息子との出会いが開いた新しい世界

ただ、ひとつ言えることは、障害に無縁だった(正確には、支援者として関わることはありましたが、自分の子どもに障害があるという意味では無縁だった)私が、息子との出会いを通じて、障害のある子どもとの世界に飛び込めたことです。

そして気づいたのです。「世の中には、障害のある子どもを育て、時には悩みんだり苦しんだりしているお母さんお父さんがこんなにもたくさんいるんだ」そしてまた、「こんな風に私たちを支ええてくれる福祉サービスがあるんだ」「同じような境遇のママとつながり、共感しあえる場所があるんだ」とも。

そういった経験は、定型発達の子どもを育てていたら決して味わえなかった世界であり、私にとって貴重な学びや出会いでもありました。居心地の良さや安心感を得られる場も増えてきました。

温かい支援者にもたくさん出会うことができ、私自身、息子がお世話になった事業所に所属し、週末限定ではありますが移動支援のヘルパーの仕事もさせてもらっています。

真の障害受容とは何か

けれども、そこにたどり着くまでには長い時間がかかりました。
「自分が思い描いていた夢をリセットする」
このハードルは私にとって本当に高いものでした。でも、どこかのタイミングでそれをリセットしなければ、前に進むことはできません。

真の障害受容とは、自分自身が持つ「古い価値観」を手放すこと。
そしてわが子に対して、
「あなたは、あなたのままでいい」
と、心から承認することです。

このプロセスは、「普通」であることの呪縛を断ち切り、「世間体」や「世間並み」といった横並びの価値観から解放されることでもあります。わが子にとって、何が最も幸せな生き方なのかを理解し、その子の人生に寄り添っていく――それこそが、真の障害受容なのだと思います。
執筆/立石美津子

(監修:鈴木先生より)
私のクリニックでは発達障がいのあるお子さんの親御さんに対してペアトレ(ペアレントトレーニング)を行っております。お子さんに対して傾聴と承認をまず教えます。何ができないかではなく何ができるかに注目することが重要なのです。そのうえでその子の人生に寄り添っていければいいのです。もしかしたら定型発達のお子さんよりも得意な分野があるかもしれません。いろいろなところへ連れていき、いろいろな体験をさせることも必要で、ある意味、親子での楽しみや思い出を作れると考えればいいのではないでしょうか。
前の記事はこちら
https://h-navi.jp/column/article/35030579

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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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