馬のいる公園でも、馬を怖がるでもなく興味を示すこともなく、砂利で遊んでいた1歳後半

馬がいる公園へ息子を連れていったときのことです。

子どもなら、馬がいたら怖がるか興味を持つかどちらかと思っていたのですが、息子は馬を無視して、地面に落ちている砂利を手にとり、それを太陽の光に当てて、パラパラと落とすという動作を繰り返していました。

そのとき、「この子、変だな」と思いました。
1歳半の息子。「変だな」と思う行動が積み重なっていきました
1歳半の息子。「変だな」と思う行動が積み重なっていきました
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落ちていく花びらを見る1歳半の息子
落ちていく花びらを見る1歳半の息子
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保育園に入ったことで、同年代とは明らかに違う息子に気づいた

このように、息子の行動に対して「変だな」「おかしい」と思う場面は積み重なっていったのですが、それでも私は息子に自閉スペクトラム症があるということには思い当たりませんでした。

私は、息子が生まれる前に特別支援学校で実習の経験があったのですが、その教室には息子のようなタイプの生徒がいなかったからです。
息子は目も合うし、笑うので、私は「息子は自閉スペクトラム症ではない」と考えていました。
目が合うし笑うのでASDではないと思っていました
目が合うし笑うのでASDではないと思っていました
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ただ、2歳3ヶ月で保育園に入ったところ、明らかに、同年代である周りの子どもたちとは違う様子に驚きました。
保育士さんの指示がまるで聞こえないかのように行動する息子を、「変だな」から「なにか障害があるのかも」と感じるようになり、病院を受診。医師に自閉スペクトラム症と診断されることになったのです。
執筆/立石美津子

(監修・鈴木先生より)
「そこに人がいないような目つき」とありましたが、ASDのお子さんはアイコンタクトが苦手なことが多くあります。
定型発達の場合は物、例えばタンスを見るとき、タンスに目はありませんのでタンス全体をとらえると思います。ASDのお子さんの場合、見る対象が人であっても物であっても、基本的に見方を変えることがないので、あえて「目を合わせる」こともしないのです。
このようにASDのお子さんは人の目をじっと見るのは苦手ですが、好きなものなどこだわりがあると、それをじっと見ていられます。
回転する物が好きなお子さんは、コインランドリーでずっと回転している洗濯機を見ています。息子さんが、馬よりも地面に落ちている砂利をパラパラと落として見続けたのも、このこだわりが関係していると思われます。

「この子、おかしい」「この子、変だな」と思われたそうですが、これを障がいと捉えるのではなく「不思議ちゃん」だな、このような特性があるんだなと思うくらいでいいでしょう。
早期発見・早期療育はとても大事なので、2歳3ヶ月で病院を受診されたことはとてもよい判断だと思います。

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アスペルガー症候群(ASD/自閉スペクトラム症)とは?特徴と相談先【専門家監修】

コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。

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