用されます。ここでは、てんかん症候群分類として現在広く知られている、国際抗てんかん連盟(ILAE)が1989年に発表した「てんかん、てんかん症候群および関連発作性疾患の分類」の分類をご紹介します。※2017年3月にILAEではてんかん発作とてんかん分類について新しい提言を発表しました。そのため今後は徐々に2017年分類が国際基準となっていくことが予想されます。

まず、てんかん発作は脳の一部から始まる「部分発作」と右脳と左脳が同時に興奮状態に巻き込まれる「全般発作」の大きく2つに分類されます。

部分発作

部分発作は、脳の一部の神経細胞が異常興奮を起こし発作が始まるタイプのものです。発作時に意識障害がない場合は「単純部分発作」といい、意識障害を伴っている場合は「複雑部分発作」といいます。
てんかんの部分発作は、脳の一部の神経細胞が異常興奮を起こし発作が始まるタイプのものです。(さくらキッズくりにっく院長・小児科医・藤井明子先生監修)
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全般発作

全般発作は脳全体の神経細胞が異常興奮を起こすことで発作が起きるタイプのものです。またミオクロニー発作以外では意識消失を伴います。意識を短時間失うような発作から、体の筋肉がけいれんしたり、こわばったりするものまでさまざまな発作症状があります。

部分発作だけで治まることもあれば、部分発作から始まり、全般発作に変化する二次性全般化発作もあります。
てんかんの全般発作は脳全体の神経細胞が異常興奮を起こすことで発作が起きるタイプのものです。(さくらキッズくりにっく院長・小児科医・藤井明子先生監修)
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これら発作型の「部分発作」と「全般発作」に加え、てんかんの原因である「特発性(病変がなく発作を起こしやすい体質がある)」と「症候性(病変などにより脳の異常興奮が起こる)」によって4つのタイプに分類すると、次の図のように分類されます。
発作型の「部分発作」と「全般発作」に加え、てんかんの原因である「特発性(病変がなく発作を起こしやすい体質がある)」と「症候性(病変などにより脳の異常興奮が起こる)」によって4つのタイプに分類(さくらキッズくりにっく院長・小児科医・藤井明子先生監修)
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特発性部分てんかん

脳にはっきりとした病変はありませんが、体質により脳の一部で体質により過敏になり、神経細胞の異常興奮がおこるため、部分発作が起こります。幼児期から学童期に多く発症しますが、成長とともに自然に治るものが大半です。体質による過敏性が、成長とともにやわらいでいくこともあると考えられています。

【主なてんかん症候群】
・中心、側頭部に棘波(きょくは)をもつ良性小児てんかん
・後頭部に突発波をもつ小児てんかん
など

特発性全般てんかん

上記と同様に脳にはっきりとした病変はありませんが、脳全体が過敏になり異常興奮がおこることで全般発作が起こります。多くは小児期から思春期にかけて発症し、25歳以上の発症はまれです。薬物療法が効果的で適切な治療を続けているかぎり、発作は起こりにくくなります。ただし薬を辞めると途端に再発する場合があるので注意が必要です。

【主なてんかん症候群】
・小児欠神てんかん
・若年欠神てんかん
・若年ミオクロニーてんかん
・覚醒時大発作てんかん
など

症候性部分てんかん

発作の引き金となる病変があると考えられ、部分発作を起こすてんかんです。原因がさまざまゆえ、年齢を問わず発症する可能性があります。薬物療法が効きにくいといわれていて、発作の抑制が難しい場合もあります。病変を切除することで発作が起こらなくなることもあります。

【主なてんかん症候群】
・側頭葉てんかん
・前頭葉てんかん
・頭頂葉てんかん
・後頭葉てんかん

症候性全般てんかん

上記と同様に発作の引き金となる病変があると考えられ、全般発作を起こすてんかんです。
多くは幼児期~思春期に発症します。また発作が頻繁で、部分発作も全般発作もみられる場合が多いといわれています。てんかんを繰り返すことで知的発達面にも遅れが出やすくなります。

【主なてんかん症候群】
・ウエスト症候群
・レノックス-ガストー症候群
・ドラベ症候群
・進行性ミオクローヌスてんかん
など

まとめ

てんかんの主な症状は「発作」です。発作にはいくつかのパターンや種類があり、発作が起きている様子を見ると動揺してしまう場合もありますが、冷静になって動画を撮影するなどの行動で、その後の医療機関受診の際の問診でより医師に症状を伝えやすくなります。

また、気になる症状があったらかかりつけの医師に相談することも重要です。

イラスト/taeko
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