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【きみの友だち〜その6】「もこもこ雲」

教室の毎日
【きみの友だち〜その6】「もこもこ雲」

この物語の最後の部分で、友だちと『もこもこ雲』について、恵美ちゃん、きみは語っている。 
 「優しい子は天国に行くときに、『もこもこ雲』を空に残す。自分と似ている子どもを見守るために、『もこもこ雲』になる」
 「優しい子どもは、たいがい要領が悪いから、あんまりみんなと仲良くできない」
 「『もこもこ雲』は、強い陽射しをさえぎって、がんばれ、と言う。空にぼつんと浮かんで、ちゃんと見てるよ、と伝える」
 「ときどき、涙を流す。それが雨になる……」
 僕の息子は、「きみの友だち」の中で、この数行が一番好きだと言う。
 なお、シンガーソングライターの熊木杏里が「七月の友だち」で、友だちのことを「太陽のような」と歌っているけれど、このことは、後で書こうと思う。


最後の「きみの友だち」は、この物語で描かれた「きみ」たちが全員集まる。
 恵美ちゃんは大学を卒業し、小さなフリースクールに勤めている。
 この物語は、たくさんの「きみ」が描かれている。でも、この物語は、まさしく「恵美ちゃん」という「きみ」の物語だ。
 「『みんな』からはじかれたり、こぼれ落ちたりした誰かのために-。」
 「なにやっても思い通りにいかない子が、まあいいや、ゆっくり歩いていくかあ、って思えるように」
 「友だちってなんなんだろうって、わかんなくなっちゃった子にヒントをあげられるように」と、きみは語る。

 この物語の中のどの一編でもいいから、国語の教科書に載せてほしいと思う。
 「友だち」ということがわからなくなっている、今の子どもたちに、「ふらふら」の堀田ちゃんでもいいし、「千羽鶴」の西村さんのことを知ってもらいたい。
 「千羽鶴」で見られるいじめの悲惨さももちろん伝えてほしいけれど、それ以上に、人と人との関わり方、そして、本当の優しさを学べる素敵な物語だと思うから。
 昔子どもだった多くの大人たちにも、また、今、人間関係で躓いている大人たちにも、是非読んでもらいたいと思う。
 ぶっきらぼうだけど、最後にさりげなく優しいヒントをそれぞれの主役(きみ)たちに呟く恵美ちゃんの声に、耳を傾けてほしいと心から思う。
 最後の「きみの友だち」では、恵美ちゃんからの招待状を手にして、この物語に出てきた「きみ」たちが集まってくる。
 恵美ちゃんが登場し、そして、最後のシーンが、僕は一番好きだ。
 恵美ちゃんの友だちの由香ちゃんは天使のような子だ。天使のような由香ちゃんがいたから、恵美ちゃんも救われ、輝き、そして、まわりの「きみ」たちに優しさを降り注げたのだと思う。
 心が温かくなった物語だ。余韻が長く続く物語だ。
 ちょっと書きすぎたかもしれない。
 まだこの本を読んでいない人には、ネタをばらしすぎたかもしれない。ごめんなさい。
◆但田たかゆき

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