就労移行支援のメリットと注意点は?

働くことを目指す障害のある方にとって、就労移行支援サービスは上記のように様々な支援を受けられるメリットがあります。

障害があることを明かさないまま自力で就労活動をしたいなど、就労に向けて身につけたいスキルがあるなどの利用者本人の希望と、事業所が提供するプログラムや支援方針が合わないケースもあります。

そのため、就労移行支援のメリットと注意点を踏まえた上で、自分の希望に合った事業所選びをすることをおすすめします。

就労移行支援を利用する上でのメリット

就労移行支援サービスは職業訓練・職場探し・職場への定着支援などの一連のプロセスをサポートしてくれるサービスです。

障害があるかどうかに関わらず、就労活動を一人で行うことは孤独や様々な困難が生じます。専門的なスタッフの就労移行支援を受けることには、以下のように様々なメリットがあると言えるでしょう。

・職業訓練で就労に必要な知識・能力を身につけることができる
・事業所に通うことで社会性を身につけることができる
・障害があることを明かして、適切な配慮を受けながら就職活動ができる
・ハローワークなどと連携して、自分のスキルや障害特性に合った職業を紹介してくれる
・事業所で真面目に取り組んでいた様子が企業に伝わりやすい
・就職後、職場への定着支援を実施してくれる
・仲間ができる

実際に利用したことがある方の体験談をまとめてみました。
いくつかの就労移行支援を利用したことがあります。
メリットは
●基本的なパソコンスキルや社会人としてのマナーが身につく
●ハローワークの面接会に施設単位で参加できる
●応募書類の書き方や面接に向けてのアドバイスをもらえる
●人によっては企業実習がある……とかですかね。
出典:https://h-navi.jp/qa/questions/104935
事業所によってやっているプログラムは様々です。私が通所しているところは、IMR(リカバリーと病気の自己管理)一週間に一回グループワークでディスカッション形式で話し合って今後の自分の病気との付き合い方を学びあったり、アンガーマネジメントと言って怒りのコントロールの仕方を学んだりしています。WRAP(ラップ)元気回復行動プラン、精神栄養学、SSTなど、単にパソコンのスキルや事務作業のスキルだけ教えていません。
出典:https://h-navi.jp/qa/questions/73451

就労移行支援を利用する上での注意点

就労移行支援サービスを受けられるのは、就職を目指す、障害や難病のある方が対象です。

しかし、就職活動をするに当たって、自身の障害を明かすことに抵抗がある方もいます。また、障害者雇用枠での求人条件が自分のスキルや目標とマッチしない場合もあります。

従って、就労移行支援を使って就職活動をする際には、自身の障害をオープンにするかどうか、どの求人枠に応募するかなど、事業所のスタッフとよく話し合いながら進めることが大切です。

また、就労移行支援事業所ごとに支援の方針や実施プログラムの内容、スタッフや利用者の雰囲気も異なるため、自分に合ったサービスを受けられるとは限りません。事前にその事業所の特徴をよく見極めて利用を決めることが重要です。
残念ながら就労移行支援や継続支援といった支援機関・そこに携わる支援者と全く合わず、体調悪化と施設を転々とした結果、支援機関と支援者不信になりました。
出典:https://h-navi.jp/posts/83007/

就労移行支援事業所はどう選んだらいいの?

就労移行支援事業所は、2017年時点で全国に3471ヶ所開所されており、サービスの実施内容や施設の雰囲気も事業所ごとに異なります。そのため、就労移行支援事業所を利用するにあたって、本人に合った事業所を選ぶのはひと苦労です。発達ナビQ&Aにも下記の質問が寄せられていました。
「27歳女です。現在無職、3ヶ月ほど経ちました。前職は障害をオープンにしていましたが、「働けるような状態ではない」と言われ、退職しました。就労移行支援、あるいはそれに準ずるものを受けたいと考えているのですが、調べてみてもあまりにも多くて、選び方がわかりません。この歳でこれ以上の失敗できないと考えると行動に移すのにも勇気が要ります。周りに頼れる人もいませんし……貯金もほとんどなく、焦りだけでどうにかなりそうです。」
出典:https://h-navi.jp/qa/questions/28588
自分に合った事業所を選ぶために、事業所選択の前にいくつか考えておくべきポイントがあります。

自分の目的や事業所の実績・雰囲気など、重視すべきポイントを整理した上で、市区町村の窓口へ相談し、事業所への見学・体験を行うと良いでしょう。自分に合った仕事に就くためにも、就労移行支援事業所選びは大切なプロセスになってきますので、慎重に考えることをおすすめします。

以下では、自分に合った事業所を選ぶためのポイントと、実際に事業所を選ぶまでの見学・申請プロセスを紹介します。

自分に合った就労移行支援事業所を選ぶポイント

就労移行支援事業所を選ぶ上では、以下のポイントを参考に、就職を目指す本人の意思や理想と、実際に選ぶ環境とをすり合わせることが大切です。

①事業所のプログラム内容は自分の目的に合っているか
就労移行支援を利用する上で、本人が伸ばしていきたいスキルなどの目的と、事業所が実施しているプログラムの内容が合っているかどうかの見極めが大切になってきます。職業訓練や定着支援のプログラムの内容を確認することに加えて、見学・体験を行うことをおすすめします。
 
②これまでの就労実績
就労移行支援事業所の就労実績を確認し、本人が希望する職種への実績があるかなど加味して考えることをおすすめします。

③事業所の雰囲気は合っているか
事業所ごとにスタッフや利用者の雰囲気もさまざまです。就労に向けた訓練に集中できる環境かどうか、また人間関係が良好に築けるかなど、見学や体験を通して事業所の雰囲気を見極めることが大切です。

自分に合った就労移行支援事業所の見つけ方

自分に合った就労移行支援事業所を見つけるためには、実際に見学・体験に行ってみることが一番です。スムーズに事業所を見つけられるよう、下記を参考に行動することをおすすめします。

①お住まいの市区町村の窓口へ相談
お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口または「障害者就業・生活支援センター」で就労移行支援事業所の紹介を行っています。まずはそこで就労移行支援サービスを利用したい旨をお伝えください。地域によって事業所数は異なるため、情報収集も兼ねて相談に行ってみることをおすすめします。

②いくつかの気になった事業所に見学・体験に行く
目星をつけたいくつかの事業所に問い合わせて、見学または体験に行くことができます。就労移行事業所は、事業所ごとに方針や実施内容・雰囲気等が異なります。目標とする就労形態や職種、伸ばしたいスキル等に応じて、自分に合った事業所を探しましょう。

なお、就労移行支援事業所を探す際には、複数の事業所を掲載した検索サイトなども参考にすることができます。自宅から通える距離にある事業所や、自分の能力を伸ばせるプログラムが用意されている事業所など、いろいろな観点から「ここなら通いたい」と思える事業所を探してみましょう。
全国の就労移行支援事業所|LITALICO仕事ナビ
https://snabi.jp/ikou
③事業所を決めたら市区町村の窓口に申請に行く
就労移行支援事業所を決めたら、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口で利用申請を申し込むことができます。申請が承諾され手続きが完了すれば事業所に通うことができます。

利用申請はどうするの?

利用申請はお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口にて行うことができます。実際にサービスの利用許可が出るのは申請から約1ヶ月程度と言われています。
①市区町村の窓口に申請し、所定の用紙に項目を記入し提出する
②認定調査員が本人や家族に対して聞き取り調査及びサービスの利用意向聴取を行う
③サービス等利用計画案(又はセルフプラン)の作成
④個別支援計画が作成され計画に沿ったサービスを受けることができる

就労移行支援の利用料金はどうなっているの?

就労移行支援サービスは、前年度の所得に応じて利用月額料金が変わってきます。世帯ごとの利用料金の変化はありますが、ほとんどの方が低料金で利用していることが特徴です

気になる利用料金は?

就労移行支援サービスの利用額は世帯ごとの前年度所得に応じて、利用月額が0円に免除される場合と、1割の自己負担が発生する場合があります。

世帯の範囲は利用される本人と配偶者を指しており、本人と配偶者の前年度収入を参考に負担額を決定します。親の収入は本人の前年度収入には換算されません。


月額負担料金の目安として、下記を参考にしてください。
・生活保護受給世帯…0円
・市町村民税非課税世帯…0円
・前年度収入約300万円以上~約600万円以下の方…9,300円
・前年度収入約600万円を超える方…37,200円

ただし、就労移行支援事業所に通う交通費や食費、その他就労にかかる費用は基本的には自己負担になります。事業所によって交通費等が支給している場合もありますので詳しくは各事業所にご確認ください。
障害者の利用者負担|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/hutan1.html
次ページ「就労移行支援だけではない! 就労継続支援とは?」

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