ヘルプマークをもらうには?知的障害息子に必要な理由とメリット・デメリット

ライター:みん
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私がヘルプマークの存在を知ったのは約7年前、わが家の次男Pが2歳で知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)と診断されたあとでした。その頃は実際に街中でヘルプマークをつけている人をほとんど見かけませんでしたし、ヘルプマークに対する理解や周知はまだそれほど進んでいなかったように思います。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

ヘルプマークはどこで手に入れるの?つけることでどんなメリットやデメリットがある?

ヘルプマークは、外見からは分からなくても援助や配慮を必要とする人たちが、周囲の方に知らせることができるマークです。

私はSNSで障害のあるお子さんたちがヘルプマークをつけている写真を見かけ、知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)のPにもつけたい!と思っていたのですが、つけることでどんなメリット・デメリットがあるのか?など、悩みながら模索していた時期がありました。

まずはヘルプマークを手に入れるため、市役所の障害福祉課へ行きました。当時、Pは発達支援施設に通うためにすでに受給者証を取得していて、療育手帳も申請中だったので、そのことを説明すると問題なくいただくことができました(入手方法は地域、自治体によります)。

Pはまだ幼いので一人で外出することはありませんし、何か具体的な配慮が必要でそれを周りに求めたいわけでもありませんでしたが、ヘルプマークを手に入れてホッとしたのを覚えています。
ヘルプマークとは?
ヘルプマークとは?
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知的障害(知的発達症)のあるわが子にヘルプマークが必要な理由

私がPにヘルプマークをつけたいと思った1番の理由は、万が一Pが迷子になったときのことを考えたからです。メッセージ性のない普通の迷子札をつけているよりも、「ヘルプマークをつけている子どもが一人で歩いている」というほうが、周りの人たちが気づきやすく、緊急性を感じてもらえると思ったのです。

また、ヘルプマークの裏面を見れば、P自身のことや連絡先なども知ってもらえるので、保護してくれた方がPへの対応に戸惑わなくて済むのではないか?とも考えました。定型発達の子であれば迷子になったときに、大声で親を呼んだり、ほかの大人に自分の名前やどこから来たのかなどを話すことができたり、大人しくその場で待つことができたりするのかもしれません。でも障害のあるPにはそれらの行動が難しいと想像できるので、だからこそヘルプマークが必要だと感じました。
迷子になったときに必要性を感じる
迷子になったときに必要性を感じる
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ヘルプマークをどのようにつけ、周囲にどうやって必要な配慮を知らせる?

また、その他の理由としては外出先でPが奇声を発したり、床に寝転んだりなど、不適切な行動を取ってしまったときに、ヘルプマークをつけていたほうがPの行動に対しても理解へとつながる場合があると考えたからです。

ヘルプマークをつけているPの姿を見て「ヘルプマークをつけているということは、何か困り事がある子なのかもしれない」と周りの人たちに察してもらえるかもしれないと思いました。

とはいえ、どこにどうやってヘルプマークをつければ良いのか?も悩みました。幼い頃は特定の鞄をいつも持って出かけているわけではないので鞄にはつけられないし、安全ピンで服につけると、無理やりはずそうとするので危険でしたし、つけるときもじっとしていないのでいつも苦戦していました。

悩んだ結果、名札クリップを購入してヘルプマークを背中につけてみることにしました。するとすぐにサッとつけることができ、背中なのでヘルプマークをつけている状態に違和感がなかったのか?素直につけさせてもらえるようになりました。

ヘルプマークがつけられるようになったのは良かったのですが、人によってはヘルプマークの裏面に説明書きがあることを知らない場合もありますし、ヘルプマークだけではわが子が何に困り、どんな支援や配慮が必要か?が伝わりにくいと思ったので、ヘルプマークの表面にも見えるように補助的な意味で説明事項を書き、気づいてもらいやすいようにしています。
ヘルプマークのつけ方も工夫する
ヘルプマークのつけ方も工夫する
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Pは小学3年生になった今も、お出かけの時はヘルプマークをつけています。幼い頃ほどの問題行動は減りましたが、もし迷子になったときに3年生くらいの子どもであれば、一人で歩いていても迷子だと気づいてもらいにくいかもしれません。これからPが成長するほどヘルプマークは必要で、大切だと感じています。

これからもヘルプマークを正しく使いながらお出かけし、そしてヘルプマークの周知が少しでも増えることを願っています。
執筆/みん
(監修:鈴木先生より)
世間ではヘルプマークを付けていても気づいてくれない人が未だに多く見かけられます。シルバーシートで席を譲らない若い人たちもよく見かける光景です。学校教育でしっかりと教える機会がないと、こうしたことは改善しないのではないかと思っています。また、ヘルプマークを発行している自治体がポスターなどでもっと啓蒙する必要もあります。社会の意識を変えるには各自治体の努力が必要なのです。願わくば、ヘルプマークがなくても周りの皆が気遣ってくれるような世の中になればいいなと思う次第です。
前の記事はこちら
https://h-navi.jp/column/article/35030305
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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