発達特性を活かせば武器になる!私が仕事で「役に立っている」と実感する4つのメリット

2019/03/19 更新
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発達障害による特性は、日常生活を送るうえで「困りごと」として紹介されることが多いですし、日々の生活の中でも大変さに目が向きがちだと思います。しかし、発達障害の当事者である私は、約30年生きてきた中で「自分の特性が役に立った」と感じる場面が少なからずありました。今回は、仕事の場面にフォーカスを当てて書いてみようと思います。

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ADHDとASDの診断を受けている私の特性

私はベンチャー企業で、社内プログラマとしてシステム開発の仕事をしており、現在は管理職にも就いています。

そんな私が「仕事上、特性が役に立っている」と感じる場面について書こうと思いますが、まずはその前に、私自身の特性について簡単に紹介します。

私はADHD(注意欠陥・多動性障害)とASD(自閉症スペクトラム障害)と診断されていて、自分としては特にASDの特性が強いと感じています。普段自覚している特性は以下の通りです。

・感覚過敏(聴覚・視覚)
・過集中
・感情よりも論理を重視する(ひとの気持ちを想像するのが困難)
・自分の興味が狭くて深い
・興味がないことは全然覚えられないけれど、興味があることはすぐ覚える


感覚過敏に関しては、以前別の記事で詳しく書いていますので、気になる方はご参照ください。
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仕事の場面で「特性が役に立っている」と感じること

私がやっているシステム開発の仕事は、おおまかに以下のような流れで進めています。

①お客様が現在抱えている課題をヒアリングしながら、どこをどう自動化するのが効果的かを考える

②自動化する内容についてお客様と合意が取れたら、具体的にどう作っていけばうまく自動化できるのかを考える

③実際にプログラムを組んで自動化するためのシステムを作っていく

このような仕事をする中で、自分の特性が役立っていると感じることについてご紹介します。

ひとの感情に左右されずに、最善の案を考えることができる

会社で仕事をしていると、他人の感情に配慮して振舞いを変えなければいけない場面がよくあります。一方で、データや状況を客観的に分析した上で、感情を抜きにして何か厳しいことを決断しなければいけない場面もあります。

それぞれの場面でうまくバランスをとるのが仕事の難しさだと思いますが、私の場合、「感情よりも論理を重視する」という特性が役に立つことがあります。特に業務改善や“あるべき論”を考える時に、力を発揮します。

例えば以前、5人で実施している事務処理の業務改善を行うために、その事務処理を自動化するためのシステムを作ったことがあります。このようなシステム開発を行う場合、まずは「現在どのように事務処理を行っているのか」を担当者の方々にヒアリングしながら、どこをどう自動化するのが最適なのかを検討していくのですが、その中で以下のような問題が見つかりました。

【自動化できそうだと分かった仕事】
・大量の売上金額を手動で計算する
・お客様に送付するものを大量の書類の中から選別し、手書きで書き写す

【これらの仕事の現状】
・担当者の作業スピードが早いため、現在は問題になっていない
・その担当者は仕事に誇りや自信を持っており、他メンバーもこれを効率化しようという発想がなかった
・今は良くても、今後担当者が変わったりお客様の数が増えたりすると、業務がたち行かなくなる可能性がある

この作業を自動化することで、現在の担当者からは「今は問題になっていない」「私の仕事をなくさないでほしい」といった反発が考えられましたし、他メンバーもこの担当者の気持ちに配慮して、自動化に賛成しないだろうとも思いました。でも、こんな時に「感情より理論を重視する」という特性が活きてきます。

私は、それでもこれらの作業を自動化した方が全体としての業務効率が上がると考え、すべて自動化することに決めました。その代わり、今までこの業務を担当していた方には、その経験を活かして、事務処理全体の統括をするという新しい仕事を提案したのです。

もちろん、現場の反発が大きかったり、他の要因があったりして、提案通りにならないこともあります。それでも、特性ゆえに「全体としての最適案を考えることができる」のは、システム開発の仕事にとても役に立っていると思います。

プログラミングなどの地道な勉強が苦にならない

私は自分が興味のある分野であれば、仕事の時間外であっても、本を読んだりして勉強することが苦になりません。

私が新卒から脱却して一人前のプログラマになったころ、「まったく使ったことがないプログラミング言語を使って、2ヶ月でアプリを作らなければいけない」という仕事がありました。

実は私たちが話している日本語や英語のように、プログラムにも色々な言語があります。その時私がお願いされた仕事というのは、普段日本語を使っているひとが「明日から2ヶ月間、イタリア語で生活をして仕事を完成させてほしい」と言われるようなものでした。

正直無茶な仕事だな…とは思ったのですが、そのプログラミング言語に関する本を買って通勤時間中に読んだり、既存の似ているプログラムの中身を読んだりして、自分なりに勉強をしながら開発を進めていきました。

締め切りが厳しいプレッシャーはありましたが、そもそもプログラミングに興味があるので、勉強自体は楽しく取り組むことができました。そして結果的に、かなり大変ではありましたが、なんとかアプリ作成を終えることができたのです。

その後も、一度も使ったことがないツールを使った開発や、業界でその時に流行っている技術を使った開発など、さまざまなことにチャレンジして成功してきました。日進月歩で新しいことが増えていくプログラマの業界では、継続して勉強し続けることがかなり大事なので、この特性にかなり助けられています。

「過集中」の特性を活かして仕事をこなせる

社会人として仕事をするようになってから、失敗して自信を失った時期もありましたが、そんな時も含めても私が特に自信を持っているのが、過集中という特性ゆえの「集中力」です。

時には作業に没頭するあまり、周りの人から話しかけられてもすぐに反応できないこともありますし、隣の人がトイレ休憩のために席を外したことに気づかず、戻ってきた時に驚いて大きな声をあげてしまったこともありました(笑)。

それでも、プログラミングやシステム開発に関わることであれば、かなり興味をもって取り組むことができるので、周りから驚かれるくらい作業を進めることができます。その分、家に帰るとぐったりして、1時間以上何もできないということもありますが…。

興味を持ってこなした仕事は、ずっと覚えている

「興味が狭くて深い」という特性のおかげなのか、それとも過集中だからなのかは分かりませんが、私は自分が書いたプログラムを覚えておくことができます。

プログラムとは「このシステムはこう動くものですよ 」という説明書のような文章になっています。以前仕事で、半年くらい前に作ったプログラムを修正するということがありました。この状況を例えるなら、「半年前にSNSでつぶやいたこと」について、もう一度整理して議論しなくてはならなくなったようなものです。

そういった状況では、当時の自分がどんな意図で、どんなことを考えてその文章を書いたのか、すぐには思い出せない人も多いと思います。そのため、上司からは「かなり前に作ったものだし、修正に1週間かかっても仕方がない」と言われていました。

しかし私はこの時、30分ほどプログラムの全体を見ているうちに、作った当時の記憶がよみがえってきました。そして何をすればいいかがはっきり分かったので、上司から伝えられた期限の半分で対応を終えることができました。

私としては、やれることを普通にやっただけのつもりでしたが、上司からはかなり驚かれ、ほっとしたのと同時に誇らしい気持ちになったことを覚えています。

発達障害の特性は、悪いことばかりじゃない!

発達障害の特性は個人ごとに異なりますし、日常生活を送る上で大変な部分ばかりが目立つこともあると思います。でも、自分の特性とうまく付き合っていけば、“クセが強い”からこそ“特化された武器”として、様々な場面で活かすことができると思っています。

今回の記事でご紹介した内容は、「やっぱりそうなんだ」というものから「ちょっと意外だった」というものまで、いろいろあるかもしれません。私の個人的な経験談ではありますが、さまざまな仕事をされる中で参考にしていただければと願うとともに、私が誇りを持って取り組んでいるシステム開発の仕事についても、発達障害当事者の職業選択のひとつとして興味をもっていただけたら嬉しいです。
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