その後の私たち

周りの親子の様子と違い過ぎて、いたたまれなかったのでその後は子育て支援センターへ行くことはなくなりました。暑い季節だったので屋内で過ごしたかったけれど、人の少なそうな早い時間に公園へ行ったりショッピングモールで過ごしたりと、次第に人とあまり近い距離にならない場所を選ぶようになりました。

マユユの外出中に制止がきかない、抱っこや手繋ぎなどを嫌がる、などの様子は日増しに強くなっていきました。その後次第に水(水道や水たまり)やエスカレーターへの”執着”も育っていき、外出はどんどん難易度をあげていきました。自ら動けるようになったことで、自由にできない時には癇癪を起こすようにもなり、私は周囲に謝罪するばかり。

明日はどこへ行こう。

そう考える時の気持ちは暗いものになって行きました。
なるべく人に気を遣わなくていい公園や遊戯施設をスマートフォンでずっと検索していました。
なるべく人に気を遣わなくていい公園や遊戯施設をスマートフォンでずっと検索していました。
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やはり障害とは思い至らなかったものの

そもそもの知識のなさからまだ障害とは思い至らなかったものの、「この子は個性的ではあるな……」「周りの子の様子と違うかも」とはっきり感じるようにはなっていました。

当時、ほかの親子がいる場面などで私は、周りに「ちょっと活発な子で」とか「わが道をゆくタイプで」みたいに半分冗談のように予防線のように話していました。

そして大人しくママのそばにいる子や、ニコニコとコミュニケーションを取れる子をみて抱えきれない暗い気持ちになったり、それを自分のなかで見なかったことにしていたのを覚えています。

いま振り返ると、結果的にはどの悩みも「辛抱強く過ごしていたらいつの間にか薄らいでいた」という感じでした。もちろん子どもへの対応方法を考えることも大事ですが、私自身の心のケアをもっと考えたら良かったなと思いました。
今もたくさんつらい気持ちになりますが、主に子どもをみている私(母親)のメンタルがとても重要に感じています。
執筆/サチコ

(監修:森先生より)
いろいろな問題は、時間が解決してくれるという部分は確かにありますね。でも、それだけではなく、サチコさんの頑張りの積み重ねも大きいのではないでしょうか。大変な中、少しでもお子さんに良いと思われることを頑張ってこられましたね。

さて、わが子をほかの子と比べてしまって、自分の育児に自信をなくして落ち込む、というご相談は実はとても多いのです。発達障害のあるなしにかかわらず、周りの子は「できる」ように見えてしまうものです。「発達障害であると診断されたら周りと比較しなくなった」という方もいらっしゃいますが、「同じく発達障害のある子と比較してしまう」という方もいらっしゃいます。

結局のところ、発達の度合いだけでなく、性格や興味の向く方向、集中力、体調などなど、その子によってそれぞれなので、その子にとって良いと思うことを試していくしかありません。「お母さん」にいろいろな人がいるのと同じように、「お子さん」も本当にそれぞれなのです。「発達障害」というくくりも、お子さんを理解するため、周囲からのサポートを受けやすくするためのツールの一つと考えましょう。
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https://h-navi.jp/column/article/35030076
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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