発達障害がある子どもが安心できる歯科治療を!全国130の歯科への調査で見えた、配慮の現状と課題とは?

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歯医者=こわい、痛い…という印象がありますよね。大人でも「ちょっと苦手だな」と感じる方も多いと思います。発達が気になる子どもや保護者にとって、心理的に高いハードルになることも…。そこで今回、歯科医院にアンケート調査を行いました。130か所の歯科医院へのアンケートを通して見えてきた、歯科治療の現場の課題や困りごととは?

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どんな人でも無理なく歯科治療を受けられるように。ミュゼホワイトニングとの新たな取り組み

発達ナビは、ミュゼプラチナムとともに、どんなお子さまも歯科医院を無理なく利用することができる社会を目指す共同プロジェクトをスタートさせました。

ミュゼプラチナムがプロデュースする「ミュゼホワイトニング」では、ホワイトニングをきっかけとした予防歯科を広めるべく、全国の歯科医院と協力してサービスを提供しています。その中で、歯医者が苦手だったり、通院をしぶるお子さまが多いという課題が浮かび上がりました。そこで、以前より社員研修などで連携をしていたLITALICO発達ナビとともに、今回は受け入れる側の歯科医院に対して、発達が気になるお子さんに対してどのようなご案内を行なっているのか、調査しました。

このコラムでは、歯科医院へのアンケート結果をもとに、発達が気になる子のご案内、治療について、実際どのように対応しているのかをご紹介します。

130か所の歯科医院へリサーチ!歯科治療の現場の実情

LITALICO発達ナビでは、ミュゼプラチナムとともに、「対応に困るお子さまの歯科医院でのご案内方法に関する調査」(2019年6月18日~6月28日実施)を行い、130か所の歯科医院からご回答いただきました。早速そのアンケート結果をまとめていきます。

まず発達障害についてご存知でしたかという質問については、「名前は知っているが種類や特性など詳しくは知らない」が60.3%と、「発達障害の種類や特性を含め知っている」の38.9%を大きく上回りました。やはりまだまだ名前を聞いたことがある程度で、発達障害への理解は歯科医院の現場にも浸透していないことがわかります。

一方でこれまで発達障害のある子どもの対応を「したことがある」方が77.9%と多くの方が経験したことがあるとのことで、対応に困られている現状も見えてきました。

それでは歯科医の現場では、具体的にどのようなことに困られているのか、見ていきたいと思います。

シーンごとに調査!歯科医療の現場の困りごとTOP3

今回のアンケートでは歯科治療のシーンごとに分けて、どの部分に困りごとがあるのかを調べてみました。以下、特に回答の多かったTOP3について、まとめていきます。

第3位(同率で2つ):「待合室などで落ち着かない子どもへの対応」と、「歯磨き指導などにおける子どもへのわかりやすい伝え方」

アンケート「待合室などで落ち着かない子どもへの対応で困った経験はありますか?」
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アンケート「具体的にどのような状態で、どのような対応をされましたか?」
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アンケート「歯磨き指導などにおける子どもへのわかりやすい伝え方で困った経験はありますか?」
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アンケート「具体的にどのような状態で、どのような対応をされましたか?」
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第3位は同率で「待合室などで落ち着かない子どもへの対応」と、「歯磨き指導などにおける子どもへのわかりやすい伝え方」でした。約半数ほどの歯科医院が困ったことがあると回答しています。

具体的な対処法としては、落ち着かない子どもへの対応が「声をかけて落ち着かせる」33.2%「保護者に落ち着かせてもらう」24.5%。子どもへのわかりやすい伝え方が、「実際に器具をさわってもらいながら説明する」37.2%「説明ツールを使う」31.4%が多くの方が実践しているようで、試行錯誤しながら対応している様子がわかります。

第2位:痛みに敏感な子どもへの治療

アンケート「通常より痛みが敏感な子どもに対して治療の進め方で困った経験はありますか?」
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アンケート「具体的にどのような状態で、どのような対応をされましたか?」
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第2位は「痛みに敏感な子どもへの治療」で、半数以上の方がその対応で困難を感じているようです。痛がってしまうとスムーズに治療することは大変で、「少しずつ治療を進め慣れさせる」29.6%「声をかけて落ち着かせる」20.5%などで対応していますが、それでもやはり痛みへの効果的な対策は難しいことが感じられます。

第1位:子どもに対する治療や治療器具への恐怖心を軽減するための説明

アンケート「子どもに対する治療や治療器具への恐怖心を軽減するための説明で困った経験はありますか?」
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アンケート「具体的にどのような状態で、どのような対応をされましたか?」
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そして今回のアンケートで最も困っている声が多かったのが、6割が経験した「子どもに対する治療や治療器具への恐怖心を軽減するための説明」でした。やはり子どもにとって歯科治療への恐怖心は強く、それを軽減するための説明に難しさを感じられているようです。

具体的に「実際に器具をさわってもらいながら説明する」43.4%「図やイラストで説明する」23.6%と、工夫しながら理解を促進していますが、それでも恐怖心に対してどのように対応していくか、はかりかねている様子が伺えます。

他にもまだまだ!歯科医療の現場からあげられた課題

ここまで半数以上の方が困った経験があると回答されたものを見てきました。前述の困りごとより声は少なくなりますが、他にも子どもの対応で困っていることがあるようです。以下、その困りごとをまとめています。

薬などを吐き出してしまう

アンケート「治療で用いられる薬などを吐き出す子どもへの対処で困った経験はありますか?」
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アンケート「具体的にどのような状態で、どのような対応をされましたか?」
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口や首周りに触られるのが苦手

アンケート「口や首周りを触って拒否された時の対処で困った経験はありますか?」
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アンケート「具体的にどのような状態で、どのような対応をされましたか?」
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音に過敏で嫌がってしまう

アンケート「音に対して嫌がる子どもへの対処で困った経験はありますか?」
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アンケート「具体的にどのような状態で、どのような対応をされましたか?」
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「薬を吐き出してしまう」「口や首回りを触られるのを嫌がる」「音に対して嫌がる」という困りごともあるようです。これだけを見ても子どもの困りごとの多様さを感じさせられますが、その場合にも「少しずつ治療を進めて慣れさせる」だったり、「声をかけて落ち着かせる」ということをしているようでした。

他にも、
□対応に時間がかかる。保護者の理解が得られない場合がある
□個人差があるので難しく、教科書通りにはいかない
□個々に状態が異なるので、対応に戸惑う

など、やはり個人差への対応や時間等コストがかかることへの懸念が声としてあがっています。

子ども一人ひとり困りごとが異なり、歯科医院の現場でもその対応に追われていることが、今回のアンケートを通して見えてきました。

歯科治療の現場の今までと、現在地

ここまでは歯科治療の現場での困りごとについて見てきましたが、それでは発達障害がある子どもへの対応として、歯科治療の現場は現在どのような取り組みをしているのでしょうか。
アンケート「発達障害があるお子さまを含め、お子さまの対応に関して現在行っている工夫や対策はありますか?」
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「保護者の方に、子どもの苦手や好きを聞く」26.2%「その子どもの事例をスタッフで共有する」26.2%「絵カードを用いて歯磨きの指導」14.9%「不安が強い子どもに絵カードで視覚支援」11.3%と、様々な工夫をしながら子どもへの対応をされています。特に保護者やスタッフとの情報の共有や、言葉だけではなく絵カードを使ってのコミュニケーションは効果的と考えられ、歯科治療の現場でも発達障害への理解が少しずつ進んでいることを感じさせてくれます。

ただ一方で、「特に対策をしていない」11.3%という歯科医院もあったりとまだまだ課題も多く、歯科治療の現場へさらに発達障害への理解を浸透させていくことは急務だということが言えるでしょう。
アンケート「特別な配慮が必要な患者の対応方法を学ぶ機会はありましたか?また実際の現場で役立ちましたか?」
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アンケート「患者とのコミュニケーションや、特別な配慮が必要な患者の対応方法などはどのような場所で学びましたか?」
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歯科医療全体を見ても、発達障害をはじめとした特別な配慮が必要な患者さんへの対応方法を学ぶ機会はまだまだ少なく、あったとしても実務に寄り添ったものではないこともあり、まずその環境を整えていくことが大切になります。

発達が気になる子の歯科治療のこれから

発達に悩む子どもたちへの歯科治療をより充実させるためには、歯科医院側の発達障害へのさらなる理解が欠かせません。より正確な情報を医院に提供する仕組みも必要です。

今回は歯科医院アンケートの結果から、歯科治療の現場にどのような困難やニーズがあるのかを明らかにしました。次のステップとして、アンケート結果の公表とともに、浮き彫りになった課題に対応したプログラムをつくり、歯科治療に関わる人向けの研修を全国で展開していく予定です。

さらに利用者への情報提供として、発達障害への理解の深い歯科医院を探しやすくするサービスを立ち上げる予定です。「研修プログラムを受講している」「視覚支援ツールを完備している」などといった条件から、一人ひとりのお子さんに合った歯科医院探しをお手伝いしていきます。
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