「仕方がないこと」だってある

手術後の安静期間、私はしばらく悶々としていました。

「入学前からもっと学校と打ち合わせをしておけば良かった?」
「そもそも引っ越し先を不動産屋任せにせずに、わが子に合った環境を第一に考えた地域を自分で探すべきだったのか?」

そしてその後、娘は『療育の空白期間』に突入します。
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成長とともに必要な「支援」は変わる。社会人になった娘を見て、思うこと

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“連携”に消極的な療育センターと学校...「前例がない」と断られた私のとった行動は【小学校生活での困りごと最終話】

私のように、引っ越しや親の体調、きょうだい児の世話、祖父母の介護などで身動きが取れなかったり、周りに助けを求めることができない状況になってしまう人も少なくはないでしょう。

でもそれは「仕方がないこと」なんだと私は思うのです。

経験値爆上がり

私も娘も身をもって経験しなければ分からないタイプです。

私が23年間で七転八倒しながら身につけたのは、決して模範的な子育ての方法などではなく、
『ベストを目指すんじゃなくてベターを選ぶ』とか、『“受け入れる”と“受け流す”の塩梅』だとか、「あのときは仕方なかったよね」と割り切る図太さだったんじゃないかと思っています。

まぁ、身につけたといっても常にうまく対応できているかというとそうでもなく、いまだに子どもがらみの問題や困難に直面しては心が乱れ「どうしたものか」としょっちゅう悩んだりしていますが。

ガス抜きや時薬(ときぐすり)を用いながら前へ進むしかない子育て。
おかげで私の『経験値』は着実に上がっています(笑)。

執筆/荒木まち子
(監修:新美先生より)
長年のご経験を振り返っての体験談をお聞かせ下さいましてありがとうございます。
小学校入学という節目の引っ越しは本当に忙しく大変だったことと思います。準備の期間もほとんどなく、引っ越しでそれまでの関係性がなくなってしまい、どこに相談したらよいのかも分からない、お子さんのこれまでを知っている人がほとんどいない中で、小学校入学という大きな環境変化が重なり本当に大変としかいいようがないです。つらいこと大変なこと、さまざまなことが重なる中で、「『仕方がないこと』もある」と前を向ける荒木さんの強さに敬服してしまいます。なかなかそのように割り切れることばかりではないでしょうが、経験談としてお話しいただいたことで、読者のみなさんがいざというときのイメージをもつきっかけになったらいいなと思います。
メインテーマとずれてしまいますが、入学時の登下校については、思いもよらないアクシデントが起きることは本当によくあります。付き添うか付き添わないか、付き添う場合いつまでか、学童や放課後等デイサービスを使うか使わないか、GPSを持たせるかどうかなどよく検討し、いくら検討しても実際には想定外のことが起きてしまうものだと思っておくしかないかもしれません。
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発達障害の診断・検査方法は?診断・検査は受けるべき?発症年齢や検査・診断の方法を紹介します【専門家監修】

コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
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