トゥレット症候群によく見られる合併症

トゥレット症候群のある人は、ほかの障害が併存することが少なくありません。代表的なものとして、ADHD(注意欠如多動症)強迫性障害の2つが挙げられます。

これらが合併症として現れる理由は、トゥレット症候群、ADHD(注意欠如多動症)、強迫性障害(強迫症)がいずれも、ド-パミン系やセロトニン系などの脳内神経伝達物質の機能不全に起因するためであると推測することができます。

そのほか、LD・SLD(限局性学習症)、睡眠障害、抑うつ症、双極性障害(双極症)、自傷行為などが併存することがあります。これらは、日常生活においてチックが現れることへの不安や、チック症状そのものが学習活動や仕事をするうえでの支障となることで生じる二次障害であると考えられます。
ADHD(注意欠如多動症)、強迫性障害(強迫症)について、詳しくはこちらをご覧ください。
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ADHD(注意欠如多動症)の3つのタイプとは?【専門家監修】

強迫性障害 (強迫神経症) とは?症状・引き起こす要因・治療・相談先・周りの人の対処法まとめのタイトル画像

強迫性障害 (強迫神経症) とは?症状・引き起こす要因・治療・相談先・周りの人の対処法まとめ

トゥレット症候群の治療方法

トゥレット症候群の基本的な治療方針は、トゥレット症候群を除去することを目的としていません。トゥレット症候群や合併症があっても本人が社会に適応できるようにしたり、周囲の環境を整備して症状や困難を緩和するという考えに基づいて、治療が行われています。

そのため、本人や周囲への心理教育や環境調整などの治療法を基本としつつ、チック症や併存症の症状に合わせて、認知行動療法や薬物療法などの治療法がとられることが多いのです。

心理教育および環境調整

比較的軽度の症状であれば、家族や学校など周囲の理解を得ることで、通常通りに生活することができます。

心理教育および環境調整とは、患者の家族や学校に対して適切な支援を行うための情報提供やアドバイスを行うことで、社会適応できるようにサポートしていける環境を整備することです。

行動療法

重症・慢性化した症状の場合、習慣逆転法(ハビット・リバーサル)という行動療法がとられることがあります。

習慣逆転法(ハビット・リバーサル)とは、意識化練習、拮抗反応の学習、リラクゼーション練習、偶然性の管理、汎化練習の5つのステップを用いた治療法のことで、これらを習得することで症状が改善されるというものです。

ただし、現在のところ日本ではあまり普及しておらず、一般的な治療法ではありません。

薬物療法

上記の療法では解決できない場合、薬物療法が行われることもあります。併存症も含めて、どの症状に的を絞るのか、副作用の程度などを考慮して選択されます。ドーパミンの過剰な働きを抑制するハロペリドールのほか、リスペリドン、クロルプロマジン、アリピプラゾールなどが用いられます。

薬は人によって合う・合わないもありますので、主治医と相談し、指示のもと用法用量を守って治療を進める必要があります。

外科治療

以上に示したいずれの方法でも治療できない場合は、外科治療が施されることもあります。大脳基底核に電極を埋め込んで持続的に刺激を与える、深部脳刺激療法という手術が行われます。

トゥレット症候群の診療・相談先

幼児期・乳幼児期に発症した場合は、小児診療内科・児童精神科などで診療できます。大人の場合は、精神科神経内科心療内科などが適切です。そのほか相談先には、市区町村窓口、保健所、精神保健福祉センター、発達障害支援センターなどがあります。
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