カナー症候群とは?原因・症状、ASD(自閉スペクトラム症)やアスペルガーとの違いなど【専門家解説】

ライター:医師・専門家監修|発達障害・支援のキホン
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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10567000491

カナー症候群は、1943年にアメリカの精神科医レオ・カナーが提唱した、主に知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)を指して使われることがある名称です。現在では、自閉的特徴を持つ疾患はASD(自閉スペクトラム症)という診断名に統一されています。本記事では「カナー症候群(カナータイプ・カナー型自閉症)」と呼ばれる状態の特徴や診断、知的障害を伴わない自閉症との違いなどを解説します。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
目次

カナー症候群とは?

この記事で分かること

  • 「カナー症候群」の定義と、ASD(自閉スペクトラム症)・知的障害との関係性
  • アスペルガー症候群や高機能自閉症との違い、現在の診断基準について
  • コミュニケーションやこだわりの特徴、知的発達などに見られる具体的な症状
  • 家庭でできる接し方のポイントや、療育・ペアレントトレーニングなどの支援法
  • 「療育手帳」や、利用可能な障害福祉サービス・手当
カナー症候群は、1943年にアメリカの精神科医レオ・カナーが提唱した、主に知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)を指して使われることがあります。現在では、自閉的特徴を持つ疾患はASD(自閉スペクトラム症)という診断名に統一されています。

ASD(自閉スペクトラム症)は、「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」などの特性が幼少期から見られ、日常生活に困難を生じる発達障害の一つです。

自閉症の概念は、1943年にアメリカの児童精神科医レオ・カナーによって最初に報告されました。それ以降、「自閉症」はカナーの提唱した自閉症を指す時代が最近まで続きました。

その後、イギリスの精神科医であるローナ・ウィングが発表した論文をきっかけに、言語能力が高く知的障害(知的発達症)を伴わない「アスペルガー症候群」の概念が広まりました。

そして、「アスペルガー症候群」と区別するために、カナーが提唱した自閉症を「カナー症候群」「古典的自閉症」などと呼び分けるようになりました。「カナータイプ」や「カナー型」なども同様に、知的障害を伴う場合を指して使われることがあります。

2013年のアメリカ精神医学会の診断基準『DSM-5』の発表以降は、知的発達や言語能力などで診断名を分けず、自閉スペクトラム症(ASD;Autism Spectrum Disorder)としてまとめて表現するようになりました。
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アスペルガー症候群や高機能自閉症とカナー症候群との違いは?

カナー症候群と、その他知的障害のない自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群や高機能自閉症)は、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。

2013年に発行されたアメリカ精神医学会の診断基準『DSM-5』において、アスペルガー症候群や高機能自閉症などの自閉的特徴を持つ疾患は「ASD(自閉スペクトラム症)」に統合されています。

アスペルガー症候群は、現在は医学的な診断名ではありませんが、かつての診断基準である『DSM-Ⅳ』では、広汎性発達障害の下位項目として位置づけられ、知的発達や言語発達の遅れがないことが基準になっていました。
アスペルガー症候群とは、知的発達の遅れを伴わず、かつ、自閉症の特徴のうち言葉の発達の遅れを伴わないものである

出典:学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)及び高機能自閉症について|文部科学省ホームページ
出典:https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/attach/13966...
また「高機能自閉症」は、医学的な診断名ではなく、日本では主に特別支援教育の分野などで使われていた名称です。

文部科学省の定義では、主に自閉的特徴がありつつ知的発達の遅れを伴わない状態と記載されています。
高機能自閉症とは、3歳位までに現れ、1他人との社会的関係の形成の困難さ、2言葉の発達の遅れ、3興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害である自閉症のうち、知的発達の遅れを伴わないものをいう。

出典:参考3 定義と判断基準(試案)等|文部科学省ホームページ
出典:https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/054/shiryo/attach/136...
上記の文部科学省の定義は、以前の診断基準である『DSM-Ⅳ』を参考に試案として作成されています。最新の医学的な診断基準である『DSM-5』では、これらは全てASD(自閉スペクトラム症)に統合されています。
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カナー症候群の症状・原因は?

カナー症候群の症状

カナー症候群は、現在は「ASD(自閉スペクトラム症)」という診断名に統合されています。

ASD(自閉スペクトラム症)は、「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」などの特性が幼少期から見られ、日常生活に困難を生じる発達障害の一つです。幼少期に気づかれることが多いといわれていますが、症状のあらわれ方には個人差があるため就学期以降や成人期になってから社会生活において困難さを感じ、診断を受ける場合もあります。

カナー症候群は、ASD(自閉スペクトラム症)の中でも知的障害(知的発達症)を伴う状態を指して使われることがあります。

コミュニケーションの発達面では、エコラリア(オウム返し)があったり、要求以外のことばの発達の遅れや抽象的な質問に対する応答困難、会話の困難などがあったりします。

医学的な診断としての知的障害(知的発達症)は、論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、学校での学習などにおいて必要となる知的機能と、発達および文化的な水準を満たす日常生活に関する社会的な適応機能における問題が見られるとされています。

発達期に発症し、継続した支援がない場合には、家庭・社会・職場などのさまざまな環境において、社会参加や日中活動が妨げられることがあります。知的障害(知的発達症)の程度は、軽度・中等度・重度・最重度の4段階に分けられます。

◇知的障害(知的発達症)の症状や特徴の例
・軽度の場合:幼児期は気づかれにくく、学齢期に入ってから勉強面や、時間・金銭などなどの生活管理において難しさが生じたり、言語の発達がゆっくりだったりします。

・中等度の場合:1〜3歳など幼児期初期から言葉の遅れが見られ、成人後も身辺自立は部分的にはできますが、全てをこなすことは困難と言われています。

・重度の場合:運動面、言語面の発達の遅れから早期に気づかれることが多く、食事や身支度などの生活上の活動について保護や介助が必要になる場合もあります。

ASD(自閉スペクトラム症)であり知的障害(知的発達症)を伴う場合に、カナー症候群やカナー型自閉症、カナータイプなどと呼ばれることがあります。
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カナー症候群の原因

カナー症候群は、ASD(自閉スペクトラム症)と知的障害(知的発達症)を伴う状態を指して使用されることがありますが、このASD(自閉スペクトラム症)の正確な原因は、まだ解明されていません。

ASD(自閉スペクトラム症)は、脳機能の障害により症状が引き起こされると言われていますが、脳に機能的・器質的な違いが生じる原因となる遺伝子などについては、現時点では特定できていません。

一卵性双生児の研究から、遺伝的要因が強いことが示唆されているものの、複数の遺伝子が関連していると考えられ、発症を決定づける単一の遺伝子が特定される可能性は、とても低いと考えられています。

また知的障害(知的発達症)の原因はさまざま考えられ、発症する経緯も一つではありません。

知的障害(知的発達症)の原因は、まだ解明されていない部分もありますが、主に病理的要因・生理的要因・環境要因の3つに大別することができます。

病理的要因は、病気や外傷など脳障害をきたす疾患で、これらの合併症として知的障害(知的発達症)が生じることがあります。例えば、出産前の感染症や脳性まひ、ダウン症などの染色体異常による疾病も含まれます。

一方で、基礎疾患などが見られないものの、知能水準が知的障害(知的発達症)の範囲内にあるといった場合、生理的要因や突発的要因(本田, 2018)と呼ばれます。

ほかに、直接的な原因ではありませんが、脳が発達する時期に栄養不足や不適切な環境であることで脳の発達が遅れる原因になることがあると言われています。

カナー症候群の診断・治療や支援法

カナー症候群の診断

1943年に自閉症の概念を提唱したレオ・カナーは、子どもたちの行動パターンとして、孤立状態や変化に強い抵抗があること、同じ状態に保とうとするこだわり、思い通りに行かない時の癇癪や独特なことばの使い方、特定の領域での優れた能力などを報告しています。

ASD(自閉スペクトラム症)と知的障害(知的発達症)を伴う場合にカナー症候群と呼ばれることがありましたが、カナー症候群は診断名ではありません。診断名として現在ではASD(自閉スペクトラム症)に統合されています。

ASD(自閉スペクトラム症)には、
・社会性と対人関係・コミュニケーションの困難
・行動や興味の偏り
の2つの特徴があると言われています。

ASD(自閉スペクトラム症)の診断については、専門機関において、問診や行動観察、各種検査などが行われ、アメリカ精神医学会の『DSM-5-TR』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版 改訂版)の診断基準に基づいて、総合的に判断されます。カナー症候群はASD(自閉スペクトラム症)と知的障害(知的発達症)の2つを併せ持つために、知的障害(知的発達症)の評価をする必要があります。

知的障害は、知能検査の数値(IQ)だけで判断されるのではなく、知的機能(IQ)と適応能力(生活能力)の2つが評価されたうえで診断されます。

◇知能検査・発達検査の例
・田中ビネー知能検査V
・WISC-V
・日本版KABC-Ⅱ
・新版K式発達検査

◇適応能力検査の例
・Vineland-II(全年齢)
・ASA旭出式社会適応スキル(幼児〜高)
・S-M社会生活能力検査(乳幼児〜中学生)

米国疾病予防管理センター (CDC) によると、ASD(自閉スペクトラム症)の子どものうち、約40%が知的障害を併存するという調査報告などもあります。
出典:Prevalence and Characteristics of Autism Spectrum Disorder Among Children Aged 8 Years — Autism and Developmental Disabilities Monitoring Network, 11 Sites, United States, 2020|米国疾病予防管理センター (CDC)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/72/ss/ss7202a1.htm
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カナー症候群の治療と支援

カナー症候群は、現在はASD(自閉スペクトラム症)に統合されていますが、ASD(自閉スペクトラム症)の根本的な治療法は確立していません。知的障害(知的発達症)においても、一部の病理的要因は、食事療法や薬物投与といった治療法で発症を防げる場合がありますが、その他の知的障害(知的発達症)については、今現在医学的治療法は確立されていません。

しかしASD(自閉スペクトラム症)、知的障害(知的発達症)ともに、本人の能力や特性に合ったサポートや環境調整などを行うことで、困りごとを減らしていくことが可能です。

◇療育(発達支援)や教育
療育とは障害(またはその可能性)のある子どもに対し、それぞれの困りごとをふまえ、その子に合ったアプローチで発達を促し、日常生活や園・学校などの社会生活で過ごしやすくできるようにサポートする取り組みです。「発達支援」とも呼ばれています。

療育(発達支援)では、本人の得意な面を活かしながら身辺自立や苦手なことを伸ばす取り組みや、コミュニケーションなどの社会的スキルを得られるような支援が行われます。
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学校などでも、本人に合う学び方や学習環境の調整、困難さを助けるツールの活用などで、より過ごしやすく学びやすくしていきます。
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◇ペアレントトレーニング

ペアレントトレーニングとは、保護者が子どもとの良い関わり方を学びながら、子育ての困りごとを軽減し、楽しく子育てができるよう支援する保護者向けのプログラムです。
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◇薬物療法

ASD(自閉スペクトラム症)においては、さまざまな環境調整や教育的支援などを行っても、本人や周囲の困りが強い場合には、薬物療法が行われることがあります。薬物療法は効果が出るまで時間がかかるほか、副作用が生じることもあります。主治医と相談しながら治療を進めていきます。

知的障害(知的発達症)においては、その原因はさまざまで、解明されていないことが多い状態であるため、現時点で根本的に治す薬はありません。
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カナー症候群に関する相談先・接し方のポイント

発達に関する相談先

ASD(自閉症スペクトラム症)や知的障害(知的発達症)など発達に関する相談先や、保護者への支援の例を紹介します。

◇専門機関への相談
地域の子育て支援センターや児童発達支援センター、児童相談所などでは、子どものことや子育てについて、気軽に相談ができます。必要があれば医療機関や療育施設などの専門家の紹介などもあります。

◇親の会に参加する
ASD(自閉症スペクトラム症)や知的障害(知的発達症)の家族を対象とした家族会やサポートグループが全国にあります。親の会の多くは障害のある子どもを持つ親同士がつながり、障害について学んだり情報交換をしていく活動をしています。

また、発達ナビのQ&Aコーナーやコミュニティでも、子育ての悩みを相談することができます。誰かにつらい気持ちを話すだけでも、気持ちが楽になり、一人で悩みを抱え込まずに済むかもしれません。
◇レスパイトケアで意識的に休息をとる
子育てにおいては、保護者がついがんばりすぎてしまうこともあります。そんなときは、休息やリフレッシュが大切です。わが子が利用できるファミリーサポートや一時預かりのサービスなども検討するといいかもしれません。地域で利用できるサービスを知りたいときは、地域の子育てに関する窓口や子ども家庭センター、児童相談所などに尋ねてみるといいでしょう。
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子どもと接するときの基本

ASD(自閉スペクトラム症)や知的障害(知的発達症)のある子どもへの接し方のポイントを紹介します。

・子どもの良いところに着目し褒める
・本人が分かる言葉で、具体的に伝える
・一度に伝える内容を絞る
・子どもの注意をひいてから伝える
・言葉だけでなく、実物・写真・イラストなど視覚的な方法を活用する
・手順や予定の見通しを持てるようにする
・本人が安心できる場所を用意する

例えば、「ちょっとそこで待てる?」などよりも、「長い針が5になるまで、この椅子でパズルをしていてね」などのほうが分かりやすいかもしれません。

ただし、当然ながら同じ診断名であっても、子どもによって今できること・分かること・苦手なことは異なります。診断名による一律の対応があるわけではないため、子どもの様子を見たり子どもの声を聞きながら、より良い方法を見つけていくことが大切です。

発達障害や知的障害(知的発達症)の場合に利用できる制度

療育手帳

療育手帳とは、障害者手帳の一つで知的障害(知的発達症)のある方に発行されます。知的障害(知的発達症)のある方が一貫した療育・支援を受けられるよう、さまざまな制度やサービスの利用をしやすくすることを目的にしています。

療育手帳は、児童相談所または知的障害者更生相談所で知的障害(知的発達症)があると判定された方が対象となります。
参考:療育手帳制度の概要|厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001vnm9-att/2r9852000001vota.pdf
療育手帳の呼び方は自治体によって異なることがあります。多くの自治体は療育手帳としていますが、東京都や横浜市では”愛の手帳”、青森県や名古屋市では“愛護手帳”と呼ばれています。療育手帳は都道府県知事または指定都市市長が交付します。

療育手帳を取得することによって、さまざまなメリットがあります。
1.保育・教育面の援助を受けられる
2.就労に向けての支援を受けられる
3.各種サービス・割引を受けられる(交通機関、障害者医療費の助成、災害時の支援、施設・サービスの割引)
4.給付・税の減免や控除に役立つ


これらは地域によって異なる場合もあります。詳しい申請方法などの流れは以下の記事をご参照ください。
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障害福祉サービスや地域生活支援事業

障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスや、地域での地域生活支援事業を利用できることがあります。

例えば、以下のようなサービスや事業があります。

・移動支援
・相談支援
・日中一時支援
・自立生活援助
・短期入所
・就労移行支援
・就労継続支援(A型)/(B型) など
参考:障害福祉サービスについて|厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/naiyou.html
参考:地域生活支援事業|厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/chiiki/index.html

医療制度や手当

医療制度や手当についてもさまざまあり、いくつか例を紹介します。

・自立支援医療
 例えば、通院による精神医療を継続的に受ける場合などに、医療費の自己負担額が軽減されます。
・障害児福祉手当
 障害の程度が重く、常に介護が必要な19歳までの子どもが対象です。
・特別障害者手当
 毎日の生活で常に特別な介護が必要である20歳以上の大人が対象です。
・特別児童扶養手当
 主に障害のある19歳までの子どもを育てている人が対象です。
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そのほか、各自治体独自の制度や助成もあります。お住いの自治体の窓口へ尋ねてみるといいでしょう。

まとめ

カナー症候群とは、ASD(自閉症スペクトラム症)と知的障害(知的発達症)が併存する状態を指して使われることがあり、現在の医学的な診断名ではありません。

現在は、自閉的特徴のある疾患はASD(自閉症スペクトラム症)という診断名にまとめられています。

カナー症候群を含め、ASD(自閉症スペクトラム症)は生まれつきの脳機能障害であると考えられており、親のしつけなどが原因ではありません。また、同じ診断名であっても困りごとや得意なことも人それぞれです。子どもに合わせた対応を考えていくことが大事になるでしょう。

子育てに悩んだ時には、一人で抱えず相談機関の利用や同じ悩みを持つ人とつながったりするなどして、保護者自身の安心・安全も大切です。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。


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