インクルーシブ教育を実現する上での課題とこれからの展望

2012年にインクルーシブ教育システムの構築についての報告がでてから約10年が経ちました。学校現場は少しずつ変わろうとしているものの、まだまだ課題はあります。

1つは、就学先の最終的な決定者が教育委員会であることです。障害のある子どもと保護者の意向が最大限尊重されなければならないにも関わらず、地域の学校に通うことを望んでも実現がなされていない状況があります。
2つ目は、仮に本人や保護者が学ぶ場を選択できるとしても、通常の学校や通常の学級における基礎的環境整備や合理的配慮を提供することが困難な状況があり、結果別の場を選ばざるを得ないケースが少なくないということです。
3つ目は、日本においては「障害」のみに焦点をあてたインクルーシブ教育の議論が多く、障害以外の多様性を踏まえた議論はなかなかされていないということです。

上記の3つを踏まえると、通常の学校や通常の学級における基礎的環境整備を充実させ、合理的配慮が当たり前に提供されるための人員の配置などを進めたり、現在のカリキュラムを障害のある子どもを含めた多様な子どもも学ぶことを前提としたものに変えていったりする必要があります。

文部科学省が2023年3月に出した「通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討委員会」の報告においては、特別支援学校と通常の小中高を一体的に運営する「インクルーシブな学校運営モデル」を今後実施し、その中で障害のある子どもとない子どもが最大限共に学ぶ仕組みを検討していく方針がしめされています。
これまでの特別支援教育の知見を通常の学校、通常の学級を変革していくために活用していくことで、通常の教育そのものがアップデートされるのではないでしょうか。
通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議報告|文部科学省
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/181/toushin/mext_00004.html

まとめ

本記事においては、インクルーシブ教育の定義、日本における障害のある子どもへの教育の変遷、そして現状のインクルーシブ教育システムについて紹介しました。

よく、「どこの国がインクルーシブ教育を実現していますか?」と聞かれます。これまでたくさんの国を見てきましたが、どの国も課題があります。「ここまでくれば実現している」というゴールはなく、一歩ずつインクルーシブな方向に教育を進めていくプロセスこそがインクルーシブ教育なのです。ぜひはじめから完璧を目指さず、できるところから一つずつ行動をしてみましょう。
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