アダルトチルドレン(AC)とは?診断名なの?原因や特徴、うつ病などの精神疾患との関係について解説【専門家監修】
ライター:マンガで分かる発達障害のキホン
アダルトチルドレン(AC)とは、子ども時代に親との関係の中で負った何らかのトラウマ(心的外傷)が現在の生きづらさや人格形成に影響していると感じている状態を指す概念ですが、医学的な診断名ではありません。このコラムではアダルトチルドレン(AC)について、特徴、うつ病など精神疾患との関係について、イラストで分かりやすく解説します。
監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
アダルトチルドレンとは?アダルトチルドレンになる原因は?
アダルトチルドレン(AC)とは、子ども時代に親との関係の中で負った何らかのトラウマ(心的外傷)が現在の生きづらさや人格形成に影響していると感じている状態を指す概念ですが、医学的な診断名ではありません。
1970年代にアメリカで提唱されたのはAdult Children of Alcoholics(ACoA)で、元々はアルコール依存症のある保護者のもとで育った人という意味で使われていました。
現在では解釈は広がり、アルコール依存症だけでなく薬物依存症、セックス依存症、ギャンブル依存症、ワーカホリック(仕事依存)などといった依存症のある保護者や養育者の元で育つことや、機能不全家族のもとで育つことなどによるトラウマが現在の生きづらさや人格形成に影響している状態として使われるようになっています。
機能不全家族とは、本来安全な場所であるはずの家族が何らかの要因でその機能を十分に果たせない状態となっていることを示します。要因には、親や養育者に依存症がある、虐待やネグレスト(育児放棄)、家族同士の不仲による対立や生活貧困、子どもに対する過剰な期待などさまざまあります。保護者が偏った考え方を持っている機能不全家族のなかでは、健全な学びの体得が難しい状況になってしまいます。
親や養育者に依存症があったり、虐待などを行う機能不全家族の場合、家庭は子どもにとって「安全な場所」でない可能性があります。そして、子ども時代に受けたトラウマは強い後遺症をのこすことがあります。そういった環境で育った子どもの中には、あまりにつらい体験を認めたくないために、無意識のうちにその経験を忘れてしまったり、自分自身が傷ついていたことすら認識できないという人もいます。
知らず知らずのうちにためこんだ感情が抱えきれなくなった結果、自身も依存症になってしまったり、怒りと攻撃性を爆発させ問題行動を起こす場合(行動化)があります。
一方、目立った問題を起こさない人もいます。ですがそうした人も生きづらさを感じており、二次的に精神疾患を発症することがあります。
1970年代にアメリカで提唱されたのはAdult Children of Alcoholics(ACoA)で、元々はアルコール依存症のある保護者のもとで育った人という意味で使われていました。
現在では解釈は広がり、アルコール依存症だけでなく薬物依存症、セックス依存症、ギャンブル依存症、ワーカホリック(仕事依存)などといった依存症のある保護者や養育者の元で育つことや、機能不全家族のもとで育つことなどによるトラウマが現在の生きづらさや人格形成に影響している状態として使われるようになっています。
機能不全家族とは、本来安全な場所であるはずの家族が何らかの要因でその機能を十分に果たせない状態となっていることを示します。要因には、親や養育者に依存症がある、虐待やネグレスト(育児放棄)、家族同士の不仲による対立や生活貧困、子どもに対する過剰な期待などさまざまあります。保護者が偏った考え方を持っている機能不全家族のなかでは、健全な学びの体得が難しい状況になってしまいます。
親や養育者に依存症があったり、虐待などを行う機能不全家族の場合、家庭は子どもにとって「安全な場所」でない可能性があります。そして、子ども時代に受けたトラウマは強い後遺症をのこすことがあります。そういった環境で育った子どもの中には、あまりにつらい体験を認めたくないために、無意識のうちにその経験を忘れてしまったり、自分自身が傷ついていたことすら認識できないという人もいます。
知らず知らずのうちにためこんだ感情が抱えきれなくなった結果、自身も依存症になってしまったり、怒りと攻撃性を爆発させ問題行動を起こす場合(行動化)があります。
一方、目立った問題を起こさない人もいます。ですがそうした人も生きづらさを感じており、二次的に精神疾患を発症することがあります。
アダルトチルドレンの特徴
アダルトチルドレンの特徴として、概念の元となっているACoA(Adult Children of Alcoholics=アルコール依存症の親のもとで育った人)について記したジャネット・ウォイティッツは、以下のように示しています。
1. ACoAは何が正常かを推測する(「これでいい」との確信が持てない)
2. ACoAは物事を最初から最後までやり遂げることが困難である
3. ACoAは本当のことを言った方が楽なときでも嘘をつく
4. ACoAは情け容赦なく自分に批判を下す
5. ACoAは楽しむことがなかなかできない
6. ACoAはまじめすぎる
7. ACoAは親密な関係を持つことが大変難しい
8. ACoAは自分にコントロールできないと思われる変化に過剰に反応する
9. ACoAは他人からの肯定や受け入れを常に求める
10. ACoAは他人は自分と違うといつも考えている
11. ACoAは常に責任をとりすぎるか、責任をとらなさすぎるかである
12. ACoAは過剰に忠実である。無価値なものとわかっていてもこだわり続ける
13. ACoAは衝動的である。他の行動が可能であると考えずに一つのことに自らを閉じこめる
引用:斎藤学『アダルト・チルドレンと家族―心のなかの子どもを癒す』
上記のような特徴から、社会生活などさまざまな場面での困難につながる場合もあります。
しかし、このような特徴や生きづらさは、発達障害や精神疾患などを含め、別の要因でも生じる可能性もあります。上記に当てはまるからといって必ずアダルトチルドレンであるとは限りません。
しかし、このような特徴や生きづらさは、発達障害や精神疾患などを含め、別の要因でも生じる可能性もあります。上記に当てはまるからといって必ずアダルトチルドレンであるとは限りません。
アダルトチルドレンとうつ病など精神疾患との関係は?
アダルトチルドレンとは、状態像を示す用語で、診断のための医学用語ではありません。
ですが、親や養育者との関係で何らかのトラウマを負ったことにより、精神疾患の症状が現れることがあります。
二次的な精神疾患の例としては、
・依存症
・うつ病
・不安障害
・PTSD
・摂食障害
などが挙げられます。
こうした精神疾患の症状に対して医療機関の受診や治療が必要となる場合があります。
ですが、親や養育者との関係で何らかのトラウマを負ったことにより、精神疾患の症状が現れることがあります。
二次的な精神疾患の例としては、
・依存症
・うつ病
・不安障害
・PTSD
・摂食障害
などが挙げられます。
こうした精神疾患の症状に対して医療機関の受診や治療が必要となる場合があります。
アダルトチルドレン(AC)とは?診断や症状、特徴など/専門家監修
発達障害の診断・検査方法は?診断・検査は受けるべき?発症年齢や検査・診断の方法を紹介します【専門家監修】
機能不全家族とは?影響を受けるとアダルト・チルドレンになる?原因、相談先や家族の立て直し方をご紹介
PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは?原因、症状、治療、PTSDに似た発達障害の症状まで解説【精神科医監修】
「母親失格だ!」育児書のような子育てを求める夫。多動にクレーン、2歳娘の孤独な子育て。3年後の「ASDと知的障害の診断」で起きた変化ーーユーザー体験談
子どもの癇癪(かんしゃく)とは?癇癪の原因や発達障害との関連は?癇癪を起こす前の対策と対処法、相談先まとめ【専門家監修】
大人の癇癪(かんしゃく)とは?発達障害との関連は?【専門家監修】