摂食障害と関連のあるこころの病気

摂食障害にはその他のこころの病気が併存しやすいと考えられています。その中でもうつ病や不安障害、強迫性障害、パーソナリティー障害が高い確率で併存するといわれています。それぞれのこころの病気に関してもっと知りたい方は、下の発達ナビコラムもご覧ください。

◇うつ病
うつ病とは軽症を含めると最も多い精神病で、繰り返し気分が落ち込んだり、意欲がなくなったりすることが特徴です。うつ病の症状は精神面だけではなく、身体面にも影響を及ぼし、その一つとして拒食や過食につながることがあります。
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うつ病の症状や原因、単なる気分の落ち込みとうつ病の違いや、発達障害との関わりについてまとめました

◇不安障害
不安障害とは、状況や具体的なものに対して、過剰に不安、恐怖を感じ、それによりさまざまな影響が身体と精神に現れ、社会生活を送ることに支障が出てしまう疾患です。

不安障害と摂食障害が併存している場合、他者と一緒に飲食する場面において強い不安や恐怖を感じることもあるようです。
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不安障害(不安症)とは?診断基準・種類・治療法・相談先・周囲の対応法まとめ【精神科医監修】

◇強迫性障害
強迫性障害とは自分の意思に反して不安・不快な考えが浮かび、抑えようとしても抑えられない、もしくはそのような考えをなくそうと無意味な行為を何度も繰り返すことで日常生活に支障が出てしまう、こころの病気です。

強迫性障害と摂食障害が併存している場合、「食べてはいけない」という強い強迫観念を持つことが多くあります。
強迫性障害 (強迫神経症) とは?症状・引き起こす要因・治療・相談先・周りの人の対処法まとめのタイトル画像

強迫性障害 (強迫神経症) とは?症状・引き起こす要因・治療・相談先・周りの人の対処法まとめ

◇パーソナリティ障害
パーソナリティ障害とはパーソナリティの著しい偏りにより社会生活を送る上で不適合や困難が生じる状態のことをいいます。奇妙で風変わりなタイプ、感情的で移り気なタイプ、不安で内向的なタイプの主に3つに分けられます。

特に、境界性パーソナリティ障害では、不安からの逃避・他者の興味を引きたい思いから摂食障害の症状が現れることがあります。
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パーソナリティ障害とは?分類と症状、原因や具体的な治療法、周囲の接し方について徹底解説!

摂食障害がもとで生じる精神疾患の多くは、体重や栄養状態の回復により改善します。しかし症状が特に強い場合や摂食障害が快方に向かっても改善しない場合は個別に薬物療法が必要になることがあります。

摂食障害を疑うサインは?

摂食障害には、急激な体型・体重の変化、食生活の変化、心理的・身体的な変化といったいくつかのサインがあります。発症に早く気づき適切な治療を施すと、回復が早くなると考えられています。次のようなサインを見逃さないようにしましょう。

急激な体型・体重の変化

◇拒食症
拒食症の場合は特に、体重が急激に減少します(嘔吐などの排出行為を伴わないと、目に見えて身体的な変化が見られない場合もあります)。本人が異常なほどに体重計に乗ったり、鏡で体型を気にしたりする場合は注意が必要です。

体重÷(身長×身長)で求めるBMI(Body Mass Index)という体格指標から肥満度合い・重症度を判断します。成人の場合、BMIが17kg/㎡を下回るようになると、軽度の拒食症にあたります。子どもや青年の場合は、年齢別のBMI%値に基づいて重症度が分けられます。
参考書籍: 日本精神神経学会/監修 『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』 2014年 医学書院/刊
https://www.amazon.co.jp/dp/4260019074
◇過食症
過食症の人では、体重は平均的な値を取っていることが多いです。そのため拒食症より体重や体型の変化が目で見てわかりにくい傾向があります。過食症の場合は、食事量や食欲を制御できない状態や、体重増加を防ぐための不適切な代償行為などがあれば要注意です。

食生活の変化

◇拒食症
拒食症の食生活の変化として、急激な食事量の減少や偏った食事内容があげられます。拒食症はダイエットが極端化して発症することが多いので、食事量を異常に減らしたり、食欲がなかったり、特定の飲食物しか食べなかったりする様子が見られることがあります。

◇過食症
過食症は拒食症とは反対に、明らかに多い食事量、食欲コントロールの不制御が食生活の変化として表れます。また、過食と不適切な代償行動(過度な運動、服薬、嘔吐など)が週に1回以上、3ヶ月間以上続いていると過食症の可能性があります。

極端な体重低下や嘔吐の繰り返しによる症状

拒食症と過食症のそれぞれで、次のような身体症状が表れることがあります。

・低血圧、低体温
・無月経
・便秘
・皮膚の乾燥
・歯が弱くなる、歯の表面が溶ける
・唾液腺の腫れ
・不整脈
・吐きダコ

吐きダコとは摂食障害のある人の身体的特徴の一つで、手の甲あたりの皮膚がただれている状態をいいます。これは口の中に手を入れて刺激し、前歯が手に当たることできます。周囲の人が摂食障害に気づく一つのサインとして考えてよいでしょう。
参考: 摂食障害について | 摂食障害情報ポータルサイト
https://www.edportal.jp/about_01.html#a02

心理的な変化

心理的な変化としては、拒食症・過食症ともに以下のような症状があげられます。
・ちょっとしたことでイライラする
・精神的に不安定になる
・体型の変化(特に太ること)に対して異常な恐怖・不安を感じる
・体型や体重に過度なこだわりを持つ
 など

摂食障害は心と密接な関係があるので、心理的にも非常に不安定になる人が多くいます。

摂食障害かも?と思ったら、まずは内科、子どもの場合は小児科に相談することをおすすめします。摂食障害の治療を担当する診療科は他にも、精神科や心療内科、児童精神科などがあるので、必要に応じて紹介してもらうとよいでしょう。

これらの診療科に受診すると、多くは患者自身と、患者が子どもの場合その親にも食行動や普段の生活、心身の諸症状を聞き取ります。会話をする中で目や歯、皮膚の状態を観察します。また体重測定も行いますが、摂食障害の傾向がある人は体重測定に関して敏感な人が多くいます。そのため、強制的に行わないような配慮をしながら行います。
参考: 摂食障害のサイン | 摂食障害情報ポータルサイト
https://www.edportal.jp/about_02.html

摂食障害の治療って?

摂食障害は再発することが多く、慢性化してしまう方が少なくありません。身体的・精神的な症状は人によりさまざまなので、一人ひとりにあった治療が求められます。状況に応じて、入院か通院を決定しますが、健康体重の20~30%を下回るような体重が著しく減少している場合は、入院することもあります。本人の意思を尊重し、医師と相談しながら治療方針を決定しましょう。

以下では、摂食障害に効果的な治療方法をご紹介します。

身体管理と栄養リハビリテーション

特に体重の減少が著しい場合は、食生活の指導や栄養補給を行い、最低限必要な体重を定め治療を行います。

治療が進むにつれて体重が増加し、不安を感じる方が少なくありません。治療とともに、拒食・過食、不適切な代償行為を行わないよう、注意が必要です。体重の増加に加えて、心理的な治療も併せて行う必要があります。
低体重のため命の危険がありやむを得ず入院した場合は、合併症が起きないよう慎重に食事量を調整しながら栄養補給を開始します。生命を維持するため、緊急的に点滴での栄養や、経鼻での栄養を併用する場合もあります。

入院にはいくつかの判断基準がありますので、ご紹介します。
・著明な、もしくは急激な体重減少が認められる
・外来治療努力にも関わらず体重増加がない、あるいは、むちゃ食い/嘔吐/下剤乱用が持続している
・重篤な身体合併症(低カリウム血症、心臓異常所見、糖尿病の合併)がある
・重篤な精神疾患の合併を伴っている(うつ病、強迫性障害、境界性人格障害、自傷行為など)※
・治療環境として問題のある家族環境あるいは心理社会的に不適切な環境である
(摂食障害 | 厚生労働省)
出典:https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_eat.html

心理社会学的療法

心理社会学的治療とは、食生活に対する理解を深め、摂食障害の原因となるものを取り除くことなどを目的とした治療です。体重が増加し始めると、この治療方法が開始されます。

認知行動療法

カウンセリングを通して規則的な食事の確立や、自分は太っているという思い込みなどの偏った考えに取り組みます。
認知行動療法(CBT)は心の病気に効果的? メカニズムや形式、体験談まとめのタイトル画像

認知行動療法(CBT)は心の病気に効果的? メカニズムや形式、体験談まとめ

参考書籍: 日野原 重明、宮岡 等 /監修 『脳とこころのプライマリケア4子どもの発達と行動』 2010年 シナジー/刊
https://www.amazon.co.jp/dp/4916166280

薬物療法

薬物療法とは身体症状・合併症を治し、不安や抑うつなどの情動面の改善を図ることをいいます。これはあくまでも対症療法であり、いまの段階で摂食障害を根本的に治療する薬はありません。体重に対する考えのゆがみや摂食障害のもととなる、こころの問題に向き合うことが最も重要になります。
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