ソーシャルスキルとは?定義や測り方、ソーシャルスキルトレーニング(SST)の方法や実施機関まとめ

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ソーシャルスキルとは、他人と良い関係を築き、社会に適応するために必要な能力のことです。ここでは、発達障害との関係や尺度から、ソーシャルスキルを鍛えるSSTの基本的な流れまで詳しく説明いたします。

発達障害のキホン
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目次 ソーシャルスキルとは? ソーシャルスキルと発達障害の関係って? ソーシャルスキルは測れるの? ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは? 家庭でソーシャルスキルを育てるには? まとめ

ソーシャルスキルとは?

定義

ソーシャルスキルとは、他人と良い関係を築き、社会に適応するために必要な能力のことです。

「ソーシャルスキル」には、さまざまな定義があり、研究者の間で合意した定義はありませんが、広義に解釈すると上記の意味となります。

ソーシャルスキルが低いと、社会において人とかかわりながら生きていくことに困難を感じたり、孤独感を引き起こしたりする可能性があります。

具体的にはどういう能力なの?

以下に、ソーシャルスキルの具体的な能力の一部について紹介していきます。

【子どもの場合】
・自分の意見を適切に主張できる
・自分の感情を上手に表現できる
・計画を立てて問題を解決できる
・仲間と良好な関係を構築できる
・ルールを守ることができる
など
【大人の場合】
・他人と関係を構築できる
・相手の気持ちを察することができる
・自分の気持ちを伝えられる
・自分の感情をコントロールできる
・対人関係を維持できる
・表情や身振りで自分の感情を上手に伝えることができる
など

ソーシャルスキルと発達障害の関係って?

ソーシャルスキルは、通常、人が成長する過程で、他者とのかかわりを通じて無意識的に身につけられていくものです。

ところが学習障害(LD)ADHD自閉症スペクトラム障害などの発達障害や、知的障害協調運動障害がある場合などは、ソーシャルスキルをスムーズに身につけられないケースがあります。

たとえば、学習障害(LD)、ADHDなどの発達障害がある子どもの場合、認知発達のアンバランス、 不注意や多動性・衝動性といった特徴により、社会的文脈の把握や相手の気持ちを察することが難しく、対人関係上の問題を引き起こすこともあります。
このような場合、ソーシャルスキルトレーニング(SST)によりソーシャルスキルを学ぶことで、他人と良い関係を築き、社会に適応するために必要な能力を身につけることができます。

ソーシャルスキルは測れるの?

ソーシャルスキルを測ることはできるのでしょうか。

ソーシャルスキルの測定については自己評価尺度法など様々な測定や評価の方法が開発されています。また心理検査や発達検査で社会性を検査する項目もあります。ですが専門家以外が測定結果を判断するのは難しいと言えます。

測定の対象である本人が自分で回答する「自己評定」と、本人以外が面接などで測る「他者評定」があり、それらを専門家が照らし合わせて考えることではじめて、総合的にソーシャルスキルを測定できると言えるからです。

また、記事の冒頭にも述べたとおり、ソーシャルスキルには様々なとらえ方があり、ソーシャルスキルをどのようにとらえるかによって、どんな側面を測るのかも変わってきます。それだけでなく、目的や対象者によっても、測定方法は変わってきます。

ソーシャルスキルを測定したい場合は、精神科、心療内科などの医療機関や専門機関に相談することをおすすめします。

また、ソーシャルスキルを鍛えるソーシャルスキルトレーニングを行う場合は、その成果を把握するために、訓練前の状態を事前に測定しておくとよいでしょう。


■専門機関
【子どもの場合】
・保健センター・子育て支援センター
・児童発達支援事業所
・発達障害者支援センター
・児童相談所 など

【大人の場合】
・発達障害者支援センター
・障害者就業・生活支援センター
・相談支援事業所 など

児童相談所などでは無料で知能検査や発達検査を受けられることも多いです。自宅の近くに相談センターがない場合には、電話での相談にのってくれることもあります。

以下のリンクにおいて全国の発達障害者支援センターを検索できます。

ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?

ソーシャルスキルを育むための支援方法としてソーシャルスキルトレーニング(SST)というものがあります。

ソーシャルスキルトレーニングとは、対人関係をうまく行うための社会生活技能を身につけたり、障害の特性を自分で理解し自己管理をするためのトレーニングの総称です。

まず、言葉で適切な行動を教え、次にお手本を示し、実際にお手本の真似をさせ、最後に評価する。この流れがソーシャルスキルトレーニングの核です。

ソーシャルスキルトレーニングのポイントとしては、何かを教える際に、「○○しなさい」とただ伝えるのではなく、「○○をするためにはこうすればうまくいくよ」と、具体的な行動の仕方まで教えることです。

基本的には、トレーニングを受ける人と、それをサポートし、フィードバックをする指導者で進行していきます。

ソーシャルスキルトレーニングの具体的な方法

基本的には、以下のステップを踏んで進行していきます。

1.教示
最初に、これから向上させていきたい能力が、なぜ必要なのか本人に納得してもらいます。
言葉だけでなく、絵カードなどを用いて説明すると効果的です。

2.モデリング
この段階ではまず、これから向上させていきたい能力のお手本を示し、本人に観察させ、最後に真似させます。お手本はトレーナー自身がしても、ビデオや漫画などで示してもかまいません。

3.リハーサル
教示やモデリングで示した、適切な振舞い方を何度も繰り返し練習させます。具体的には、ロールプレイングで実践したり、言葉で説明させたりします。

4.フィードバック
行動を振り返り、うまくできたときには褒め、うまくできなかった場合には、どうすればもっと良くなるのかを伝えます。

この際、本人を否定するような言葉は言わず、具体的な改善方法を伝えることがポイントです。

5.般化
1から4の繰り返しの結果、その場では適切に振る舞えるようになったら、時、場所、人にかかわらずどのような場面でも同じように振る舞えるよう練習をします。

ソーシャルスキルトレーニングのポイント

ソーシャルスキルトレーニングを行うためには気をつけたいポイントがあります。ここではそのうちの2つをご紹介します。

・ほめる
楽しみながら自然に社会性を身につけていくためには、できないことを叱るのではなく、できたことを認めて褒めるということが重要なポイントです。

社会性を身につけている側から見ると、社会のルールに従うことのできていない人の行動は目につくものとしてとらえられるかもしれません。しかし、誰しも叱られたり注意をされたりすること自体は嬉しいことではありません。それどころか、叱るという行為は社会性を鍛えるのに逆効果の場合もあります。

・スモールステップを踏んでいく
ソーシャルスキルトレーニングを必要とする人は、生まれてから育っていく中で自ら周りの人を観察して、社会性を身につけていくのが苦手です。そのため、一般的に当たり前だと思われる会話や行動・思考が自然にできないケースが多く見られます。

同時に、その人がそれまで積み上げてきた「当たり前」も存在します。その当たり前を変えるのには長い時間と、多くの小さなステップを踏まなければなりません。指導する側に立つ人間は、長い目で物事をとらえ、ゆっくりと成長を見守っていく姿勢が必要なのかもしれません。
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どこで受けられるの?

ソーシャルスキルトレーニングは特別支援学校や特別支援学級、通級指導教室などの特別支援教育医療機関児童発達支援放課後デイサービスなどさまざまな場所で行われています。

とはいえ、ソーシャルスキルトレーニングは、専門機関や学校でしかできないわけではなく、家庭でも手軽にできるものです。
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家庭でソーシャルスキルを育てるには?

「言葉で適切な行動を教え、次にお手本を示し、実際にお手本の真似をさせ、最後に評価する」という流れを意識的に行えば、家庭でも日常的に取り入れることができます。

以下に、自分でソーシャルスキルトレーニングに取り組む際に参考になる書籍や商品について紹介します。

まとめ

ソーシャルスキルの不足は、社会において人とかかわりながら生きていくことに困難を感じたり、孤独感や抑うつ状態を引き起こす可能性があります。

そのため、ソーシャルスキルに不安を感じた場合は、専門機関に相談することをおすすめします。その結果、もしソーシャルスキルが低いとされた場合でも、ソーシャルスキルは学ぶことで身につけることもできます。専門家や支援機関のアドバイスも参考にしながら、課題に応じた支援を受け、一人ひとりにあった学び方、過ごし方を身につけることを応援していきましょう。
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