スモールステップを繰り返し、約1年かけて母子登校できるように

なんでだろう? どうしたらいいんだろう? と、深い霧の中にいた状態だった私たちにとって、少しだけ進む道が見えてきた瞬間でした。

姉子は医師の指導のもと投薬治療を始めました。
そして、私と一緒に家で授業の時間割を合わせて用意をする、一緒に学校までまで行って校門にタッチして帰る、登校して先生にプリントをわたす、といったスモールステップを地道に続け、約1年かけてやっと別室に母子登校できるようになりました。
(「母子登校」とは、保護者が付き添い、子どもと一緒に登校することです。学校に行くことに不安を感じたり、不登校になってしまった場合に、通常登校へ戻るための支援策として姉子が通っていた学校では取り入れてありました)。
スモールステップを繰り返し1年かけて別室に母子登校できるように!
スモールステップを繰り返し1年かけて別室に母子登校できるように!
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2年間の母子登校で娘に笑顔が

私は、毎朝姉子と一緒に登校し、教室の隣の部屋で課題のプリントなどをしながら一緒に過ごし、給食を食べているのを見守り(コロナ禍だったので、関係者以外の飲食は禁止でした)一緒に下校していました。

最初は数十年ぶりに小学生になったような気持ちでいた私でしたが、学校なので家にいるように横になったりスマートフォンを見たり、のんびり休憩できる時間もなく……。ずっと姉子のそばにいなければならないので、常に緊張状態で、しんどくなった時もありました。

それに、お昼ごはんは帰宅するまで食べられなかったので、朝ごはんを食べ忘れるともう大変! お腹の音が鳴りっぱなしで……食いしん坊の私にとって、これはかなりつらい経験でした(だからといって痩せたりはしませんでした。不思議だなあ?(笑))。
母子登校はなかなか大変……!
母子登校はなかなか大変……!
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そんな中で、クラスメイトや先生方にもとても温かく接していただきました。そして、姉子にもだんだん笑顔が見えるようになってきた時には「母子登校をやってきてよかったな」と、涙が出そうでした。

こんな日々が結局約2年続きましたが、またその話は別の機会に書きたいと思います。
執筆/スパ山

(監修:新美先生より)
分離不安症(母子分離不安症)は、愛着の対象(=安全基地、主には母親)から離れることを年齢に不相応に極端に怖がるような状態です。
もともと繊細で不安を抱きやすい性質のお子さんに起きやすく、大きな環境の変化や、その環境(園・学校など)が合わずお子さんが不安を抱きやすい状況が続くと分離不安の症状が出やすくなります。

学校に行くと分離不安となり、保護者から離れられない場合、対処法としては大きく分けて3つあります。
(1)お母さんなどが一緒に登校する(母子登校、付き添い登校と言われることもあります)。
(2)学校が大きい不安の対象になっているなら、学校の環境を本人が不安に感じないように工夫する
(3)学校以外に本人が大きな不安を抱かなくても行ける場所を探す(例えばフリースクール、ホームスクーリングなど)といったことが考えられます。

正直、母子登校は記事にもあったように保護者の方の負担もとても大きいと感じています。
それでもスパ山さん親子は、かなり長い期間をかけて、また別室登校と言った形式で(2)の学校自体がお子さんに負担のないやり方の工夫などもしながら、だんだんと姉子さんに学校でも笑顔が見られるようになってきたという、母子登校をやってよかったと思えるところまで行きついたということですね。

簡単には語れない2年間だったのではないかと思いますが、本当にお疲れ様でした。スパ山さんも姉子さんも本当によく頑張られましたね。
前の記事はこちら
https://h-navi.jp/column/article/35029816
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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