ADHD(注意欠如多動症)への薬物療法に期待できること

医師にストラテラでの治療をすすめられたとき、薬物療法をはじめることに悩む方も多いかもしれません。4章で副作用を説明したので、この章では薬物療法でどんなことが期待できるのかについて考えてみたいと思います。

まず、薬物療法はADHD(注意欠如多動症)の症状を軽くすることだけが目的ではないということを知ってください。薬物療法をすすめることで、その子の成長を支えていくことが目的です。薬はADHD(注意欠如多動症)を治すものではなく、早い段階で服用したからといって将来の症状が軽くなるものでもありません

しかし、薬を服用してADHD(注意欠如多動症)の症状が改善すれば、日常生活での困りごとが少なくなります。その結果、これまで本人が困っていたことへの対処法を身につける機会が増えたり、新しいことを学びやすくなります。また、周りの人も「褒める」といったADHD(注意欠如多動症)のある人への好ましい声がけも実践しやすくなることも考えられます。

ADHD(注意欠如多動症)のある人は、日常生活でさまざま困難が多く叱られることも多いため、「自分はだめなんだ」と自分自身を否定しがちです。ADHD(注意欠如多動症)の症状が改善することで、スキルを身につけて困りごとを少なくすれば、本人にも自信がついて自尊心を高めることにもつながることも期待できます

また、忘れてはならない重要なことは、これらのことは薬物療法をしたからといって達成されるものではということです。薬物療法と同時に、環境調整をすることや、ペアレントトレーニングやソーシャルスキルトレーニングなどの薬物療法以外の取り組みも、ADHD(注意欠如多動症)の治療には非常に大切であることを覚えておきましょう。
参考:Q73 発達障害の子どもにはどういう薬が用いられるのでしょうか?|日本小児神経学会
https://www.childneuro.jp/modules/general/index.php?content_id=80
参考:Q74 発達障害の子どもの薬物療法でどのような効果が得られますか?|日本小児神経学会
https://www.childneuro.jp/modules/general/index.php?content_id=81
ペアレントトレーニング(ペアトレ)とは?種類や効果など/専門家監修 のタイトル画像

ペアレントトレーニング(ペアトレ)とは?種類や効果など/専門家監修

注意欠如・多動症-ADHD-の診断・治療ガイドライン 第4版
齊藤 万比古 (編集)
じほう; 第4版
Amazonで詳しく見る

ストラテラはやめられるの?

ADHD(注意欠如多動症)のある子どもでは、成長すると薬の必要がなくなる場合も多くなります。なぜなら、ADHD(注意欠如多動症)の症状は成長するにしたがって軽くなることが多いからです。ストラテラは薬への依存リスクが低いことから、減薬せずに中止することが可能です。

しかし、どのように薬を終了していくかは、処方するときと同じように本人の様子を見ながら医師が判断します。したがって、自分の判断で薬の服用を中止することなく、医師に相談することが重要です

なお、日本を含めた海外の治療ガイドラインでは、子どもが薬物療法を必要としているか毎年確認することをすすめています。
注意欠如・多動症-ADHD-の診断・治療ガイドライン 第4版
齊藤 万比古 (編集)
じほう
Amazonで詳しく見る
■経過
 幼少期から多動であり、幼稚園でもトラブルが絶えなかった。小学1年生になり、多動のみならずクラスメイトをたたくなどの衝動性や集中が続かないなどの理由から受診となり、ADHDと診断された。学校の環境調整を行い、母親がペアレント・トレーニングを受けるなど心理社会的治療が行われ、ADHD症状は軽快傾向にあった。しかし、小学3年になった頃からクラスメイトとの関係の悪化などから症状が悪化し、学校との連携を強化するも改善がみられないため、アトモキセチンを用いた薬物療法を開始した。次第に症状は改善し、小学高学年では特に問題がみられなかった。中学進学を前に薬物療法の終結を検討するも、中学入学という環境変化に伴う悪化を危惧し継続を望んだ。入学後も特に問題はなく、中学1年の2学期から減薬し、3学期には薬物療法を終結した。その後、定期的な通院は継続したが、問題はなく中学卒業を機にフォロー終了とした。
■まとめ
 薬物療法の終結後は多少の症状の悪化はみられたが顕著ではなく、家族や学校の協力があり、本人ができる工夫を適宜治療者と相談しながら治療を継続した。フォローを終了する際、今後いつでも再診できることを付言しておくことも重要である。

引用:「注意欠如・多動症-ADHD-の診断・治療ガイドライン第4版」P.235|齊藤(編), 株式会社じほう(2016)
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4840748810

まとめ

ADHD(注意欠如多動症)のある人に医師が処方する薬のひとつ、ストラテラを解説しました。薬物療法を開始するにあたっては、副作用への心配から不安が大きくなってしまうこともあるかもしれません。そんなときは、不安をひとりで抱えこまずに医療機関に相談することを考えてみてください

正しく知ることで不安が解消されるかもしれません。なお、医師だけでなく薬剤師も薬の相談に乗ってくれます。
ADHD(注意欠如多動症)のある人に処方される薬コンサータの効果や副作用、コンサータとストラテラ違いも解説【精神科医監修】のタイトル画像

ADHD(注意欠如多動症)のある人に処方される薬コンサータの効果や副作用、コンサータとストラテラ違いも解説【精神科医監修】

ADHD(注意欠如多動症)がある子どもの薬物療法とは?ビバンセ、コンサータ、ストラテラ、インチュニブ、それぞれの違いと副作用を解説――マンガで学ぶ発達障害の薬【医師監修】のタイトル画像

ADHD(注意欠如多動症)がある子どもの薬物療法とは?ビバンセ、コンサータ、ストラテラ、インチュニブ、それぞれの違いと副作用を解説――マンガで学ぶ発達障害の薬【医師監修】

ADHD(注意欠如多動症)の治療法・療育法は?治療薬は効果的なの?【専門家監修】のタイトル画像

ADHD(注意欠如多動症)の治療法・療育法は?治療薬は効果的なの?【専門家監修】

ADHD(注意欠如多動症)の治療薬インチュニブ(グアンファシン)の効果や副作用は?ストラテラ、コンサータとの違いも解説【精神科医監修】のタイトル画像

ADHD(注意欠如多動症)の治療薬インチュニブ(グアンファシン)の効果や副作用は?ストラテラ、コンサータとの違いも解説【精神科医監修】

リタリン(メチルフェニデート塩酸塩)とは?コンサータとの違いは?ナルコレプシーへの薬リタリンまとめ【精神科医監修】のタイトル画像

リタリン(メチルフェニデート塩酸塩)とは?コンサータとの違いは?ナルコレプシーへの薬リタリンまとめ【精神科医監修】

ビバンセとはどんな薬?ADHD(注意欠如多動症)のある子どもに処方される薬ビバンセの効果や副作用などを詳しく解説!【医師監修】のタイトル画像

ビバンセとはどんな薬?ADHD(注意欠如多動症)のある子どもに処方される薬ビバンセの効果や副作用などを詳しく解説!【医師監修】

子どもの癇癪(かんしゃく)とは?癇癪を起こす原因や発達障害との関連は?しんどいときの対応方法、相談先まとめ【専門家監修】のタイトル画像

子どもの癇癪(かんしゃく)とは?癇癪を起こす原因や発達障害との関連は?しんどいときの対応方法、相談先まとめ【専門家監修】

ライフバナー
PLUSバナー

追加する

年齢別でコラムを探す


同じキーワードでコラムを探す



放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。