会社とのやりとりは就労支援事業所を通して

会社のほうからは「親御さんは子離れするように」と常々言われておりますので、3年間通っていた就労支援事業所の継続、就労定着支援制度を利用しています。

会社への訪問前に私のほうに「●月●日に訪問しますが何か困ったことはありますか。家での様子を聞かせて下さい」と連絡があります。その後、月一回就労支援事業所の職員さんが会社訪問してくれて、息子の担当の上司と本人と面談をして困りごと、今後の課題などを話し合っています。例えば体調管理をきちんとする、意味なくニヤニヤしない(特定の人に対して、顔を見ると思い出し笑いをするようです。これはビジネスマナーに反するためコントロールするように言われています)などです。
そしてその報告が私にあります。私自身が息子の会社の上長と話すことはなく、必ず第三者である就労移行支援事業所のスタッフが入っています。

相当頑張っているから?仕事以外ではパニックを起こしてトラブルも

このように月曜日から金曜日、相当頑張って働いている息子。その疲れもあるのか家では私に暴言を吐くことがあります。

先日は私が咳をしたところ、それに対してパニックを起こしました。それでも出勤時間が近づいてきたので、いつもの出勤時間にそのまま家を飛び出して行きました。
ところが、3分ほどして戻ってきたときには、血だらけ……。パニックを起こしたまま、マンションの共用部分の自動ドアにぶつかり、ガラスが割れてしまったのです。

会社では頑張っているのに、なんで家ではこんなになってしまうんだろう……。

私はひどく落ち込みましたが、プラスに考えれば自動ドアがなかったら、そのまま道路に行って車にぶつかっていたり、また電車のホームで暴れてホームから落ちたりして大変なことになっていたかもしれません。自動ドアに助けられたんだと思いました。

ともあれ共用部分ですので、すぐお詫びと修理を依頼しました。修理額は30万円ほどとなりましたが、障害者向けの損害賠償保険に入っていたので保険で賄うことができました。

家と外では態度が違う息子ですが、それも息子なんだと受け入れて、私の修行は続きます。
執筆/立石美津子

(監修:鈴木先生より)
契約社員として通勤して企業で働けるということは幸せなことだと思います。一般の社会人と溶け込んできちんと月給をもらい、好きな便器の趣味も続けられていることは順調な人生なのでしょう。ASDの方はパワハラや上司との相性の悪さから職を転々とする場合も見受けられますが、息子さんが3年間継続して働けているのは職場の人間関係がよく、ASDに対する理解があるからではないでしょうか。よい企業に巡り合われたのだと思われます。
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https://h-navi.jp/column/article/35030199
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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