知的障害(知的発達症)の診断基準と検査方法

知的障害(知的発達症)の確定診断は臨床診断と各種検査の結果によって総合的に診断されます。

臨床診断では何をするの?

医療機関を受診した際の臨床的な診断として、生育歴と行動観察について聞き取りを行います。

■生育歴
産まれてから今までの社会性や対人コミュニケーション、言葉の発達、幼稚園・保育園での様子や1歳半健診・3歳児健診での様子などをヒアリングします。発達面で知的障害(知的発達症)の疑いがありそうか、発達にどんな特性がありそうかなどを見立てていきます。

■行動観察
遊びの空間で子どもを遊ばせ、それを注意深く観察することと保護者の方へのインタビューに基づいて行われます。
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知的障害の診断・検査の内容は?診断の年齢や相談機関、診断までのプロセスまとめ

知能検査・適応能力検査・脳画像診断など

知能検査では、例えば田中ビネー知能検査や「ウェクスラー式知能検査などの知能検査によって知能指数(IQ)を評価します。また2歳未満の子どもの場合や医師から必要と認められた場合は知能検査に代わる記述式の発達検査や、新版K式発達検査などの実施式の発達検査を受けることもあります。適応能力の検査ではVineland-II(ヴァインランド)、ASA旭出式社会適応スキル、S-M社会生活能力検査などがよく使われています。

■田中ビネー知能検査 V(ファイブ)
2歳から成人まで受けることができます。就学する5~6歳の年齢にフォーカスをあて、特別な配慮が必要かどうかを判断するための「就学児版田中ビネー知能検査V(ファイブ)」という検査もあります。子どもが興味を持てるように、検査に使われる道具が工夫されています。日常生活において必要な知能と、学習する上において必要な知能の2つを測定します。

■ウェクスラー式知能検査
ウェクスラー式知能検査は、年齢ごとに3つのテストに分類されます。
・幼児(2歳6ヶ月〜7歳3ヶ月)→WPPSI
・児童(5歳から16歳11ヶ月)→WISC
・成人(16歳〜)→WAIS
全般的なIQが求められるだけでなく、個人の中の強みや苦手さを、下位検査を用いて導出し、総合的に判断することができます。

■新版K式発達検査
年齢において一般的と考えられる行動や反応と、対象児者の行動や反応が合致するかどうかを評価する検査です。検査は、「姿勢・運動」(P-M)、「認知・適応」(C-A)、「言語・社会」(L-S)の3領域について評価されます。検査結果としては、この3領域の「発達指数」と「発達年齢」が分かります。検査者は検査結果だけでなく、言語反応、感情、動作、情緒などの反応も記録し、総合的に判断します。

■Vineland-II(全年齢)
0歳から92歳の幅広い年齢帯で、同年齢の一般の人の適応行動をもとに、発達障害や知的障害(知的発達症)、あるいは精神疾患のある人たちの適応行動の水準を客観的に数値化する検査です。対象者にどんな特性があるのかを評価してくれます。また教育や福祉分野の個別支援計画の立案はVinelandの評価に基づいて行われることがあります。

そのほかにも適応能力の検査として、以下の検査がよく使われています。
・ASA旭出式社会適応スキル(幼児〜高校生)
・S-M社会生活能力検査(乳幼児〜中学生)
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知能検査とは?知能指数(IQ)や検査の種類、結果の活かし方など【専門家監修】

知的障害(知的発達症)かもと思ったら?子ども、大人の相談先

自分の子どもには知的障害(知的発達症)があるかもしれないと思った場合、いきなり専門医を自分で探すのは難しいかもしれません。まずはお住まいの地域にある身近な相談機関や窓口に行ってみましょう。子どもか大人かによって、相談先が違うので、以下を参考にしてみてください。

【子どもの場合】
・保健センター
・子育て支援センター
・児童相談所
・発達障害者支援センター など

【大人の場合】
・発達障害者支援センター
・障害者就業生活支援センター
・相談支援事業所 
・知的障害者更生相談所 など

相談機関では、知的障害(知的発達症)のことだけでなく子どもの発達全般について相談することも可能です。自宅の近くに相談機関がない場合には、電話での相談にものってくれることがあります。先に挙げたような検査は、機関によっては無料で受けられる場合もあります。

療育手帳の取得、合理的配慮について

療育手帳の取得

療育手帳とは知的障害者に発行される障害者手帳で、知的障害(知的発達症)の人が一貫した療育・援護を受けられるよう、さまざまな制度やサービスの利用をしやすくすることを目的にしています。

対象者は、
・おおむね18歳以前に知的機能障害が発症し、それが持続している。
・標準化された知的検査によって測定された知能指数(IQ)が概ね75以下(70以下に規定している自治体や、70以上でも発給する自治体があるなど地域差があるため確認しましょう)。
・日常生活に支障が生じているため、医療、福祉、教育、職業面で特別の援助を必要とする。
18歳未満は児童相談所、18歳以上は知的障害者更生相談所において知的障害と判定された方に対して交付されます。
療育手帳制度の概要|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001vnm9-att/2r9852000001vota.pdf
療育手帳制度は、法律で定められた制度ではありません。「療育手帳制度について(昭和48年9月27日厚生省発児第156号厚生事務次官通知)」というガイドラインに基づいた制度で、都道府県・政令指定都市ごとに要綱などを制定し実施されています。そのため、各自治体ごとに手帳の名称や受けられるサービスなどに違いや差があります。

また、全国的には「療育手帳」と呼ばれていますが、東京都、横浜市などでは「愛の手帳」、青森県・名古屋市などでは「愛護手帳」など違う名称をつけている自治体もあります。

具体的な制度、サービスの内容は、お住まいの自治体の福祉担当窓口に問い合わせてみるといいでしょう。
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療育手帳とは?受けられるサービスや他の障害者手帳との違いなど【行政書士監修】

合理的配慮

合理的配慮とは障害のある人が障害のない人と平等に人権を享受し行使できるよう、一人ひとりの特徴や場面に応じて発生する障害・困難さを取り除くための、個別の調整や変更のことです。

2016年4月1日に施行された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(通称、「障害者差別解消法」)により、行政機関や事業者には、障害のある人に対する合理的配慮を可能な限り提供することが求められるようになりました。

本人を取り巻く周辺の人が合理的配慮を考える上での重要なポイントは、「その人が具体的にいつ、どんな場面で困っているのか」「その困りごとを解消するための適切な配慮は何か」の2点です。これらを踏まえながら学校や職場などの合理的配慮を検討・実施することが大切です。合理的配慮に関しては次のリンクを参考にしてみてください。
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合理的配慮とは?考え方と具体例、合意形成プロセスについて【専門家監修】

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「合理的配慮」を学校にお願いする前に、やっておきたい3つのこと

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担任の先生に「合理的配慮」の相談をするときの実例9つのヒント

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