実際のカウンセリングの現場とは?

では、スクールカウンセラーは、実際にはどんなふうに問題を解決してくれるのでしょうか?

発達ナビのコラムを執筆してくださっているライターさんや、國學院大學教授で元スクールカウンセラーの池田行伸先生の経験談を中心に、スクールカウンセリングの現場から、その様子をご紹介します!

スクールカウンセラーのアドバイスで見つけた、親子のリラックスタイム

発達ナビライターのkaoruさんは、息子さんが集団に適応できなくて一番大変な時に、スクールカウンセラーに2つのことを薦められました。1つは、プレイセラピー、もう1つは、スペシャルタイムでした。

これを実践してみたところ、大正解!学校生活や療育、診察などで疲れた子どもにとって、心から楽しいと思える癒しの時間になり、お子さんの成長にも良い影響があったようです。

スクールカウンセラーのアドバイスで、子どもの精神状態や親子関係に良い影響が生まれたケースです。
学校や療育で子どもは疲れていませんか?息子の癒しになった2つのことのタイトル画像

学校や療育で子どもは疲れていませんか?息子の癒しになった2つのこと

カウンセリング中、一言も話さなかった不登校の女の子の変化

次に、國學院大學教授・元スクールカウンセラーの池田行伸先生が担当した事例をご紹介します。相談者は、不登校の女の子と、その母親でした。

池田先生が、「学校で何か嫌なことがあったのか」、「友だちと気まずいことでもあったのか」と問いかけても、女の子は無言のまま。母親は、「家で娘に尋ねても嫌なことやいじめはないと言うのです」と代弁します。

しかし、約半年のカウンセリングを継続する中、それまで一言も発しなかった彼女は、ついに自分から話し始めました。

一見意味のないようにみえたカウンセリングでも、子どもにとっては自分を見つめるきっかけになったり、保護者の心の安定につながったりと、継続することで良い影響をもたらすことがあるのですね。詳しい考察は、こちらの記事をご覧ください。
不登校の女の子との「無言のカウンセリング」?それでも学校に行けるようになったわけ のタイトル画像

不登校の女の子との「無言のカウンセリング」?それでも学校に行けるようになったわけ

スクールカウンセラーは、学校と保護者の調整役にもなる

子どもを思うあまり、学校と保護者の関係がこじれてしまうこともあります。その結果、家庭対学校の構造ができてしまうと、なかなか対立は解消できないケースも多いようです。

”平静さを保っているように見えても、心の底ではお互い分かり合えない複雑な感情を抱いている。そんな状態では、学校は家庭がもっとしっかりやるべきだと考えるし、家庭は学校が悪いから自分の子がおかしくなったと考えるわけで、お互いの不信感がつのるばかりです。”

このような状況をどのように解決すれば良いのでしょうか?以下の記事にはそんなときの解決のヒントとしてスクールカウンセラーが紹介されています。

スクールカウンセラーは、保護者や他の教職員と利害関係が存在しない「第三者性」「外部性」を有する専門家です。当事者が多数いて問題が複雑になってしまった場合などこそ、調整役としてのスクールカウンセラーの存在意義が発揮されるのです。

学校と保護者が、子どもに関する問題について対立してしまい、当事者同士ではなかなか解決できない時には、スクールカウンセラーを利用してはいかがでしょうか。
「学校と闘う親たち」へ。スクールカウンセラーが伝える問題解決のヒケツのタイトル画像

「学校と闘う親たち」へ。スクールカウンセラーが伝える問題解決のヒケツ

教員との協働で生徒の困りごとを解消

発達障害児の概念が生まれ個別の支援が叫ばれるようになってから、教育現場では、個の教育的ニーズ(必要性)に合った教育というスローガンが生まれ、教育する側も努力が求められるようになりました。

以下の記事では、スクールカウンセラー・池田先生が関係したある学校での心ある教師たちの進化と実践が紹介されています。

その学校では、ある日、女子生徒が教室で口論になり、カッとなって椅子を壊してしまう事件が発生しました。その生徒の担任の事例検討会においての相談をきっかけに池田先生が支援し、問題行動がみられなくなるまでが語られます。

子どもの問題を解決しようとする熱心な教員がいても、適切な方法をとれるとは限りません。このような場合に、スクールカウンセラーが心理の専門知識や生徒・学校・保護者からの多面的な聞き取りの結果を踏まえ、教員に対して適切なアドバイスをすることで、望ましい解決を実現することが可能となるのです。
発達障害者支援法から10年、現場の教師たちはどう変わってきたのか。スクールカウンセラーが見た風景のタイトル画像

発達障害者支援法から10年、現場の教師たちはどう変わってきたのか。スクールカウンセラーが見た風景

保護者と医療をつなぐきっかけとなったスクールカウンセリング

池田先生のもとへ、担任教師が相談に来ました。4年生にもなるのに5分と椅子に座っていられない男子生徒がいるという相談でした。

池田先生は、まずは生徒の親と話す機会を設けて欲しいと担任にお願いし、母親との面会を実施します。母親の話を聞くと、母親も問題行動に悩んでいたことがわかります。スクールカウンセラーとして、医療機関への相談を進めることにしました。

保護者としては、薬の副作用など、心配は尽きないと思います。そんな時、スクールカウンセラーは、子どもの様子の観察や教職員の意見を踏まえたうえで、薬物療法の役割や、代替案の有無を説明し、信頼のおける専門医選びをするなど、丁寧なコミュニケーションをしてくれることが期待できます。日ごろの心配などの親の不安を受け止め、寄り添ってくれる存在になることでしょう。

スクールカウンセラーのこのような丁寧なコミュニケーションこそが、問題を解決に導いてくれるのです。
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子どもの精神薬服用をどう考える?揺れる親心に寄り添うスクールカウンセラー

スクールカウンセラーに相談するには?上手く活用するポイントって?

池田先生はスクールカウンセラーの活用をこうすすめています。

”国の予算の関係でスクールカウンセラーが学校にいるのは月に2回程度、学校によっては月に1回のところもあります。相談は無料です。日数は少ないですが、折角ですから毎回利用したほうがお得ですよね。”

以下の記事では、予約方法や活用のポイントについてもわかりやすく紹介しています。
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「スクールカウンセラー」は悩める親子の強い味方!専門家・池田行伸教授に聞く、上手な活用術とは?

スクールカウンセラーは常駐しているわけではないため、予約が必要な場合がほとんどです。余裕をもって相談に行けるよう予約できるといいでしょう。

また、当日までに、メモなどの準備をしていくと、聞きたいことに漏れがなく、スムーズに相談できます。準備については以下の記事をご参照ください。
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まとめ

スクールカウンセラーは、心理の専門家であり、子ども・保護者・教員の困りごとの把握や相談を主に行っています。そして、その上で、第三者的立場からの子ども・保護者・教員に対するアプローチをし、困りごとや問題を解決することができます。

教育現場では、近年、発達障害児の概念が生まれた結果、個別の支援が叫ばれるようになりました。そのため、子ども一人ひとりの異なる個性に合わせた教育を可能とするために必要な配慮や支援をすること(=合理的配慮)が求められています。

スクールカウンセラーは、このような個の特性に応じた教育を可能にするために、重要な役割を担っているといえるでしょう。

就学期のお子さんを育てている、悩める保護者の方々は、気軽にスクールカウンセラーを利用してみたらいかがでしょうか。
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