歯科治療、みんな悩んでた!発達ナビユーザー800人アンケートで分かった発達が気になる子の課題&工夫、大調査!

ライター:発達ナビ編集部
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ミュゼプラチナム
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歯科治療=こわい、痛い…という印象がありますよね。大人でも「ちょっと苦手だな」と感じやすい歯科受診は、発達が気になる子どもや保護者にとって、高いハードルになることも…。そこで、発達の気になる子どもの保護者と歯科医院の双方にアンケート調査を行いました。今回は発達が気になる子の歯科治療が難しい理由を探りつつ、800名を超える保護者からのご回答を紹介します。多くの保護者が感じている困りごとや、歯科医院選びのポイント、ご家庭での工夫などさまざまな声が寄せられました。

どんな人でも無理なく歯科治療を受けられるように。ミュゼホワイトニングとの新たな取り組み

発達ナビは、ミュゼプラチナムとともに、どんなお子さまも歯科医院を無理なく利用することができる社会を目指す共同プロジェクトをスタートさせました。

ミュゼプラチナムがプロデュースする「ミュゼホワイトニング」では、ホワイトニングをきっかけとしてさまざまな歯科治療を提供しています。その中で、歯科治療が苦手だったり、通院をしぶるお子さまが多いという課題が浮かび上がりました。そこで、以前より社員研修などで連携をしていたLITALICO発達ナビとともに、まずは発達が気になるお子さまの歯科医院利用の実態を調査。具体的にどんなことに困っていて、歯科治療の何が求められているのかなど、具体的なニーズを明らかにすることになりました。

このコラムでは、保護者へのアンケート結果をもとに、発達が気になる子の歯科治療での困りごとや課題、今後の取り組みについてまでご紹介します。
参考:ミュゼホワイトニング
https://musee-whitening.com/

どうして「歯の治療」が難しい?発達の特性が影響している場合も

歯科治療では、見慣れない器具や眩しい光、治療時の音や注射など、大人でも苦手さを感じる人は多くいるのではないでしょうか。

発達が気になる子どもは、ふだんとは違う治療や見慣れない器具に、不安を感じてしまうことがあります。また、発達が気になる子どもの特性の一つに「感覚の過敏さ」があり、これも歯科治療を難しくする理由の一つになっています。
感覚の過敏さ(感覚過敏)、鈍感さ(感覚鈍麻)とは?発達障害との関係、子どもの症状、対処方法まとめ
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視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚に偏りがあり、ほかの人が感じる刺激の何倍もの強さに感じられてしまうのが感覚過敏です。歯科治療では、口の周りや歯などへの刺激や、治療時の大きな音など、とくに触覚と聴覚に強い刺激を受けます。感覚過敏がない人でも歯科治療は辛く感じがちですが、感覚過敏のある人にとってはより苦痛を感じてしまう場合があります。

また、「いつもと違うこと」に対して強い不安を感じやすい子どもの場合、ふだん受ける機会が少ない歯科治療では見通しが立ちづらく、恐怖を感じてしまうこともあるでしょう。変化が苦手な子どもにはこれから起こることをタイミングよく伝えてあげて「見通し」を示すことが大切です。ただ、恐怖ではなく安心感を与えられるよう、伝えかたには工夫が必要です。
自閉症の子どもの接し方は?子育ての困難と対処法まとめ
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ここからは発達ナビユーザーの皆さんが体験した歯科治療での困りごとや、行っている工夫などを、皆さんから寄せられた回答から見ていきましょう。

発達ナビユーザー800名以上が回答!歯科治療での困りごと

LITALICO発達ナビでは、ミュゼプラチナムとともに、「発達が気になるお子さまの歯科医院利用に関するアンケート」(2019年1月24日~2月3日実施)を行い、保護者806名からご回答いただきました。

まず歯科医院を受診したきっかけ(複数回答可)については「定期健診のため」がもっとも多く67%、ついで「虫歯予防」54%と「虫歯治療」43%と、やはり「虫歯」に関わる治療が多くなりました。歯並びの相談や歯が生え始めたタイミングでという回答も比較的多く、虫歯治療をしないで済むようにという、予防歯科の意識もうかがえます。

では、「歯医者さんに行こう」と言われたお子さんの反応はどうでしょうか。「苦手だが頑張って行っている」が39%で最も多く、「苦手で自分からは行こうとしない」が27%で、合わせて66%が苦手だと感じていることが分かりました。「特に問題なく行く」は27%、「好んで行く」は7%でした。

最近の小児歯科医院では待合室に遊具があったり、治療後のごほうびを用意するなど、歯科医院への恐怖心を小さくしたり、楽しみを増やすような工夫をしているところもあります。子どもの治療に特化した小児歯科を利用するなど、医院選びもお子さんにとって歯科治療のハードルを下げるポイントになりそうです。

歯科医院が苦手な子ども、なにが原因なの?

さて、「苦手だが頑張って行っている」「苦手で自分からは行こうとしない」お子さんたちは、具体的に何が「苦手」なのでしょうか。
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「行くまでは良かったのですが、いざ診察となったら急に拒否を始め大号泣。診察まで1時間以上掛かった経験があります。周りにも迷惑を掛けてしまったのでそれ以来、行くのを躊躇しています」(未就学/ASD・ADHD)
など、歯科医院特有の器具や雰囲気に抵抗を示すお子さんが多いようです。

「左側の虫歯治療だけで、ようやく今日で終わりと思っていたら、右側もやりますと勝手に進めようとして、思わず泣いてしまい『今日はもう無理!』と逃げるようにして帰ってきてしまった。予定外のことはNG!」(小2/ADHD)
治療が終わると思ったのに終わらなかったというように見通しが崩れてしまったり、見通しが立ちづらいことに苦痛を感じるという声もありました。

歯科医院の対応について、保護者はどう感じている?

それでは、通院する歯科医院の対応については、みなさんはどう感じているのでしょうか。よいと感じた対応例と、よくないと感じた例も合わせて紹介します。
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■よいと感じた対応の例
約6割の保護者が、子どもへの対応が良いと感じています。スタッフが優しかったり、治療中にDVDが見られたり、「頑張ったね」とごほうびをくれたりと、歯科医院側の心配りが保護者に安心感を与えていることがわかります。

歯科医院側がごほうびを用意してくれる例もあるようです。
・最後にコインをもらってガチャガチャができるようになっているので、嫌がりません
・待つ間、タブレットでアニメを見せてくれる


「いきなり処置せず、機械を見せながら、時には触らせながら説明をしてくださった」「この先から風が出るよ~とか見せてくれてから作業してくれます」などと、常に小さな「見通し」を示すことで、子どもの心理的ハードルも下がるようです。

ほかにも、
・一番初めに今日の治療内容を説明してくれる。器具に対しての質問に詳しく答えてくれる
・処置の詳しい説明と、使用する器具の説明をしてくれた。また、器具を触らせてくれて痛みのないことを話してくれてから処置に入った。処置の間は子どもが鏡を見て処置の理解ができるようにしてくれた
・10回さわるよ、と数をカウントしながら治療してくれる
・クイズ形式にしてむし歯の治療のやりかたや怖い音も楽しい音楽のように言って頂き、楽しい場所と教えてくださいました

といった声が寄せられました。

■よくないと感じた対応の例
逆に「終わるよ」と言ってなかなか終わらなかったり、無理やり押さえつけたり、「ほかの子は我慢できるのにおかしいなー」などと劣等感を刺激されると嫌がるようになる、といった回答が多く寄せられました。

対応が良くなかったと思う理由としてはほかにも、
・大まかに説明してすぐ口を見せてという
・脅しと押さえつけ行為にて治療
・先生の思うように治療が進まないとイライラする

というように配慮を欠いた治療の進め方や、今後の治療への拒否感につながるような対応をされたという声もありました。

事前に、お子さんの発達特性について相談はしている?

歯科医院側に発達が気になる子どもへの理解があり、安心させてくれる対応ができるかどうかが重要であることがわかります。そのためには事前にお子さんの特性を伝えること必要もありそうですが、保護者のみなさんは事前に相談をしているのでしょうか。
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事前に相談するという人は、「いつもする」「たまにする」を合わせて55%。また、相談することに心理的ハードルを感じる保護者は「強くある」「少しある」を合わせると57%に上ります。なぜ相談しにくいと感じるのでしょうか。
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診察・治療を断られるのではないかという不安や、偏見の目で見られるかもしれないという回答が多くありました。

子どもがパニックを起こしたときに「親が甘やかすからだ」などと医師から説教されてしまった経験を持つ人や、プライバシー漏洩を心配する人も少なくなく、相談することがネガティブに働くのではと恐れる人が多いようです。

歯科治療に際して、どんな工夫をしている?

歯科治療に際して、保護者の皆さんは、お子さんがスムーズに治療を受けられるよう、どんな工夫をしているのでしょうか。
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当日だけでなく「数日前から伝えて、当日もスケジュールを教えて、事前に遊んで発散させ、うちからも医院からもごほうびを与えます」(小6/ASD・ADHD)という人もいるほど、「見通し」は重要なポイントのようです。また、「見通し」を持たせることを大切にしているご家庭も多くありました。

■見通しの例
・やる可能性のある治療は、家で練習していく。(電動歯ブラシや歯間ブラシ等を使って‼)
・治療する前の段階で何度も通った。歯科医院(の前まで)へ行く日、次回は椅子に座るだけの日、など段階を踏んでから治療した

などがあげられました。

■ごほうびの例
・治療後に図書館に行くとか、公園で遊ぶようにしている。子どもが大好きな場所に行く
・歯科の待合室に、子供の好きなコミック雑誌があるので、「早目に行ったら、その分、本が読めるね」と言う
・歯科医院に子どもが遊ぶおもちゃが置いてあったり、遊ぶお部屋が特別に用意されているので、それを目的に行くと嫌がらなくて素直に行ってくれます
・自宅での決まった時間以外に、病院で待っている間はゲームをしてもいいという許可を与える

などの声がありました。

また、歯科医院に対して拒否感を感じないよう、「歯が生え始めてから定期健診で慣れさせました」というように、小さなうちから慣れさせたという声もありました。

とはいえ、「事前に歯医者に行くというと、パニックになるので言わない。歯医者についておもちゃで遊んでいる時に説明して、歯医者さんからも上記のような説明をしていただく」(小3/ASD)というように、事前に告げずに連れていくという回答も少数ですがありました。その場合も歯科医院との間の相互理解が、大きなパニックを防いでいるようです。

保護者が歯科医院に期待すること

最後に、保護者の皆さんが歯科医院に期待する対応を具体的に見てみましょう。
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やはり多くの保護者が、お子さまに対する「見通し」の提示と、一人ひとりの特性に合わせた「コミュニケーション」を求めていることがわかります。アンケート結果からは、大半の人が、現在通っている歯科医院におおむね満足しているようですが、まったく通えなくなってしまったお子さまの存在や、発達に関する相談への心理的ハードルなど、まだまだ課題は多いともいえます。

発達が気になる子の歯科治療のこれから

発達に悩む子どもたちへの歯科診療をより充実させるためには、歯科医院側の発達障害へのさらなる理解が欠かせません。より正確な情報を医院に提供する仕組みも必要です。

今回は保護者アンケートの結果から、どのような困難やニーズがあるのかを明らかにしました。続いてその第2弾として、発達が気になるお子さんたちのストレスの少ない歯科治療を実現するために、歯科医院を対象とした意識調査アンケートを実施しています。アンケート結果の公表とともに、浮き彫りになった課題に対応したプログラムをつくり、歯科治療に関わる人向けの研修を全国で展開していく予定です。

さらに利用者への情報提供として、発達障害への理解の深い歯科医院を探しやすくするサービスを立ち上げる予定です。「研修プログラムを受講している」「視覚支援ツールを完備している」などといった条件から、一人ひとりのお子さんに合った歯科医院探しをお手伝いしていきます。

まずは近日中に、歯科医院の意識調査結果を発達ナビでご紹介します。今後のミュゼプラチナムとLITALICO発達ナビの取り組みにご期待下さい!
文/柳瀬 徹
<調査対象について>
「LITALICO発達ナビ」会員へメールを送信し、アンケートフォームにて発達障害の子どもをもつ保護者806名からご回答をいただき、集計いたしました。(調査期間:2019年1月24日~2月3日実施)
※設問によっては806名全員が回答していないもの、複数回答可のものがあります。
※調査結果の構成割合は四捨五入をしているため、合計が100%にならない場合があります。

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